ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2014(26)
副会長の考えること チャーリー・マンガー
バークシャー・ハサウェイの株主の皆様
私は、ウォーレン・バフェットの下でバークシャーの類稀な成功の50年を間近に見てきました。そして、今、私が独立の立場で彼からの祝いの言葉を補うことは適切なことでしょう。私は5つのことを試みたいと思います。
(1)小規模で避けられない悲しい運命にあった織物のコモディティ・ビジネスから現在の成長したバークシャーにしていったマネジメントシステムと方針を説明する
(2)そのマネジメントシステムと方針がどのように生まれたのかを説明する
(3)バークシャーが、なぜそれで、うまくいったかを説明する
(4)バフェットがすぐに始めたなら、素晴らしい業績が続くのかどうか予測する
(5)この50年にわたるバークシャーのあゆみが他でも役立つことを含んでいるかを考える
バフェットのもとでのバークシャーのマネジメントシステムと方針(ここでは一括してバークシャー・システムという)は早くから確立していました。それは次のようなことです。
(1)バークシャーは広大なコングロマリットになりましたが、有益な予測ができない行動を嫌います
(2)このトップ企業はCEOが最大限の自治を与えて経営する子会社を通して、あらゆる事業を行います。
(3)コングロマリットの本部には、会長、CFOと会計監査と内部統制でCFOを補助する数人のアシスタントによる小さなオフィス以外に何もありません。
(4)バークシャーの子会社には、いつも損害保険会社が主要なものとしてあります。グループとしての保険会社は引き受け業務による利益を生み出す一方で、投資のための相当な“フロート(未払いの保険からの負債)”を生み出すことも期待されています。
(5)子会社にはそれぞれ独自のシステムがあるので、全体としての人事制度、ストックオプションやその他のインセンティブ、定年制などといったものはありません。
(6)バークシャーの会長は以下のほんの少しのことを行なっています。
(ⅰ)彼はほとんどすべての証券投資を管理しています。それらの証券はバークシャーの損害保険会社が保有しています。
(ⅱ)彼は重要な子会社のCEOを選任し、彼らの報酬を決め、突然のケースに備えて彼が後継者に推薦するものを聞いて置きます。
(ⅲ)彼は子会社の競争の優位を伸ばした後、それによって子会社で生じた余剰現金を新たな子会社の買収などのグループの配置のために配分します。
(ⅳ)彼は子会社のCEOからのコンタクトにはすぐさま応じられるようにして、自身からはほとんどコンタクトを求めません。
(ⅴ)彼はアニュアルレポートのために長大な、論理的で有意義な株主への手紙を書きます。それは、彼が受け身の株主であったら、そうあってほしいと望むように、そして年次株主総会で何時間もの質疑応答に便利なようにデザインされています。
(ⅵ)彼は引退する前もした後も長い間、顧客、株主や同僚にとってよき人物であるという文化の模範となろうとするでしょう。
(ⅶ)彼の最優先事項は十分な時間をとって静かに読書し考察することです。とりわけ、何歳になっても断固として学習しようとします。
(7)新たな子会社は、新たに発行された株式ではなく、現金で買収されます。
(8)バークシャーは留保している利益が1ドルに対して株主のための市場価格が1ドルを上回っている限りは配当を払いません。
(9)新たな子会社を買収する際に、バークシャーは会長がよく理解した良好なビジネスに対して公正な価格を支払おうとします。バークシャーはまた、長い間、本部の助けを求めることなくうまく経営し、それを続けることが期待できる現場のCEOもまた欲しがっています。
(10)子会社のCEOを選ぶ際に、バークシャーはCEOの持っているものとして、ビジネスと周囲に対する信頼性、スキル、エネルギーそして愛情を確保しようとします。
(11)望ましい重要事項の一つとして、バークシャーは、ほとんど子会社を売却しません。
(12)バークシャーは、子会社のCEOを、別の無関係な子会社に移すことはしません。
(13)バークシャーは、子会社のCEOに、一定の年齢になったからといって引退を強制することは決してしません。
(14)バークシャーは、(ⅰ)あらゆる状況での完璧な信用と(ⅱ)現金を容易に入手可能であること及びいざという時に頼りになる信用を維持しようとしているため、未払いの負債は持ちません。
(15)バークシャーは大規模なビジネスの将来の売り手には友好的です。そのようなビジネスの売却の提案には迅速な対応を心がけています。もしそれが取引に至らなかったとしても、その提案についてバークシャーでは会長と他に1~2名以外には誰も知りません。そして、彼らは部外者には、そのことを決して話しません。
バークシャー・システムの要素とそれらが合わさった規模は全くユニークなものです。他の大企業でも私の知る限り、実際に、このような要素の半分すらあるところはないでしょう。
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