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2015年4月 9日 (木)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2014(24)

 我々はこのような保守主義を採っていますが、バークシャーの一株当たり収益力の基盤を高めていくことはできると思います。それは営業利益が毎年増加するという意味ではありません。アメリカ経済には干潮と満潮があるでしょうし、ほとんど干潮となるでしょう。その経済が弱まる時、我々の利益もそれに追随します。しかし、我々は自力での成長を成し遂げ、ボルトオン買収や新たな分野への進出を行ないます。したがって、私は、バークシャーが根底にある収益力を毎年伸ばしていくと信じています。

大きく伸びる年もあれば、ほとんど伸びない年もあるでしょう。市場、競争と機会はチャンスがいつめぐってくるか決まっています。そのすべてを通じて、バークシャーは現在我々が所有している堅固なビジネスとこれから我々が買収する会社との組み合わせの力で、前進を続けていくでしょう。その上、ほとんどの年には我が国の経済が、ビジネスにとって追い風となるでしょう。我々は幸運なことにアメリカをホームグラウンドとしています。

 悪いニュースは、バークシャーの長期的な成長が、ドルではなく成長率で、劇的になれず、過去50年に達成したものに近づけなかったことです。規模は大きくなり過ぎました。私は、バークシャーはアメリカの企業の平均を上回っていると思います。しかし、我々に強みはあるとしても、大きいものではありません。

結局、おそらく今から10年から20年の間、バークシャーの利益と資本資源は、会社の利益のすべてを賢明に再投資する経営を許さないレベルになります。その時、我々の取締役は余剰利益を分配する最良の方法は、配当か自己株の買戻しがそれらの両方かのいずれかを決めなくてはなりません。皆さんは取締役が正しい決断をするのに満足できるでしょう。

 バークシャー以上に株主を気にかけている会社はありません。30年以上の間、我々は117ページの株主方針を毎年、再確認してきました。それは次のように始まります。「我々の形態は会社ですが、我々の姿勢はパートナーシップである」皆さんとの契約は石に焼き付けられるほど堅いものです。

我々にはパートナーシップの約束を実行する準備をするのに十分の知識とビジネス志向で際立った取締役会があります。誰も、目先のお金のためだけに仕事を引き受けているのではありません。バークシャー以外のどこにもありえない報酬体系で、取締役は手数料しか支払われません。彼らは、バークシャー株の所有者であることを通じた報酬と重要な事業の良き管理者であることの満足感を受け取るのです。

彼らと家族の所有する株式は、多くの場合相当な価額になっていますが、(ストックオプションや補助金で購入されたものではなく)市場で購入されたものです。その上、他のほとんどすべての大企業とは違って、我々は取締役や執行役員に役員責任賠償保険をかけていません。バークシャーでは取締役はみなさんの立場で歩いています。

我々の文化を将来に向けて確実に継続させるため、私は息子のハワードを取締役ではない会長として私の後を引き継ぐことを提案しました。私の提案理由は、間違ったCEOの選任があった際に、それをただすべきであり、そのときに会長は強い力を使う必要があるからです。私は、バークシャーでは、このような問題が起こる可能性が低いことを皆さんに約束することができます。それは他の公開企業と同じようにです。しかし、私が勤めた19の公開会社の取締役会では、凡庸なCEOが自身が会長を兼務していると、CEOを取り替えるのがいかに難しいかを見てきました。(そのこと自体は行なわれましたが、たいてい非常に時間がかかりました。)

選任されれば、ハワードは賃金を受け取らず、すべての取締役に求められている以外の仕事で時間を過ごすことはしません。彼は単に取締役がCEOに対する疑念を持ち、他の取締役が同じように疑念をもっているか知りたい時にときに彼のところに行くという、安全弁です。複数の取締役が疑念を抱いていれば、ハワードの議長としての地位は、問題に対し即座に、適切に、対処することを可能にします。

 適切なCEOを選任することは非常に重要で、バークシャーの取締役会で多くの時間をかけている問題です。バークシャーの経営とは主に資本配分の役割と、我々の事業子会社を統率する傑出したマネジャーを選び、維持することの両方です。あきらかに必要であれば、子会社のCEOの置き換えもやらなければなりません。これらの仕事はバークシャーのCEOに、ビジネスに対する幅広い知識を持ち、人間行動に対する深いと洞察をもった合理的で穏和で決断力のある個人であることを要求します。彼が自身の限界をわきまえていることは重要です。(IBMのトム・ワトソン・シニアは「私は天才ではないが、ある領域ではうまくやれる、だからそこにいる」といいました。)

人格は重要です。バークシャーのCEOは自身ではなく、会社に“すべて”をかけなければなりません。(私は扱いにくい言葉遣いを避けるために男性名詞を用いていますが、性別は誰がCEOになるかの決め手には決してなりません)彼は、必要をはるかに上回るお金を稼ぐことはできないのです。しかし、重要なことは彼の業績が彼らをはるかに凌いだとしても、エゴや貪欲さが彼の大部分の惜しげもなく報酬を受けている同僚たちに肩を並べる動機を与えないということです。CEOのふるまいはマネージャーに全面的な影響を及ぼします。株主の利益が彼に優先することが彼らに 明らかである ならば、彼らは、一部の例外を除いて、その考え方も受け入れます。

私の後継者は、ひとつの特定の強さがなくてはなりません。それは傲慢、官僚主義そして自己満足といったビジネス腐敗のABCを退ける強さです。このような会社の癌細胞が転移してしまうと、会社の最も強いものでさえよろめいてしまうのです。それを証明する実例はたくさんありますが、友好を保つために遠い過去のからの事例だけを持ってきます。

ゼネラル・モータース、IBM、シアーズ・ローバックそしてUSスチールは、全盛期においては巨大な産業の頂点に立ちました。彼らの強さは難攻不落に見えました。しかし、結局のところ私が遺憾に思った破滅的な振舞いによって、CEOや取締役たちが考えることも出来なかったように深みに落ち込んでしまいました。かれらの一時の財務力や歴史的な収益力は、それへの防御になることを証明できませんでした。

用心深くて決然としたCEOのみが、バークシャーがより大きく強くときに、衰弱させる力を防ぐことができます。彼は、チャーリーの嘆願を忘れてはなりません。「私がどこで死ぬことになるのか教えて欲しい。そうすれば、私は決してそこへ行かないであろう」。我々の非経済的な価値が失われたら、同じように経済的価値も雲散してしまうでしょう。「トップの状態」はバークシャーの特別な文化を守る鍵です。

幸いにも、我々の将来のCEOが成功するために必要とする構造は所定の位置にしっかりできています。現在バークシャーに存在している権限の委譲は官僚主義に対する理想的な特効薬です。事業運営の感覚では、バークシャーは巨大企業ではなく、大きな企業の集まりです。本部に、我々は委員会を持ちませんし、予算を子会社に押し付けることもしませんでした。(多くが、それらを重要な内部手段として使いましたが)我々には、他の会社には当然ある、法務、人事、広報、IR、経営企画その他の事務所も部署もありません。

もちろん、我々には専門バカにとどまらない監査機能は備えています。しかしながら、通常の程度を越えて、我々は財産管理人の鋭い感覚で我々のマネージャーが遂行するのに任せています。結局、我々が彼らの会社を獲得する前までは、彼らは正しく経営していたのですから。さらに、一部の例外を除いて、指令の流れや限度のないチェックや官僚主義の階層によって成し遂げられるより、信頼して任せることのほうがずっと良い結果を生みます。もし立場が逆転したならば、我々が互いに同じように望む方法で、チャーリーと私はマネージャーたちとの交流を試みています。

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