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2015年1月31日 (土)

ルディー和子「合理的なのに愚かな戦略」(1)

経営やマーケティングの戦略を立てるということで思い浮かべるのは、膨大な量の情報を前に、高度な学習教育を受け広範囲にわたる教養を身につけた経営者が、他の経営陣と議論を重ねたうえで論理的かつ理性的に熟考した判断を下す…という光景でしょう。しかし、これは、意思決定プロセスのすべてではありません。知識、記憶、学習、思考を含む認知活動だけでは人間は決断を下すことは出来ません。認知は行動を起こすためのプロセスではいのです。行動を起こす、つまり決断を下すには感情を必要とします。

一流企業の頭脳明晰であろう経営者が、なぜ、同じ間違いを繰り返すのか?米国ビジネススクールの著名な学者によって書かれた経営書を熱心に読む経営者たちが、なぜ、誰からも指摘されるような単純な間違いを犯すのか?理由は簡単です。ほとんどの経営やマーケティング戦略に関する本は、読者が論理的に考え意思決定を下すことを前提として書かれているからです。

データや資料に基づいて戦略を立てるまでは論理の世界です。でも、それを実行するかどうかの決断は理性だけでは決められません。過去の経験に基づくひらめきや、成功体験から生まれたしがらみ、プライドや功名心、執着心といったような要素が大きく影響力を行使します。優秀な経営者であるからこそ、自分が理性以外の要素で判断しているとは思ってもみない。これが有名企業が経営ミスを犯す最大の理由です。

本書では、ビジネス上の重要な決定が論理的思考だけで決められていないこと、それが、企業が失敗する真の原因だということを、具体例を挙げて解説しました。

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