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2015年8月31日 (月)

鴨居玲展─踊り候え─(1)

2015年7月東京ステーションギャラリー

Kamoipos毎年、この時期は6月末の仕事上の大規模なイベントが終わり、一息つくころなのだ。無理というわけではないが、外出の用事があれば率先して引き受けて、オフィスの外の空気を吸って、ちょっとした解放感を味わうことにしている。そのついでに、たまたま東京駅の改札を出たところで、ちょうど、この展覧会を開催していたので、この時期なら立ち寄ることができる、ということで寄ってみた。平日の夕方だったにもかかわらず、比較的入場者が多く、しかも年齢の高い人が多いようでした。ある程度の知名度のある人であるのは何となく分かりました。

さて、鴨居玲という人のことはよく知らず、この展覧会で初めて見たという始末なので、その紹介も兼ねて、主催者のあいさつを引用します。“1985年に鴨居玲が57歳でその早すぎる生涯を閉じてから30年目の年となりました。画家の内面性の表現であった自画像は、彼の美男でエキゾチックな風貌とはうらはらに、醜態をさらし自虐に満ち、時に死神と格闘する姿でもありました。死を意識しているような苦しい表情で、画家は何を訴えようとしていたのでしょうか。神とは何かを問い続け、描いた教会は不安定に傾き、やがて神の救いは無いかのように宙に浮遊しました。彼の孤独は彼の生きる姿そのものでありました。生の儚さと向き合いながら人間の生きる苦しさ、弱さ、醜さといった部分を包み隠さず描ききり、生きた痕跡を遺したのでした。描き終えた作品たちは言葉を発することなく静かに時を過ごしてきました。本展は没後30年にあたり、初期の作品から絶筆となる自画像まで各時代の代表作を中心に、鴨居展初出品の作品を含めた油彩、水彩、素描、遺品などの90余点から、本質的な自己投影の制作者であった鴨居玲の芸術世界をご覧いただきます。”

まあ、こういうところで、展覧会ポスターなどから何となく、画家のイメージが湧いてくるのではないかと思います。そして、展覧会場に比較的年を召した人影が目立ったのも、何となく理解できるような気がします。最初に断っておきますが、私が、いつも展覧会の感想としてここで書き綴っているのは、画家に対して何の利害関係もなく、自腹を切って入場料をはらって単に時間と空間を消費したという立場で、感じたことをまとめているだけです。また、この書き綴ったものを公開する時期を展覧会が終わった後にするようにして、そういう影響とは無関係のところで、感想をここに残しているというだけのことです。だから、今までもそうですが、画家や作品に対して見当違いのコメントや、不当と思われる感想も結構ありますが、それがたとえ肯定的出ない評価に感じられることであっても中傷とかそういう意図はなく(そういうものであれば、書きませんし、書いても公開しません)、あくまでも個人的な感想であるということを了解していただきたいと思います。

私が、この鴨居玲という画家の作品を、没後30年の回顧展ということで代表作が余さず並んでいたということでしたが、見た全体的な印象を一言で言うと、“ステレロタイプ” ということです。それはよい意味でも、悪い意味でもあります。主催者のあいさつの中で“生の儚さと向き合いながら人間の生きる苦しさ、弱さ、醜さといった部分を包み隠さず描ききり、生きた痕跡を遺した”と書かれているのは、作品を見る人に、いかにもそのような印象を残すようなパターンというか雰囲気が、鴨居の作品に共通して濃厚に現われていたということです。私には、そう見えました。それは、画家である鴨居が自覚していたというよりも、鴨居自身がそのパターンの中に囚われていって、その中でものを観て描くというような、パターンを充実させていって濃密になっていった反面で、袋小路にはまっていくようにパターンから抜け出せなくなっていったような印象を受けました。そこには、画家の持つ一種のナイーブさというのか作品とか、自らの認識に対しての距離の置き方が、自覚的でないというのかダイレクトである、ある意味、自分を客観視しないという感じが見えます。それは、作風は全然異なりますが、日本で人気の高い画家である、ファン・ゴッホに通じる雰囲気があるように思えます。そのあたりが、年齢の高い美術ファンの姿が会場に多かった理由ではないかと思うのです。

展示は次のような章立てでした。

Ⅰ.初期~安井賞受賞まで

Ⅱ.スペイン・パリ時代

Ⅲ.神戸時代─一期の夢の終焉

Ⅳ.デッサン

それでは、これから上記の章立てに沿って具体的に作品を見ていきたいと思います。

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