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2015年6月27日 (土)

コーポレートガバナンスそもそも(10)

ノヴォノルディスクというデンマークの医薬品会社のアニュアルレポートには、従業員の退職率が明示されて、同業他社に比べて低いことが説明されている。これは、ひとつには採用コストやトレーニングコストが低いことで人件費の効率性の戦略であり、研究開発の継続性、そして以前に同社が生産していた洗剤が子供の皮膚アレルギーの原因とされて不買運動が起きたため工場を閉鎖に追い込まれ、従業員の大量解雇を行った。ところが、政府の正式な調査で、実は洗剤には何の問題がなかったことが明らかになった。そのため、環境や品質に対して問題を起こさないように効果的に活動している結果が、退職率の低さとなって、最終的に利益創出に結実しているという。これをレポートでは、数値目標と実績で示している。個人的には、あざとさを感じないわけではないが、日本企業であれば従業員の定着率が高いということについて、社風とか雰囲気といった言葉で終わらせてしまい、このように意識的に戦略としてストーリーとして経営が示しているケースは知らない。このような中でのHR戦略に関わる部門の意識やコミットメントは、ずっと具体的になってくるのではないか。こういうことを考えるのは経営者の仕事といえるのかもしれないが、こういうことを日本の企業内で提案できる可能性があるのは、私は例えばIR部門だったり、統合報告書を作ろうとしたら、こういうことも考える可能性もあるだろうし、中長期の経営計画のなかで考えることだってできるのではないか、と思う。これは、ひとつの例で、一般的な話ではない。私は、このような類のことを、コーポレートガバナンスの一環としても考えられないかと考えている。

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