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2014年4月20日 (日)

ラファエル前派展 英国ヴィクトリア絵画の夢(1)

2014年2月12日(水)森アーツセンター・ギャラリー

Preraffapos 東京に降った大雪が未だ融けきれず、六本木の歩道にも脇に雪が残っている珍しい風景を眺めながら、六本木ヒルズに向かうちょっとした違和感。病院の定期検診の後、時間ができたので、思い切って行ってみた。最初に述べた小さな違和感というのは、ラファエル前派に対する私のイメージに通じるところがあると思ったから。多分、同意する人は少ないと思うけれど、ラファエル前派に対して私が抱いているイメージは英国式庭園のような徹底して人工的な自然らしい空間を作ろうという観念先行のつくり、というものです。そこに意図せぬもの、六本木に積雪のようなことがあると浮いてしまう、そんな印象なのです。さて、森アーツ・センターへは初めてだったのですが、六本木ヒルズの一画にあって、それゆえでしょうか、美術館としては入口が分かりにくく、入場券の売り場が広い割に窓口が少なく行列ができていて、コインロッカーは少なく高い(返金もない)、肝心の展示室への高層階への直通エレベーターで行かされるのですが、案内が立っているのはいいのですが、うるさい。文句がいくらでも出て来そうな、雰囲気が悪い、手際が悪い、で美術館としては興ざめさせられてしまうものでした。展示スペースの使い方も、無駄が多い割に空間の余裕が感じられず、落ち着かない感じでした。多分、私の感覚と絶対に合わないのでしょう。ということにしておきます。今後、余程のことがない限り、ここには来ないだろうと思いますが。

さて、「ラファエル前派」に対しては、中心人物のロセッティが画風を変容させたり、母体となった兄弟団に出入りがあったりで、人によってまちまちの定義がされているようです。ここでは主催者あいさつの中で、次のように説明されています。ラファエル前派兄弟団は1848年、ロンドンのロイヤル・アカデミー美術学校で学ぶ3人の学生、ジョン・エヴァレット・ミレイ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハントを中心とする7人の若者によって結成されました・彼らは、盛期ルネサンスの巨匠ラファエロを規範に据えていた当時の保守的なアカデミズムを憂い、ラファエロ以前の初期ルネサンス絵画を理想に見いだします。自然を注意深く観察してありのままの姿を忠実に描き、より自由な表現を追求しました。彼らの前衛的、すなわち「アヴァンギャルド」な作品は社会から猛反発を受け、英国画壇にスキャンダルを巻き起こします。しかし、美術批評家ジョン・ラスキンの擁護もあり、次第に彼らの活動は認められていきました。またロセッティのもとにエドワード・バーン=ジョーンズや、ウィリアム・モリスら第二世代が集い、唯美主義やアーツ・アンド・クラフツ運動にもつながる英国近代美術の発展に大きく貢献しました。とまとめられています。また、別のところではラファエル前派兄弟団の結成から、象徴主義的な作品に彩られるバーン=ジョーンズの晩年にいたるまで脈々と流れる、ラファエル前派の急進性に光を当てる試みです。挑発的な様式と主題をもって同時代の社会的、政治的な動乱に向き合うラファエル前派芸術を紹介します。と述べて、この美術展のコンセプトを説明しています。具体的には、ラファエル前派の急進性は、彼らの師や世間一般の崇める慣習を受け入れず、芸術的な、そして社会的、政治的な諸問題の根源、あるいは原因にあくまでもさかのぼろうとし、うわべではなく根本的な変化を求めてやまなかったところにある。ラファエル前派の芸術とデザインは、今日改めて見直してみても、製作当時と同様に難解で、一筋縄ではいかない、際立った特質を保っている。その鋭利な線と、エルンスト・ゴンブリッチの言う「けたたましい色彩」は、歴史画に対する革新的なアプローチ、自然界の豊かさや輝かしさの探求、ヴィクトリア朝イングランドの社会と宗教生活に対する批判的精神、そして美と性の独特な描き方とともに、ある種の不穏な音色を奏でている。と説明されています。

引用が長くなって、しかも引用が論文のような抽象的な説明なので、読みにくいかもしれません。引用した説明は、おそらく通説的なラファエル前派に対する捉え方だと思うので、そういうものとして読んでいただければいいと思います。それで、これに対して、私はどう考えているのか、ということをこれから簡単に述べますので、引用した通説と距離を見ていただきたいと思います。私は、ラファエル前派をまとまった芸術運動として、これ自体に共通した特徴を見るほどのこともないと思っています。ロセッティやミレイはそれぞれ自立した個性を備えた画家たちであって、彼らがラファエル前派兄弟団という団体を結成したといっても、たまたま、王立アカデミーの仲のいい学生たちが集まったという程度のものに過ぎないと思います。とは言っても、同じ学校で一緒に修行していたわけですから、彼らの地盤に共通性があって、一緒に活動していたので、ひとまとめた方が扱いやすい、ということではないのか、と思います。彼らを一人の画家として扱うには知名度はイマイチなので、ラファエル前派としてまとめるとちょうどいい。実際のところ、ミレイは好きだが、ロセッティはどうも…という人もけっこう多いのではないかと思います。だから、ラファエル前派展とは言っても、私は、ロセッティやミレイを見に来たという方がいいのかもしれません。でも、今回の展示のようにラファエル前派を一つの視点で斬って、それをまとめて色々な要素を見てみるというのも、新しい発見があるかもしれないと思います。その結果、どうだったかは、これから具体的に作品を見ながらお話ししていきたいと思います。

展示は次の6章に分かれていました。

1.歴史 History

2.宗教 Religion

3.風景 Landscape

4.近代生活 Modern Life

5.詩的な絵画 Poetic Painting

6.美 Beauty

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