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2015年4月 6日 (月)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2014(22)

時々、専門家はバークシャーに特定の事業のスピンオフを提案します。これらの提案は意味がありません。我々の会社は、個別の会社としてよりもバークシャーの一部として、のほうが価値があるのです。その理由の一つは、企業同士であるいは新しいベンチャーに速やかに税金がかからずに資金を動かすことのできる能力です。その上、もし、事業を切り離したりすれば、ある経費が全部あるいは一部が重複することになります。たとえば、このような例です。一人の取締役のためにバークシャーの経費はわずかです。これを何十もの子会社に分割してしまうと、その取締役に対する総コストは急騰してしまいます。それで、調整や支出の管理をしなくてはならなくなります。

最後に、我々が子会社Bを所有していることによって子会社Aに大きな税効率が生まれることがあります。例えば、バークシャーの公益事業は、それ以外のバークシャーの事業が莫大な課税所得を生み出しているからこそ、税額控除を受けられるのです。このことはバークシャー・ハサウェイ・エネルギーに風力発電や太陽光発電の分野において、他の公共事業会社以上の有利さをもたらします。

投資銀行は、その行動に応じてペイしてもらうため、買収者に公開企業に市場がつけている価格の20%から50%のプレミアムを支払うように絶えず訴えます。銀行は買い手に対し、プレミアムは「支配する価値」や買収したCEOが責任を引き受けるという素晴らしい事実によって正当化されると説明します。(どんな買収したくてしょうがないような経営者がこれに挑戦するのでしょうか)

数年後に、銀行家は全く関係のないような顔をして再び現れ、そして、“株主価値の鍵をあける”ために以前買収したビジネスのスピンオフの正当性を訴えます。もちろん、スピンオフは所有している会社から何の保障的支払いもなしに「支配する価値」を手放させます。銀行は、スピンオフした会社は、親会社をおおっている官僚主義から解放され、経営者が起業家的になるので、反映するだろうと説明します。(我々が以前に会った優秀なCEOはこのくらいにして

分割された会社が後に再びスピンオフを望むのであれば、おそらく大きな支配のプレミアムを支払うことを主張する銀行によって主張されるでしょう。(銀行仲間によるこの種の精神的柔軟性は業務に手数料がついてくるというより手数料に業務がついてくる場合がずっと多いと言わせます。)

もちろん、バークシャーでも、いつかスピンオフや売却が規制当局から必要とされる可能性はあります。銀行持ち株会社のための新しい規制が、イリノイ州ロックフォードで我々が所有する銀行に分割を求めた1979年、我々はスピンオフを行いました。

しかしながら、自分から進んでスピンオフを行なうことには、我々は価値を見出しません。我々は支配するという価値、資本配分の柔軟性、そして時には重要な税務上の有利さを失うことになるのです。スピンオフした事業を運営すれば、子会社を見事に経営しているCEOたちは、成果をあげていくのが困難になっていくでしょう。その上、親会社とスピンオフした事業は、一度切り離されたら、それらが一緒のまま続いていた時よりもはるかに多額のコストがかかってきます。

 

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スピンオフの話題から離れる前に、以前に記載したコングロマリット、LTV、から学んだことを見て行きましょう。しかし、ここでお話しするのは、D誌の1982年10月号でジミー・リングについての小さな記事で読むことができます。インターネットで調べてみましょう。たくさんの会社のバカ騒ぎによって、リングは1965年にたった3600万ドルでちょうど2年前のフォーチュン500リストの14番目にあたるLTVを取得しました。リンクは全く経営スキルを表わさなかったことに注意しなければなりません。しかし、チャーリーは自分自身を過大評価する人を侮ってはいけないと、ずっと昔、私に教えてくれました。そして、リングは、まさにそういう人物でした。

リングは自らの戦略に“プロジェクト再配置”と名づけ、大企業を買収し、それから、部分的に個別の事業をスピンオフさせました。LTVの1969年のアニュアルレポートで、その後に続く魔法を説明しています。「最も重要なのは、買収はやり方によっては2プラス2を5にも6にもする試みであるべきです」報道、一般大衆、そしてウォール街は、こういう話が大好きでした。

1967年リングは、ゴルフ用品や調剤薬局に手を広げた食肉加工業者であるウィルソン社を買収しました。その後間もなく、彼は、親会社を三つに分け、それぞれを、食肉加工のウィルソン社、ウィルソン・スポーツ用品とウィルソン医薬としてスピンオフさせました。これらの会社は、間もなく、ミートボール、ゴルフボール、失敗ボールとして、ウォール街で知られるようになりました。

その後間もなく、リングがイカロスのように太陽に近づきすぎて飛んだことが明らかになりました。1970年代初めまでに、リングの帝国は溶融し、彼自身LTVからスピンオフ、つまり解雇されました。

定期的に金融市場は現実離れすることがあります。それを皆さんは期待しているのでしょう。ジミー・リングは、また、現れるでしょう。彼らは信頼できるように見え、聞こえます。報道は、彼らの言葉にぶら下がるようです。銀行は、彼らのビジネスのために戦います。彼らの言うことは、「働く」という言葉です。彼らの初期の追随者たちは、とても賢いと感じるでしょう。そこで、我々の提案です。彼らが何をしても、2プラス2は常に4に等しいことを忘れないことです。そして、誰かが皆さんにその数字が、どのくらい時代遅れかと話す時、財布のジッパーを閉めて、休暇をとって、2~3年後に安くなった株を買いに戻ってくればいいのです。

 

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今日、バークシャーが所有しているのは、(1)比類のないビジネスの集合と良好な経済見通し、(2)一部の例外を除いて、いつも子会社の経営とバークシャーに没頭しているすばらしい経営幹部たち、(3)収益力と財務力の多様性と、いかなる状況でも失われることがない流動性、(4)自分の事業を販売する相手を探しているオーナーやマネージャーたちの多くが最初に選ぶということ、(5)我々が50年間働いて育てて、今、岩のように堅くなった、多くの大企業の比べて特徴的な文化です。

これらの強さは、我々の経営の素晴らしい基盤です。

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