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2014年8月26日 (火)

ジャズを聴く(11)~リー・コニッツ「インサイド・ハイファイ」

Inside Hi Fi   1956年9月26日、10月16日録音

Jazleeknitz_hifiKary's Trance 

Everything Happens to Me 

Sweet and Lovely 

Cork 'N' Bib 

All of Me 

Star Eyes 

Nesuhi's Instant 

(Back Home Again In) Indiana

 

Lee Konitz (as) 

Billy Bauer(g) 

Arnold Fishkind (b) 

Dick Scott(ds)  1956年10月16日

 

Lee Konitz (as/ts) 

Sal Mosca(p), 

Peter Ind(b) , 

Dick Scott(ds)   1956年9月26日

 

リー・コニッツという人は、同時代のサックス奏者がチャーリー・パーカーから何かしらの影響を受けていたのに対して、その影響を殆ど受けず、ユニークといえるほど独自の方向を持っていた数少ないプレイヤーで、不思議なことに彼の影響を受けた奏者が後世に一人もいないという人のようだ。その彼の姿勢は一貫していますが、自体と共に少しずつ変化もしていて1950年代のコニッツは、即興を突き詰めて追求していた、キレキレの演奏をしていたと言われている。独特のうねうねフレーズばかりが出て来るので、この時期の録音に対しては、好き嫌いが分かれると思う。その中で、このアルバムはスタンダード曲をとりあげて、その原曲のメロディーをちゃんと演奏しているという、当時のコニッツとしては珍しいもの。ただし、演奏の切れ味は絶好調で、当時のコニッツに親しむ入門用として格好なのではないか。

 

1曲目の「Kary's Trance」が白眉ともいえる演奏。エレキ・ギターが独特のほんわかした輪郭の定まらないサウンドで、不協和音的な響きの情緒不安定で緊張感を煽るようなコード弾きのイントロに導かれるように、コニッツが細い音で斬り込むように最初からアドリブフレーズで入って来ると、ギターの音と対照的でコニッツの鋭さが際立ち、うねうねフレーズにギターが時折ユニゾンで音を重ねていくあたりの一体となって疾走するスピード感と、シンバルを強調しブギウギのようなノリで煽るドラムスは、少し後の『Motion』のホットな疾走に繋がっていくものだ。さらに、ここでのコニッツのプレイは即興演奏のフレーズが、時折まとまったメロディの体を成しているまでいくようなところがある。当時のコニッツの即興プレイの大きな特徴は、メロディになりそうでならない微妙なところで、プレイが続く、いまにも音楽が生まれそうな、言うなれば胎児の状態の音楽のなりかけを剔出してみせる生々しさのようなところがあった。それが宙ぶらりんの彼独特の緊張感をうみだしているのだが、ここではメロディとなったときのカタルシスを一時期に味わえる、極めて珍しい演奏となっている。惜しむらくは、フェイドアウトして終わってしまうこと。次の「Everything Happens to Me」はスタンダード曲だそうで、頼りなげなギターのイントロに乗って、コニッツがちゃんとテーマを吹く。『Motion』での「You'd Be So Nice To Come Home To」のようにスタンダード曲のメロディをズタズタな解体してしまって、そのパーツをもとに最初から即興的にプレイをするのとは違って、ここでは、ちゃんとテーマを吹いて、流れるようにアドリブに移るのだけれど、それがあまりに滑らかに移ってしまうので、どこからがアドリブがわからないほど。それほど、コニッツの作り出すフレーズがクリエイティブだったということ。このアルバムでは他にも「Sweet and Lovely」「All of Me」「Star Eyes」「Indiana」がそう。いずれにしても、演奏のテンションは高い。

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