ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2014(3)
・ 2年前からの友人、ジョージ・パウロ・レマンは、ハインツの買収の際に、彼の運営する3Gキャピタルに参加しないか誘われました。これに対する私の肯定の返答は、ほとんど考える必要もないものでした。私には、このパートナーシップが個人的かつ財政的な点からうまくいくことは、すぐに分かりました。それは、ほとんど間違いないことでした。
ハインツについては私が直接経営に関わっているよりも、CEOであるハーナード・ヒースと会長のアレックス・ベーリングの下でのほうがはるかに高いパフォーマンスを上げていることを認めるにやぶさかではありません。彼らは競合会社をはるかに上回る成果を出しても満足することなく、とても高いパフォーマンスの水準を保っています。
我々は、さらに多くの分野で3Gとの提携に期待しています。最近のバーガーキングによるティムホートンズの買収のように我々の提携は、時には、資金面でのものに限られます。しかしながら、我々の協定は永続的な資産パートナーとして、場合によっては取引の際の資金調達に貢献するような、連携していくことになっています。形式的な方法がどうであれ、私はジョージ・パウロと仕事をしたいと思っています。
バークシャーはまた、マルスとルーケディアともパートナーシップを結びました。我々は彼らや他のパートナーとで新たな事業を始めるかもしれません。共同事業に我々が参加することは金融でも資産パートナーでもあるかにかかわらず、その対象は馴染み深いものに限られています。
・ 我々は、10月に、非常に良好な78のディーラーで構成されたヴァン・チュル自動車を購入する契約をしました。オーナーのラリー・ヴァン・チュルと私は数年前に出会いました。それ以来、彼は、もし会社を売却することになるのから、バークシャーのもとでなければならない、と決めていました。我々の購入手続きは、つい最近終わったばかりで、我々はいまや「自動車仲間」です。
ラリーと父親のセシルは62年間を費やしてグループを築き、地元のマネージャーすべてをオーナー・パートナーにする戦略を追求してきました。このような利益の相互関係を確立することは、何度も勝者になることを証明しています。ヴァン・チュルは、現在、ディーラーあたり売上高が傑出している、国内で5番目に大きな自動車ディーラーのグループです。
近年、ジェフ・ラチャーはラリーと並んで、この利益の相互関係をうまく続けてきました。国内に、およそ17,000人のディーラーがおり、そのオーナーシップの異動は常に関係している自動車メーカーの承認を必要とします。バークシャーの業務は、メーカーが歓迎するような自動車の仕入れ方法を実行することです。我々が、これをうまくやり、賢明な価格でディーラーを手に入れていくことができるなら、我々は間もなくヴァン・チュルの90億の売上規模のチェーン店による事業を構築することができるでしょう。
ヴァン・チュルの取得によって、バークシャーは、現在、フォーチュン500社にリストアップされた独立系の企業の9.5社を所有することになりました(0.5はハインツです)。海に490.5匹の魚を残す。我々のライン出ている。((注)多分、何かのジョークなのでしょうか、意味不明です)
・ 我々の子会社は2014年には150億ドルという記録的な設備投資を行いました。これは減価償却費の2倍に相当します。そこで支払われた金額の約90%はアメリカ国内に対する投資でした。我々は、海外に対しても同じように投資しますが、その主要なものはアメリカにあるものに対して行います。今まで発見された宝物はまだ十分に活用されていないので、小さく映ります。チャーリーも私も、アメリカで誕生したのはまぐれかもしれません。そして私たちは、このアメリカで生まれという偶然が驚異的なほどの利点であることに、永遠に感謝しなければなりません。
・ ハインツを加えたバークシャーの年末時の従業員数は、昨年より9,754人増えて340,499人となりました。増加にはオマハ本社(25人が働いている)の増加が無かったことを、私は誇らしく言います。おかしくなっていない証拠です。
・ バークシャーは、アメリカン・エキスプレス、コカ・コーラ、IBMそしてウェルズ・ファーゴという“ビッグ・フォー”に対して、昨年、投資を増やしました。我々はIBM(2013年末の6.3%から7.8%に増やすことになります)の株式を追加購入しました。一方、コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレスとウェルズ・ファーゴは自社株買いを行ったので、我々の所有比率は相対的に上昇しました。コカ・コーラの我々の資産は9.1%から9.2%に上昇し、アメリカン・エキスプレスでは14.2%から14.8%に、ウェルズ・ファーゴでは9.2%から9.4%になりました。そして、皆さんが小数点以下のパーセンテージは重要でないと思うなら、この数字を考えてみてください。全体の中で、この4社では我々の資産シェアが0.1%上昇すれば、バークシャーの年間利益の分け前が5,000万ドル増えることになります。
この4つの会社は、優れたビジネスを持ち、才能に恵まれた、株主指向の経営者によって経営されています。バークシャーでは、我々は、まあまあのビジネスを100%所有することよりも素晴らしい会社の相当な部分を非コントロールで所有する方を好んでいます。水晶のすべてを所有するよりは、希望の持てるダイヤモンドの一部でも持っているほうがいいのです。
バークシャーの年末の保有高がマーカーとして使われるのなら、“ビッグ・フォー”2014年の経常利益の我々の持ち分は(ほんの3年前の33億ドルに比べて)47億ドルに達しました。しかしながら、我々が皆さんに報告している収益には、昨年は約16億ドルだった受け取った配当しか含めていません(3年前の配当は8億6200万ドルでした)。しかし、それはあやまりではありません。我々が報告していない31億ドルの収益は、バークシャーが計上する分と同じように大切なものです。
これらの会社は保有している収益で、しばしば自己株式を取得します。自己株式の取得は、我々に10セントの現金も使わせることなく、これらの会社の将来の収益に対するバークシャーの持ち分を強化する動きです。彼らは利益剰余金を、普通、有利と判断されるビジネスに投資します。これらのことから、この4社の一株あたりの利益は、時とともに、かなり増加するだろうことを予想させます。(2015年は、強いドルのためにグループにとっては厳しい年になるでしょうが)期待している利益が実現すれば、バークシャーの受け取る配当は増えるでしょう。さらに重要なことは未実現のキャピタル・ゲインの同じように増えていることです。(この4社の未実現のキャピタル・ゲインについては、年末で420億ドルとなりました)
我々の資本配分は柔軟性があり、我々が経営を見ない事業に多額の投資をして分け前を受け取ることもできます。それは、自分でできるビジネスしか取得しない会社よりも有利になることができます。この両方の企業に我々が投資しようとすることはバークシャーの無尽蔵のキャッシュの源泉の懸命な使い道を見つけるチャンスを2倍にするものです。
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