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2015年1月21日 (水)

ウフィツィ美術館展(1)

かつてない大型台風が日本列島を通過して台風一過の晴天と思いきや、あいにくの雨となり、その台風の通過にとともに秋が深まり日中の気温も9月まで残っていた夏の暖かな陽気から一気に肌寒さを感じられるようになりました。もともと人気の高いだろうことは予想がついていたので、そんな外出には躊躇するような日であり、展覧会は会期初めなので、混雑はしていないのでいないかと思って美術館に寄ってみました。しかし、65歳以上の方は入場無料とかある日だったようで、高齢者を中心に入場者は少なくない状況で、ひとつの作品の前には数人の鑑賞者が常時張り付いていました。高齢者の鑑賞者は仲間と誘い合わせて来場した人が多く、仲間同士で話しながら鑑賞するグループがいくつもあったりして、一人静かに絵と向き合うということはできませんでした。

Ufizposさて、この展覧会は美術館からコレクションの一部を借りてきて見せるということなので、そこに意図とか趣旨を強く反映させることはないと思いますので、いつものように主宰者のあいさつを引用することにそれほどの意味はないと思います。ただ、ウフィツィ美術館の概要のようなことについて展覧会チラシに書かれていましたので、引用します。
“イタリア・ルネサンスの中心都市フィレンツェでは、15世紀後半から工房による組織的制作活動が盛んになり、数多くの優れた芸術家が生まれました。彼らは互いに切磋琢磨し合うなかで、工房の画一的な様式を越えた表現を探求し、やがてヴァザーリが「マニエラ・モデルナ(新しい様式)」と呼ぶところの、16世紀の卓越した新時代様式が開花します。本展は、世界的に名高いウフィツィ美術館の収蔵品を通して、15世紀から16世紀にかけてのフィレンツェ美術の流れを展観します。メディチ家のコレクションを核に設立されたウフィツィ美術館はもっとも歴史が古く、ルネサンスを代表する画家ボッティチェリの多くの作品を所蔵する美術館としても知られています。このボッティチェリの作品を多数紹介するほか、アンドレア・デル・サルトやポントルモ、ブロンヅィーノら16世紀のフィレンチェ美術を牽引した主要な画家たちの約80点に及ぶ作品を通じて、豊かで多様なフィレンチェ・ルネサンスの真髄に迫ります。”

Ufizperuただひとつ、今回の収穫だったのは、フレスコ画で油彩画が並べて展示されていたことで、フレスコやテンペラに比べて油絵の具で描かれた作品は、まったく異質のものとなっていたのが分かったと言う点です。これらを同じ絵画とひと括りにしていいのか、ということを率直に感じました。具体的にいうと、画面と言う平面の考え方で、フレスコやテンペラの場合は、遠近法とか陰影等の画面に奥行きを感じさせる技法が建物の壁面を飾る浮彫(レリーフ)に似たものを絵画で描こうとする程度に収まっているのです。これに対して、油彩画は立体を画面の平面に再現しようとしている。これを敷衍して考えれば、遠近法の追求とか、その先の写実という考え方は油絵であったからこそ出てきたことで、フレスコやテンペラしかなかったのであれば、もっと平面的で形式的で装飾的な方向に進んでいった可能性もあったのではないか、という想像を膨らませることができた点です。実際に、多くのフレスコやテンペラが展示されていましたが、その中で油彩によるペルジーノの聖母を描いた肖像画(右図)がいかに異彩を放っていたか、ということです。

第1章 大工房時代のフィレンツェ

第2章 激動のフィレンツェ、美術の黄金期の到来

第3章「マニエラ・モデルナ(新時代様式)」の誕生

第4章 フッレンツェ美術とメディチ家

展示は、このように章立てられていましたが、一人の画家の軌跡を追いかけるのではなく、一つのテーマで作品を広く集めたのでもないので、この章立ては従うことはせずに、目に入った作品についてピックアップして述べてみたいと思います。

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