ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2013(11)
そして、今度はベン・グレアムに戻りましょう。私は、1949年に購入したベンの著書「賢明なる投資家」の投資の議論のなかで多くのことを学びました。私の金融人としての人生は、その時から変わりました。
ベンの本を読む前は、私は投資の景色の中をあてもなくさまよい歩き、投資に関して書かれたものを貪っていました。私が読んだものの多くは、私を魅了しました。私は株式の動きを予測するためのチャートをつくり、市場の指標を利用することに挑戦しました。私は証券会社のオフィスに座り、テープロールが流れるのを眺め、解説者の話を聞きました。これらはすべて、楽しいものでした。しかし、私は成功できないと感じを振り払うことができませんでした。
これと対照的に、ベンの考え方は、(ギリシャ文字や複雑な数式のない)エレガントで分かり易い文章で、論理的に説明されていました。私にとって重要ポイントは、後の版で第8章と20章となっているところに書かれていることです。(オリジナルの1949年版は章数が違います。)ここで書かれたことが、今日の私の投資判断を導くものとなりました。
この本についての、2つの面白い挿話。後の版は、ベンにとって大当たりだった投資を名を伏せて追伸として加えました。ベンが初版を執筆していた1948年に、彼はその株を買いました。注目して下さい。その謎の会社は、実はGEICOだったのです。GEICOがまた始まったばかりのころ、ベンがその特別な資質を認めなかったならば、私とバークシャーの将来は、まったく違ったものになっていたかもしれません。
この本の1949年版は、また、当時17ドルで売られ、1株当たり10ドルの利益を上げていた鉄道会社の株式を推奨していました。(私がベンを賞賛する理由の一つは、現在の例を取り上げるガッツを持っていたことです。もし、彼が躓いたならば、公開の場で冷笑に晒されてしまうのです。)低い評価は当時の会計原則に従った故のものでした。報告された利益は系列会社の留保利益を除外させられたものだったのです。
推奨された株はノーザン・パシフィック鉄道で、その重要な系列会社はシカゴ、バーリントンそしてクインシーでした。これらの鉄道は現在のBNSFの重要な部分です。そして、今日のバークシャーが完全に所有しています。私がこの本を読んだとき、ノーザン・パシフィックはおよそ4000万ドルの市場価格でした。現在、その後継者はたしかに多くのものを追加しましたが、その額を4日ごとに稼いでいます。
私は、その「賢明な投資家」の初版にいくら払ったか覚えていません。その値段はどうあれ、私はベンの格言の正しさを強調します。「価格は支払うもので、価値は得るものだ。」私がこれまで行ってきた投資のなかで、ベンの本を買ったことは最高の投資でした。(ただし結婚許可証に2度お金を払ったことを除いて)
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公共団体が支払う余裕のない年金を約束してしまったことにより、地域や州の財政問題が深刻になってきています。市民や公務員は約束が彼らに資金提供する意欲と衝突するものとなったときに生まれた巨大な金融の寄生虫を過小評価してしまっています。残念なことに、大部分のアメリカ人にとって年金の数字は分らないものになっています。
投資方針は、同様に、これらの問題で重要な役割を持っています。1975年、私はワシントン・ポストの会長であったキャサリン・グラハムに年金の約束の落とし穴と投資方針の重要性についての覚え書きを書き送りました。そのメモは118~136ページにあります。
これからの十年、皆さんは色々なニュースを読むでしょう。その中で悪い知らせは公共年金制度です。私のメモが、見ん台に対する迅速な対策の必要性を理解するために、みなさんのお役にたつことを期待しています。
この後、株主総会に招く記載がありますが、省略し、今年の“手紙”は、これで終了です。
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