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2014年8月17日 (日)

石井彰「木材・石炭・シェールガス」(1)

まえがき─歴史と原理が蔑にされている

いわゆる「クリーン・エネルギー」、太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーを仮に化石燃料や原発を大きく代替するほど大規模に導入した場合、確かに二酸化炭素削減には効果がある。しかし、逆に化石燃料や原発などとは比較にならないほどの凄まじい生態系破壊、すなわちグリーン破壊が必然的に生じて、全くグリーンとは程遠くなるという皮肉な原理がある。もちろん、実質コストが著しく高く、生活水準、経済水準を大きく下げてしまうという問題もある。これは、エネルギーと環境の相互作用の歴史を、ほんの少し振り返ってみれば、たちまち明らかとなる。

再生可能エネルギーは、薪炭などのバイオエネルギーや水車、風車、動力・交通用の牛馬など、太古から人類の歴史とともにずっと利用されてきたものであり、決して新しいものでも何でもなく、18世紀の産業革命以前は、人類は再生可能エルネギーに100%依存していた。この極めて基本的なことをわきまえていない素朴な議論が、これまでかなり横行していた。例えば、風力発電は、中世以来使用されてきた風車に発電機を取り付けて汎用性を高めただけのモノ、水力発電も、古代からの水車に発電機を取り付けただけのモノである。量子論を応用した太陽光発電でさえも、地表面積当たりでエネルギー密度が非常に低い、フローの太陽光エネルギーを直接利用するという巨視的な意味において、同様にフローの太陽光エネルギーによる光合成を利用した太古からの薪炭利用の、効率と汎用性が若干高くなっただけのモノと言えなくもない。しかし、化石燃料を本格的に使用し始めた産業革命の前は、再生可能エネルギーの原理的な供給量の限界、効率の限界によって、世界の人口、あるいは生活水準や平均寿命は、現在とは比べ物にならないほど低かったし、それにもかかわらず、薪炭利用のための森林伐採を中心に自然環境は激しく毀損されて、17~18世紀の西欧も、古代・中世の中国も、江戸期の日本も、まさに砂漠化、国土崩壊の寸前だったのである。この極めて重大な歴史的事実が、ほとんど忘れられている。この砂漠化、国土荒廃による文明破壊の危機を救ったのが、産業革命による石炭をはじめとした化石燃料の本格的利用だったのである。驚くことに、いわゆる環境派と言われ根人々の多くが、この最も基本的な環境史の事実を認識していないようだ。

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コメント

風力発電の設備を作るにも、太陽光発電のための設備を作るにも沢山のエネルギーと資源が必要ですしね。

OKCHANさん、コメントありがとうございます。とりあえず、この後を読んでいただければ、ありがたく思います。

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