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2014年6月 5日 (木)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2013(3)

本質的なビジネスの価値

チャーリーと私が本質的なビジネスの価値についてお話しするのと同じほど、我々はみなさんに正確にその数値がバークシャー株式の数に対してどの程度かを話すことはできません。しかし、我々は2010年の年次報告に、3つの要素を載せました。その一つは質的で、我々がバークシャーの本質的な価値を見ることができるキーポイントと信じているものです。その議論は109ページから110ページに再現されています。

ここに、2つの量的要素の最新版があります。2013年に、我々の1株当たりの投資額は13.6%増えて129,253ドルになりました。また、保険と投資以外の企業からの我々の税引き前利益も、12.8%増えて9,116ドルとなりました。

1970年以降、我々の1株当たりの投資を毎年倍加する19.3%の率で増やしてきました。そして、我々の1株当たりの利益は20.6%の速さで増えました。我々の、この2つの価値の尺度と非常に近い割合で43年間という期間にわたるバークシャーの株価が増加したことは、偶然の一致ではありません。チャーリーも私も、この2つの尺度の両方が増加してほしいと思っていますが、我々は常に営業利益をつくることをより強く求めています。

 

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さて、我々の事業の4つの主要なセクターを見ていきましょう。そのセクターそれぞれには他のセクターとはかなり異なる貸借対照表と収入の特徴があります。したがって、それらを一緒くたにしてしまうと分析できなくなります。(これらのビジネスを一つの屋根の下で持つことは、重要で永続的な利点があるのですが)そこで、我々は、これらを4つの別々のビジネスとして説明します。我々のゴールは、皆さんが報告するマネージャーで、我々がその場にいない株主であるのと同じになるように、我々のポジションが欲しいと思う情報を皆さんに提供することです。

 

 

保険業

“保険会社への我々の投資は収益力の基盤を多様化させる努力の大きな第一歩です。” ─1967年の年次報告書より

最初に保険事業から見ていきましょう。1967年のこのレポートを公にして以来、一貫してバークシャーの拡大成長のエンジンとなり中核を担ってきた事業です。

損害保険(P/C)は前払いのプレミアムを受け取り、後で請求に対する支払いを行います。極端な場合、特定の労災補償事故のような場合は、支払いが数十年間延びることがあります。このような、今現金を受け取り、支払いは後になるモデルでは、我々の手元に多額の「フロート」と呼ばれる現金が据え置かれることになります。最終的には、そのお金は我々の手元を離れることになるのですが。一方、我々がこのフロートを投資に振り向けることで、バークシャーは利益を得ることができます。ここの方針や主張は行ったり来たりしますが、我々が抱えるフロートの総額はプレミアムボリュームに関して安定しています。その結果、我々のビジネスは、フロートに応じて成長しました。我々がいかに成長したかは、下に表しています。

今後、フロートをさらに増加させていくのは難しいと考えられます。プラス面としては、ガイコのフロートは間違いなく増加していくことでしょう。しかしながら、国家賠償の再保険部門では、たくさんのランオフ契約を保持しており、これらのフロートが不安定で落ち込む可能性があります。我々が将来のフロートの低下を経験するとしても、それは非常に段階的で、数年で3パーセントを以上にはならないでしょう。我々の保険契約の性質は、我々の持っている現金資源に比べて、それを上回るような金額を即時に支払わなければならないような要求を受けることはあり得ない、というものです。(この点において、損害保険は生命保険の特定の形とは重要な点で違います。)

プレミアムが我々の費用と最終的な損失の合計を上回っていれば、フロートが産み出す投資収益を加え、我々は引受業務利益を計上します。このような利益が産み出されるとき、我々は自由なお金の運用を喜びます。さらにこれを増やしながら、後の支払いを待ちます。

残念なことに、このような幸福な結果を成し遂げたといいう保険業者の願望は、激しい競争を引き起こします。大きな引受業務損失を起こす損害保険会社があるため、ほとんどの年に競争は活発です。この損失は、事実上、業界がフロートを保持するために支払うようなものなのです。例えば、スティトファームは、わが国最大の保険業者であり経営があまり良好でない会社ですが、2012年末で、この12年のうち9年は引受業務損失をまねきました。(彼らの会計報告で、ここで使える最新のものです)競争のダイナミズムは、保険会社に対し、すべての会社がフロート収入を持っているにもかかわらず、他のビジネスと比べて水準を下回る収益しか得られないという惨憺たる記録を続けることを強いています。

この報告書の最初のセクションに見られるように、我々は11年連続で引受業務利益を上げてきて、この期間の税引き前利益の合計は220億ドルにも達しました。我々は、これからも、ほとんどの年に収益の高い引受けを続けるだろうと信じています。そうすることは、貴重なフロートがひどい引受け結果によって台無しになってしまう危険をよく知っている保険マネージャーたちの毎日の注意点なのです。

それで、我々のフロートはどのような我々の本質価値の計算に影響するのか?我々のフロートはバークシャーの帳簿価格を計算する際には負債として完全に差し引かれます。ちょうどそれは、我々が明日払わなければならなくて、それを補充するものがない時のように。しかし、それはフロートを表示するには誤った方法で、代わりに回転資金として見られるべきです。毎日のように、我々は古い請求への支払いを行い、2013年には500万人以上の請求者に対し合計で170億ドルになり、フロートを減らしました。同じようにたしかに、我々は毎日のように新たな保険契約を結び、それによってフロートを加えるあらたな請求を引き起こします。もし、我々のフロートの回転にコストがかからなくて、それが永続するのであれば、私はそれはありえると思いますが、この責任の本当の価値は会計責任に比べ劇的に少ないものになるでしょう。

この誇張された負債を部分的に相殺するのは、資産として帳簿価格に含まれる保険会社に対する好意に起因する155億ドルです。実質的に、この好意は我々の保険業務でフロートを産み出す能力の価格を意味します。しかしながら、好意の費用は本質的価値とは関係がありません。もし、保険ビジネスが大規模で持続的な引受業務損失を生み出してしまうのならば、それに起因する好意資産は、当初の導入コストがどれだけかかっていても、意味がないと考えざるを得ません。

幸いにも、バークシャーはそうではありません。チャーリーも私も、我々の保険業務の好意の本当の経済的価値は、同様の品質のフロートを購入することで測ることができますが、歴史的な繰越価値を越えていると信じています。我々のフロートの価値というのは、バークシャーの保険ビジネスの本質的価値が帳簿価格を大幅に上回ると信じている理由です。

 

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