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2016年3月

2016年3月31日 (木)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(19)

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マネージャーたちを私がほめたたえるのは正当なことです。彼らこそ、本当のオールスターです。あたかもそれらがそれらの家族によって所有されたただ一つの長所かのように、彼らはそれらの事業を営みます。私は、それらの考え方が大きな公営企業の宇宙で見つけることができるのと同じくらい株主指向であると考えます。実際に働く際には金融的なことは必要ありません。ビジネスでホームランを打つ喜びはかれらには給料を受け取る以上なのです。

しかし、同じように重要なのは、我々のオフィスで私と働く24人の男女です。このグループは、効率的にSECその他の調整や多数の必要条件に対応し、30,400ページの連邦法人税申告の準備をしています。それは前年から6,000ページも増えました。彼らは州政府への所得申告の3,530のファイルを監督し、無数の株主およびマスコミの調査に応答する、年次報告を作成し、国の最大の年次会議に備えて委員会の活動を調整し、この手紙をチェックをしています。それには順調です。

彼らは陽気に信じがたいほど効率的に、これらのビジネス作業すべてを取り扱います。そして、私の人生を安楽で楽しくします。彼らの努力は厳密でバークシャーの関連範囲を上回ります。昨年、200の申し込みから選ばれた40の大学から来た大学生のQ&Aの対処をしてくれました。彼らはまた、私が受け取るありとあらゆる提案書を取扱い、旅行の手配をし、私の昼食のためのハンバーガーとフライドポテト(もちろん、ハインツ・ケチャップをたっぷりとつけて)の用意もしてくれます。これほど恵まれたCEOはほかにいないでしょう。私は毎日タップダンスを踊りたい気分で働いています。実際、私の仕事は、毎年、楽しみが増えています。

2015年、バークシャーの収益は160億ドル増加しました。しかし、見開きページ上部の2枚の写真を見てください。上の一枚は昨年のレポートからのもので、クリスマス昼食会のバークシャー本社のすべての従業員です。下の写真は25人が同じく今年のクリスマスの写真です。2015年は、誰も加わらず、誰も欠けませんでした。確かなことは皆さんは来年も同じ25人の写真を見ることになるでしょう。

皆さんは、このほかに非常に大きな会社を想像することができます。我々は世界中で361,270人を雇用しています。本部では安定した雇用の下で働いています。バークシャーで我々は数人の素晴らしい人々を雇い、彼らは我々と共にいます。その上、彼や彼女は必要でない限り、だれにも雇われません。そういうわけで、皆さんはバークシャーでリストラという言葉を聞くことはありません。

では5月2日、資本主義の揺り籠、オマハで会いましょう。そして、私の最高のギャングに会って下さい。

 

 

これで、2015年のバフェットの手紙の翻訳を終わります。

2016年3月30日 (水)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(18)

ブックワームを必ず訪問してください。何冊かの新刊を含め35冊以上の本とDVDをお届けします。アンディ・キルパトリックはバークシャーを網羅的にカバレッジしてきた最新版を、サイン入りでご案内します。それは1304ページで、重さ9.8ポンドあります。(私がこの本に贈った宣伝文句は「途方もなく貧弱」です)同様にピーター・ベブリンの新刊もどうぞ。ピーターは長いあいだ場へ区シャーの熱心なオブザーバーをやってくれました。

昨年の会議で12,000部も売れたバークシャー50年の記念本の新たな20ページ増補版もあります。キャリーと私は新たな資料を発見しました。我々が発見したのは、グローバー・クリーブランドがエドワード・バトラーやその友達、そして当時バッファロー・ニュースを出版していた会社に宛てた何通かの個人的な手紙です。オリジナルに何も手を加えず、削除もしていません。それで価格は20ドルのままです。チャーリーと私は会議期間中販売される5,000部のうち100部にランダムに共同でサインします。

私の友人、フィル・ベスは“Limping on Water”を書きました。これは彼がキャピタル・シティーズ・コミュニケーションズでの人生を年代順に記録して、皆さんに、そのリーダーであるトム・マーフィーとダン・バーグについて語った自叙伝です。この二人は最高の経営コンビでした。彼らが何をどのように達成したかは、チャーリーと私も称賛します。皆さんが人生においてどのような人になるのかは、誰を称賛し、その真似をするかによって決まります。トマス・マーフィーとともに始めましょう。彼以外の模範は必要ないでしょう。

最後に、ジェレミー・ミラーは“Warren Buffett ’s Ground Rules”を書きました。この本は年次総会でデビューします。ミラーはバフェット・パートナーシップ社の事業の調査と分析とバークシャーの文化が起源からひろがったかを説明するという素晴らしい仕事をしました。投資理論と実践に魅了されるなら、皆さんはこの本を愉しむことができるでしょう。

会議と他のイベントに入場するために必要とする証明書をどのように取得するかについて、レポートに同封した会議の招集通知が説明しています。航空会社は、バークシャの週末の間に、料金を値上げします。もし、遠くから来られるのなら、カンザスシティーとオマハに飛ぶ場合のコストを比較して見て下さい。ドライブは、それぞれ、21.5時間と2時間です。そして、特に、オマハで自動車をレンタルすることを考えているならば、目覚ましくお金を節約することができるでしょう。一組のカップルで1,000ドル以上の節約ができることでしょう。我々と一緒に、その分のお金を使いましょう。

ネブラスカ・ファニチャー・マートは、ドッジ・ストリートとパシフィック・ストリートの間の72番街に77エーカーの敷地にありますが、「バークシャーの週末」特別割引を再びやっています。昨年、この店は、年次総会のセールで44,239,493ドルを売上ました。皆さんが小売業者に、この数字を再現させられれば、彼は皆さんを信じていません。(NFSのオマハ店では週平均の売上は900万ドルです。それは我々のダラス店以外のアメリカ最大の家具店です。)

NFMでバークシャー割引を受けるためには、4月26日の火曜日から5月2日の月曜日の間に買い物をし、さらに、その時に年次総会の証明書を提示しなければなりません。この期間の割引は、通常なら値引きに応じないような名門メーカーの製品に対しても、我々の株主のための週末の趣旨により、特別な例外を行ないます。我々は彼の協力に感謝しています。NFMは月曜から金曜の午前10時から午後9時、土曜日の午前10時から午後9時30分、日曜日は午前10時から午後8時まで営業しています。今年は土曜日の午後5時30分から午後8時に皆さん全員を招待してピクニックを行います。

Borsheimsで株主のみを対象とした2つのイベントを再び開催します。最初は、4月29日金曜日の午後6時から9時のカクテル・レセプションです。第2の、メイン・ガラは、5月1日の日曜日に開催され、土曜日の午前9時から午後4時まで、我々は日曜日の6時まで開いています。店は期間中15秒ごちにチケットを発行します。

週末を通してBorsheimsには巨大な群衆が集まるでしょう。従って、ご参考までに、株主価格は4月25日月曜日から5月7日土曜日まで可能です。その期間中、バークシャーの株主であることを会議の招集通知が仲介証明書を提示して、証明してください。

日曜日にBorsheims外側のモールで、ダラス出身の注目すべき魔術師ノーマン・ベックは見る人は驚かせます。さらに、我々は世界最高のブリッジのプレイヤーであるボブ・アマンとシャロン・オスバーグの日曜の午後に二人が株主の皆様とブリッジができるのです。私は彼らに加わりたいと思います。また、アジットとチャーリーも同様です。

私の友人、アリエル・シンが日曜日にモールにきて、卓球の挑戦者を募ります。彼女が9歳の時に、私は相対しましたが、1点も取ることができませんでした。現在、彼女はプリンストンの3年生で、2012年のオリンピックのアメリカ代表です。恥をかくことを気にしないのであれば、ご自身の技術を彼女に試してみましょう。ビル・ゲイツと私は午後1時に始めます。

ゴラットは再び、5月1日日曜日はバークシャーの株主のために空席を設けています。ゴラットは午後1時の開店から午後10時までです。ゴラットの予約は4月1日(それ以前は駄目です)に…に電話してください。私のお気に入りのレストランのピッコロは閉店したという悲しい知らせをしなければなりません。

我々は同じ3人の財政的ジャーナリストに再び会議で質疑応答期間を導かせます。そして、チャーリーと私に株主が電子メールで彼らを受け入れたという質問をします。 ジャーナリストと彼らの電子メール・アドレスは、以下の通りです:フォーチュンを60歳で昨年引退しましたが、ビジネスと財政問題の専門家であり続けるキャロル・ルーミス; ニューヨークタイムズのアンドリュー・ロス・ソーキン;CNBCのベッキー・クイック。

寄せられた質問から、各ジャーナリストが面白い、重要だと決めた6つを選びます。皆さんの質問は簡潔で、時間ぎりぎりの提出にならないようにして、バークシャーに関係していて、1通のメールに2つ以上の質問が入っていなければ、選ばれる可能性があるとジャーナリストは、私に話してくれました。(電子メールには、質問が選ばれた時に質問者である皆さんの氏名を明かしてよいかどうかを書き添えて下さい。)

質問に付随してバークシャーをフォローする3人のアナリストから質問されます。今年の保険の専門家は野村證券のクリフ・ギャランです。保険以外の部門に対する質問はルーアン・クネフ・アンド・ゴールドファーブのジョナサン・ブラントそしてモーニング・スターのグレッグ・ウォーレンからだされます。我々の望みは、アナリストとジャーナリストが、我々のオーナーの理解と彼らの投資についての知識を高める質問をするということです。

チャーリーも私も質問へのてがかりも表題もありません。我々はいくつかがタフであることをしっており、それを我々は望んでいます。すべてにわたる質問は許されません。われわれはできるだけ多くの質問者に答えたいと思います。

我々は少なくとも全部で54の質問があると思っています。それぞれのアナリストとジャーナリストから6個ずつ、会場から18個を考慮に入れてです。(昨年は全体で64になりました)慣習からの質問者は、年次総会の午前8時15分に会場の11の区画から選ばれます。アリーナと主な副会場に11本のマイクがセットされ、区画で話す助けをします。

チャーリーと私は、株主がみな利益を得ている知識に関して、新しいバークシャー情報に同時にアクセスするべきでありさらにそれを分析する適切な時間を持っているべきである、と信じます。それは、我々が金曜日の市場終了近くに財務情報を出し、土曜日に年次総会を行う理由です。我々は、機関投資家やアナリストとの1対1のミーティングを行いません。そして、我々が他のすべての株主を代表として彼らを扱います。我々にとって自身の蓄えの相当な部分を任せる有限の株主以上に重要なひとは、誰もいません。

2016年3月29日 (火)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(17)

年次総会

チャーリーと私は21世紀に入ることを最終的に決めました。我々の年次総会は、今年、世界中にウェブで中継されます。会議を見るためには、4月30日の土曜日の夏時間で午前9時

https://finance.yahoo.com/brklivestream

のサイトにアクセスするだけです。ヤフー・ウェブキャストは、マネージャー、取締役と株主の30分のインタビューから始めます。それから9時30分にチャーリーと私が質問に答え始めます。

この新たな試みには2つの目的があります。ひとつは、会議の出席者をこれ以上増やさないか、減少させることです。昨年、4万人以上の出席者は我々の能力では耐え切れませんでした。センチュリー・リンクセンターのメイン会場があっという間に一杯になって、我々は溢れた人々を隣接するオマハ・ヒルトンの2つの大きな会議室に振り分けました。すべての主要なホテルはAirbnbシステムが増えたにもかかわらず満室となりました。Airbnbは、とくに限られた予算の訪問客には重宝されました。

ウェブ・キャストを始める2つの理由は、もっと重要です。チャーリーは92歳で、私は85歳です。我々が中小企業において皆さんのパートナーであり、それを続けると発表するなら、皆さんは時々確認したいと思うでしょう。対照的に、株主は我々がどのように見たり聞いたりするかをモニターするためにオマハに来ることを必要としないでしょう。(皆さんが評価をする際に、親切で言いますが、我々が最高だったときの印象を見ていないことを認識すべきです。)

視聴者は我々が延命のために節制をしているのを見ることもできます。会議の間、チャーリーと私はそれぞれコークを平らげます。シーズのファッジ(キャンディー)やピーナッツはNFLの線審に必要な毎週のカロリーを充たすほどカロリーがあります。ずっと昔、我々は基本的な真実を発見しました。本当に空腹なときでも、ニンジンやブロッコリーは好きではなく、それを押し通すということです。

センチュリー・リンクセンターのドアが開き、買い物が始まる午前7時には、株主の皆さんは会議に出席するように予定して下さい。キャリー・ソバは今年も、このお祭りを担当します。彼女は先月後半2人目の子供を生みましたが、以前と変わりません。キャリーは動じることなく、独創的で、彼女と一緒に働く人々の長所を引き出すエキスパートです。彼女は週末を、我々株主のために楽しみや情報提供の場にするために、すべての本社従業員の助けを引き出しています。

昨年、我々はセンチュリー・リンクセンターで買い物ができる時間を延ばしました。その結果売上は急上昇しました。それで、当然、我々は新たな予定を組みました。4月27日の金曜日に正午から午後5時までの間に買い物をすることができます。そして、土曜日には展示と店舗は午前7時から午後4時30分まで開いています。

土曜日の朝、我々は5回目の「インターナショナル紙の投函に挑戦」を行ないます。私たちの的は今度もまた、クライトン・ホーム・チャーチで、正確にスローイング線から35フィート離れています。私も十代のころに、短い間でしたが正直な労働者で、当時50万の新聞紙を投函しました。私は、このゲームが得意です。私に挑戦しましょう。私をギャフンと言わせましょう。私を叩きのめしましょう。私よりドアステップに近いところに投げられた人には、デイリー・バーのアイスクリームを買ってあげましょう。新聞は36から42ページあり自分で折らなければなりません。ただし、ゴムバンドを留めるのは許しません。

競技は7時15分開始です。競技者が予行演習をそれまではできます。8回の投函のうち最も正確なものが判断されます。12歳以下の4人の競争者と年寄りの4人が、私と7時45分に競争します。若い挑戦者は、それぞれに賞を受けますが、年上の人は私をギャフンと言わせなければなりません。

そして、クライトン社の家に寄ってみて下さい。それは、78,900ドルで買うことができます。過去には、我々は会議の日に多くのセールスをしました。ケビン・クレイトンは注文控えを抱えて、近くに待機しています。

8時30分からバークシャーの新しい映画をお見せします。1時間後に質疑応答を始め、そして、センチュリー・リンクでの昼食の中断をふくめ3時30分まで行います。短い休憩の後、チャーリーと私は3時45分から年次総会を招集する予定です。このビジネス・セッションは一般的に30分かそこらで、土壇場で買い物をしたいと思う方でも、すぐに終わります。

皆さんのショッピングには会場に隣接する194,300平方フィートのホールで何十ものバークシャーの子会社の製品が揃えられています。そこで多くの店を開いているたくさんのバークシャーのマネージャーたちによろしく。そこには、素晴らしいBNSF鉄道のレイアウト・ジオラマもあります。お子さんたち(みなさんも)うっとりしてしまいますよ。

今年、我々はホールで新たに特別な展示会を開きます。世界最大の航空機エンジンのフルモデルです。プレシジョン・キャストパーツ社が重要な部品を作ったものです。本物のエンジンは焼く2万ポンドの重量で、直径10フィート、長さ22フィートもあります。会議の2分されたモデルはプレシジョン・キャストパーツ社の部品が皆さんのフライトにいかに役立っているかを見る機会を提供します。

ブルックス(ランニング・シューズの会社)は、会議のために特別に提供する記念のシューズを今年も販売します。一足購入して、翌日の8時にセンチュリーリンクでスタートする第4回の“バークシャー5キロ”レースにそれを履きましょう。参加のための詳細については、会議の参加証明書に添付して皆さんにお送りするビジターズガイドに書かれています。レースに参加すれば、バークシャーのマネジャーや取締役や仲間と一緒に走ることができます。(しかし、私とチャーリーは、その時間は朝寝坊することでしょう。ファッジとピーナッツが参加賞です)5キロレースの参加者は年々増加しています。新たな記録を作りましょう。

ガイコは、国中から何人かの最高のカウンセラーの職員をショッピング・エリアのブースに置いているようにします。ぜひ立ち寄ってみて下さい。ほとんどの場合、ガイコは、皆さんに通常の8%の株主割引をすることができます。この特価提供は51の管区のうち44で許されています。今ご利用の保険の詳細を持ってきてくだされば、我々が保険金を節約できるか否かにかかわらず、チェックします。少なくとも、半分の方には、保険金を節約することができると思います。

2016年3月28日 (月)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(16)

重要なリスク

我々は、すべての株式会社と同じように、SECから我々の10-K(有価証券報告書)に毎年“リスク要因”の一覧表を作ることを要求されます。しかしながら、私は10-Kの“リスク”項目を読んで、ビジネスを評価する助けになった記憶がありません。確認されたリスクは本当でないから、ということではありません。しかし、本当に重要にリスクは通常よく知られています。それ以上に、10-Kのリスク一覧は評価のたすけとはなりません。(1)脅威が実際に発生する可能性、(2)それが発生したときのコストの幅、そして(3)その損失の発生するタイミング。今から50年に表われる脅威は社会にとって問題になるでしょう。しかし、今日の投資家にとってのファイナンスの問題にはなりません。

バークシャーは私の知るどんな会社より多くの業界で事業展開しています。我々の仕事は可能性のある問題とその機会を数え上げることです。リストを作ることはたやすいのですが、評価することは大変です。私、チャーリー、そしてそれぞれのCEOたちはこれらの可能性から生じる見込み、タイミングそしてコスト(利益)の計算の主要な方法について、しばしば意見が分かれます。

いくつか例をあげてみましょう。明白な脅威から始めますと、BNSFは他の鉄道会社のリスクに加えて、次の10年間で石炭輸送の契約を失うことは確実です。将来のことで何点か、私の考えでは長期的視点ではないのだけれど、自動運転の自動車の出現によりGEICO割り増し契約は縮小するかもしれません。この開発は同じように我々の自動車ディーラーに損害を与えることになるでしょう。我々の印刷した新聞の発行部数は減少し続けており、これは買収した時に考慮に入れていたことです。再生可能エネルギーは我々の公益事業を助けますが、とくに蓄電能力が改善されれば、変化するかのうせいがあります。オンラインの個人向け販売のビジネスモデルは我々の小売業にとっての大きな脅威であり、消費者ブランドにとっては気がかりです。これらの潜在的な脅威は我々が直面している可能性のごく一部にすぎません。しかし、ビジネス・ニュースにあまり注意していない人でも、ずっと前から気づいていることです。

しかし、これら問題のどれもがバークシャーの長期的な先行きについて重要ではありません。我々が1965年に、この会社を買収したとき、そのリスクはたった一つの文章で表わすことができました。“我々の資本をすべて投下していね北部の織物産業は損失を繰り返し、ついには消滅するでしょう。”しかし、開発は警鐘ではありませんでした。我々は単に適応しただけです。そして、今後も続けていくでしょう。

毎日、バークシャーのマネージャーたちは常に変化する世界で、どのようにして競争で優位にたつかを考えています。チャーリーと私は資金の安定した流れをどこに展開させるに注意しています。その点で、我々は業界の選択肢に強い制約を受けている企業に対して利点があります。私は先ほど項目別にあげた逆境に見舞われるかもしれませんが、バークシャーには、そういうものを苦労してはね返す資金と才能と文化あると思います。その結果として、さらなる収益力を身につけことのできるものです。

しかしながら、チャーリーも私も無力でしかないバークシャーへの脅威で現在もありますし、未来永劫にわたり存在するものが明らかにひとつあります。そのバークシャーへの脅威とは、また、我々一般市民が直面する脅威でもあります。それは、アメリカ合衆国へのサイバー攻撃、生物兵器、核兵器、化学兵器による攻撃が侵略者によって定義された“成功”することです。これは、バークシャーがアメリカのすべてのビジネスと共有するリスクです。

いずれの年でも、そのような大規模な破壊が起こる確率は極めて小さいものです。アメリカ合衆国が最初に原子爆弾を投下したという記事をワシントン・ポスト紙で読んでから70年以上経っています。その後、危機一髪の事態が数回ありましたが、破壊的な破滅は避けられています。我々は政府と、そして幸運に感謝することでしょう。

それにもかかわらず、長い目でみれば、短期的にはわずかな可能性が確実になってくるでしょう。(いずれの年でも事態が30回にたった1回おこるチャンスがあるとすると、少なくとも今世紀に起こる見込みは96.6%になります。)さらなる悪い知らせは、わが国に対して最大のダメージを課したいと思っている人々、組織、そして多分国家さえもあるということです。このようなことをするための手段は、私が生きてきたうちでも指数関数的に増加しました。“革新”には暗い面があるのです。

アメリカの会社や投資家はこのようなリスクから逃れる方法がありません。大規模な惨状に至る事態がアメリカで起こったとすれば、すべての株式投資の価値は間違いなく崩壊します。

誰も「その翌日」がどのように見えるか分かりません。しかしながら、私はアインシュタインの1949年の評が未だに適切であると思います。「私は第三次世界大戦がどのような武器で戦われるか分からないが、第四次世界大戦は棒と石で戦われるだろう」

 

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我々は今年の株主総会で気候変動を考慮した議案を提起するので、このセクションを書いています。後援者は我々に気候変動が保険事業に及ぼす危険について報告し、このような脅威に対して我々がどのように対処していくか説明することを求めています。

気候変動が、この惑星に大きな問題を引き起こす可能性は高いと思います。私は「確実」といわずに「可能性が高い」と言いました。これは科学的な根拠を持っていないからで、かつての2000年問題に対する「専門家」のひどい予測を覚えているからです。しかしながら、もし、結果として事態がほとんど確実で、迅速な行動により危険をさける可能性がほんの少しでも残されているならば、私にも誰にでも、この次の巨大な損害の発生に対して100%確実であるという証明を求めるのは愚かなことです。

この問題は、神の存在についてのパスカルの賭けによく似ています。パスカルは神が存在するということにわずかしか可能性がないとしても、信仰の欠如が永遠の悲惨を招くリスクに対して見返りが莫大であるのだから、人は神が存在するかのように行動すべきだと主張しました。それを思い出しました。同じように、この惑星が災害に向かっているということのたった1%でも可能性があり、遅れは後に引けない段階を過ぎてしまったことを意味しているのであれば、今、何もしないことは愚かなことです。これをノアの法と呼んでください。箱舟が生き残るために不可欠であるならば、たとえ、空に雨雲が現われなくても、今日、それを作り始めるべきです。

株主総会で議案を提起する後援者が、我々が巨大な保険会社で様々なリスクをカバーしているため、バークシャーがとくに気候変動によって脅かされると思っているのも不思議ではありません。後援者は天候の変化のために資産損失の危険性が一気に高まるのを心配しているのかもしれません。そして、事実として、我々が10年または20年の保険契約を固定価格で行なうならば、そのような心配は正当化されるかもしれません。しかし、保険証書は慣習的に1年契約で更新され、毎年価格を事態に合わせて評価しなおされます。損失の危険性の高まりは、すぐにプレミアの増加に転嫁されます。

私が最初にGEICOに熱心になった1951年を思い出しましょう。この会社のその時の保険契約ごとの平均損失は毎年30ドルほどでした。もし私がその時2015年に損失経費が契約ごとに100ドルに増えてしまうと予測したなら、皆さんはどのように反応するでしょうか。そのような損失の急上昇は壊滅的ではないのか、と尋ねるかもしれません。そうではありませんか。

長年にわたり、インフレーションは事故に関係する自動車の修繕や人の治療のコストの莫大な増加を引き起こしました。しかし、このように増加したコストは、それにプレミアムの増加によって、適正化されました。それで、コストが現状維持であれば、バークシャーは、今、1件230億ドルの保険より、毎年6億ドルの自動車保険を所有するでしょう。

今まで、気候変動は頻繁に大きな損失を伴う事態を起こさなかったですし、他の気象災害も保険の対象にはなっていませんでした。結果として、近年、アメリカの異常な災害の保険料金は着実に下がりました。それはそのビジネスを我々が後退させた理由です。決して確かではありませんが、そのような異常災害が大きな損害を伴い、頻繁に起こるようであれば、バークシャーの保険ビジネスに対する影響は大きくなり、より多くの利益をもたらすようになるでしょう。

一市民として気候変動にせいで眠れない夜を過ごしているのを自覚するかもしれません。低地に家を建てているので、あなたは引っ越すことを望むかもしれません。しかし、あなたが主要な保険会社の株主としてだけ考えているのであれば、気候変動は心配事のリストには入ってこないでしょう。

 

2016年3月25日 (金)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(15)

 電力事業において、我々のバークシャ・ハサウェイ・エナジー(BHE)は変化した経済モデルの中で事業をしています。歴史的に、ローカルな電力会社は効率性によって存続が左右されることはありませんでした。実際、ずさんな経営でも財政的には問題を起こさないできました。

それは公益企業が、普通、必要とされる製品の唯一の供給者であり、投資のリターンを確保できる価格設定を許されていたからです。公益企業はボスの事務所を改装するために価格を吊り上げることのできる唯一のビジネスであるというジョークが業界にありました。そして、一部のCEOは、実際、そのようにやっていました。

そんな状況は様変わりしました。今日、社会はわが国の長期的な視野で風力や太陽光発電への連邦の助成を決定します。連邦税の税額控除はこの特定地域での再生可能エネルギーの育成を助成するという方針の実施の一環として使われています。とくに高コストの事業であれば、このような税額控除やその他の再生可能エネルギーに対する政府の政府援助は、現在の公益企業の経済を侵食することになるかもしれません。会社が利益を上げるために必要とされていなかった時でさえ、BHEが長期にわたってつくり上げた効率性は、今日の市場においては強い競争力を残してくれました。これは、今日よりも明日にとって、より重要なものです。

BHEは1999年にアイオワ州の認可を受けました。その前年にこの公益事業は3,700人を雇用し、毎時1,900万メガワットの電力を発電しました。いま、我々は3,500人を雇用し2,900万メガワットを発電しています。この大きな効率性の向上により、16年間の業界が44%レートを増やしたのにたいして、我々はレートを上げることなく事業を続けることができました。

我々のアイオワ州の公益事業の安全性もまた際立っています。前の所有者が経営していたときの7.0に比べると、2015年従業員100人当たりの怪我は0.79でした。

2006年にBHEは、オレゴン州とユタ州で主に事業展開しているパシフィコープを買収しました。我々の買収の前年のパシフィコープは6,750人を雇用し、毎時5,260万メガワットの発電をしていました。昨年その数は5,700人の雇用で、毎時5,630万メガワットでした。ここでも、安全性は劇的に向上し、従業員100人当たりの事故率は、2005年の3.4から2015年には0.85に減少しました。安全面では、BHEは、今、業界トップです。

これらの優れた成績によってBHEが管区の認可を得ようとするときに規制当局に迎えられることになるのです。規制当局は、この会社が効率的で、安全で、信頼性の高い事業展開し、そして無制限の資金で事業を有意義なものにすることができることを知っています。(BHEは、我々の所有となって以来、バークシャーに配当を支払ってきませんでした。アメリカにおいて投資家が所有する公益事業でBHEほど再投資に熱心なところはありません。)

 

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私が、ここで説明した生産性向上や、その他にアメリカ各地で成し遂げられた無数の生産性向上は、素晴らしい利益を社会に供給してきました。それは、わが国の市民全体が製品とサービスの成長を享受した、そしてまたこれからも享受していく理由です。

このような考えには相殺するものがあります。第一に、近年に達成された生産性向上は主に富裕層にとっての利益となりました。第二に、生産性向上は大きな変動を、しばしば引き起こします。革新と新しい効率が世界を引っくり返す時、資本家と労働者の両方ともが恐ろしい代償を支払わされることになります。

我々は資本家にために涙を流す必要はありません。(彼らが個人投資家でも軍の公的な株主であろうとも)自分のことを気遣うのは彼ら自身ですべきことです。適切な判断により大きな報酬が投資家の下に流れたときでも、これらの人々は間違った選択による損失を受けることを免れるべきではありません。さらに、多角的で、広範囲に、そして単純に持株を保有しじっとしている投資家が成功することは確かです。アメリカでは、投資の成功で得た利益は、常に愚か者の喪失を遥かに上回ります。(20世紀のダウ・ジョーンズ平均工業株価は、66から11,497にまで急上昇しました。それを構成する企業は絶えず配当の支払を増やし続けました。)

長期雇用の労働者は異なる方程式に向き合います。革新と市場システムが相互作用して効率を生むとき、多くの労働者は、才能が時代遅れとされ、不必要となってしまいます。そのうち何人かはどこか他のところで適切な職を見つけることができるでしょう。その他の人にはオプションはありません。

低コスト競争が靴の製造をアジアに押しやってしまった時、かつて反映していた我々のデクスターの事業は破産し、小さなメイン州の1,600人の従業員は町を去りました。多くの人は別の仕事を習得できる年齢を過ぎていました。我々は投資したすべてを失いましたが、余裕がありました。しかし、多くの労働者はかけがえのない生計の道を失いました。

同じシナリオは我々が最初に手がけたニューイングランドの織物事業においてはゆっくりと起こりました。そこで、我々は期限切れになるまでの20年間、奮闘しました。我々のニューベッドフォード工場の年寄りの労働者たちはポルトガル語を話し、ほとんど英語を知りませんでした。彼らには、別の選択肢がありませんでした。

そのような混乱に際しての答えは生産性を向上する行動を抑えることや禁止することではありません。1,100万人が永遠に農業に従事するように我々が求めたとすれば、アメリカ人は、今我々がおくっているように生きることはできなかったでしょう。

むしろ、解決策はたとえ小さな価値と判断されても市場の力となる才能を見つけて、働く意欲がある人々のために適切な人生を与えることを目的とする様々なセーフティネットにあります。(私は、個人的にはアメリカの労働者の労働意欲を高めるために勤労所得税控除の改革と拡張を支持します。)大多数のアメリカ人のために繁栄を拡大させていくための代価は、不運な人が窮乏することであってはなりません。

2016年3月24日 (木)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(14)

生産性と繁栄

前のところで、私はクラフトハインツで我々のパートナーがいかにして非効率から脱し、1時間当たりの労働効率を高めたなについて、お話しました。その種の改革は1776年のわが国建国以来、生活水準を顕著に向上させてきた秘けつです。残念ですが、“秘密”という言い方は適切です。生産性と繁栄との関連性を完璧に把握しているアメリカ人は、あまりに少ないのです。そのつながりを見るために、最初に、わが国の最も劇的な例である農業をみてみましょう。その後で、バークシャーの3つの領域を見ていただきます。

1900年のアメリカの民間労働者人口は2800万人を数えました。このうち全体の40%にもあたる1100万人が農業に従事していました。当時も、現在と同じように、主要な生産物はコーンでした。およそ9億エーカーの農地で生産が行なわれ、毎年1エーカーで30ブッシェル、総合計で27億ブッシェルの生産高でした。

それから、トラクターとひとつの改革が、植え付け、収穫、灌漑、施肥、種の品質のような農業生産性のキーポイントに革命をもたらしました。現在では、我々はおよそ8500万エーカーでコーンを生産しています。しかし、生産高は年間1エーカー当たり150ブッシェル、総合計で130~140億ブッシェル以上まで改善しました。農家はその他の生産物で同じような収穫を得るようになりました。

しかし、このような産出量の増加は物語の前半にすぎません。物理的な産出の莫大な増加は、農業労働者数(“人間の力”)の劇的な縮小を伴いました。今日、およそ300万人が農業に従事しています。それはわが国の労働者人口のわずか2%にすぎません。このように、改善された農業のやり方は、今日の何千人もの労働者が時間と才能を他の試みに費やし、現代のアメリカ人がそれ以外では不足している莫大な量の農業以外の生産物やサービスを享受できるようにする人的資源の再配分を実現させました。

115年以上の期間を振り返り、農業の革新がいかに有益であったかを理解することは簡単なことです。農業のみに限らず、より広く、私たちの社会全体においても、そうです。我々は、今日理解しているアメリカが生産性改善の動きの障害となってしまう何ものももっていません。(馬に選挙権がなかったのは幸いでした。)しかし、日常的には人よりもはるかに効率的に定型的な作業をこなしてしまう機械によって仕事を奪われてしまった農場労働者にとっては“さらなる収益”という言葉は虚しく聞こえたに違いありません。我々は、ここでお話している後半で、生産性向上の裏面についてお話していきます。

しかし、当面は、バークシャーの子会社の効率面で大きな効果のあった3つの話をしましょう。同じような変化はアメリカのビジネスではよくあることです。

 第2次世界大戦が終わって間もない1947年、アメリカの労働人口は4,400万人になりました。およそ135万人の労働者は鉄道会社で働いていました。その年の第一線の鉄道会社のトン-マイルの収益は総計で655億ドルになりました。

2014年までの間、これらの第一線の鉄道会社はトン-マイルの収益を182%増の1兆8500億ドルに伸ばし、一方で、労働者数は1947年から86%減らし、たったの187,000人しか雇用しなくなりました。(この変化の一部は旅客関係の従業員も関係していますが、大部分の労働力削減は貨物輸送関係で進められました。)この驚異的な生産性改善の結果、インフレ調整をした貨物輸送のトン-マイルに要する費用は1947年以降55%節減しました。その節減が運送業者には、毎年900億ドルの節約となって返ってきました。

別の驚くべき統計です。1947年と同じような貨物輸送を現在で行なうために人を雇わなければならないとすると、我々は今の仕事量をこなす300万人以上の鉄道員を必要とするでしょう。(もちろん、雇用水準は1ロットの貨物輸送料金を引き上げました。従って、今日の取扱量ほどには輸送されることはないでしょう)

我々のBNSFは1995年にバーリントン・ノーザンとサンタフェとの合併によってできた会社です。1996年の合併後の同社の最初の年間の事業は4億1100万トン-マイルの貨物を45,000人の従業員で輸送しました。昨年実績で、これと比較すると7億200万トン-マイル(71%増加)及び47,000人の従業員(たったの4%増加)でした。このような生産性の劇的な向上はオーナーにも輸送業者にとって利益を生むことになります。BNSFの安全性は同じように向上しました。1996年では、報告される程度の怪我は毎時20万人に2.04人の割合でしたが、50%以上下落して0.95人になりました。

 1世紀少し前に自動車が発明され、これに伴い自動車と運転者のための保険の事業が創設されました。当初、このビジネスは伝統的な保険代理店で火災保険の一種として取り扱われました。このような代理店によるやり方は高額の保険募集人への手数料のほか引受業務費を必要とし、その額は1ドル当たり約40¢の割り増しにのぼりました。地方の有力な代理店は、その時、複数の保険業者を代表し、手数料をめぐってその仲間に入らない業者に対抗して蹴落とすことによって、支配的地位にありました。カルテルのような価格設定が競争に勝ち、関係者の間ではうまく行っていました。ただし、顧客を除いては、です。

そして、何人かのアメリカ人の始めた工夫が成果をあげるようになりました。イリノイ州メマの農民であったGJミシェルは、たった一つの会社で保険商品を販売する保険販売のアイディアを考えつきました。彼の生んだ保険はステート・ファーム・ミューチュアルと名づけられました。この会社は手数料と経費を削減し、低価格を実現し、すぐにそれが強みになりました。何十年もの間、ステート・ファームは自動車と住宅保険の契約高トップを独走しました。オール・ステイトもまた直接契約の方法で事業をしていましたが、長いあいだ、二番手でした。ステート・ファームとオール・ステイトは、双方とも、およそ25%を引受費用にしていました。

1930年代はじめ、もうひとつの競争相手であるユナイテッド・サービス・アート・アソシエイション(USAA)は軍の将校を対象に直接顧客と自動車保険を契約しました。このような新しい販売方法は軍人が基地から基地へと転勤するので、かれらとともに移動できる保険を必要としていたため、販売を伸ばしました。それは定住者の毎回着実な契約更新を望んでいたローカルな保険代理店にとってほとんど対象外のビジネスでした。

USAAの直接契約という販売方法は、ステート・ファームやオール・ステイトが利益を得ていたよりも低コストだったので、顧客にはより大きな恩恵を与えました。USAAの従業員であるレオとリリアン・グッドウィンが軍隊の将校という範囲を超えて直接契約の販売方法の対象となる市場を拡大する夢を実現させました。1936年に10万ドルの資本から始めて、彼らは公務員向けの保険会社(後にGEICOに圧縮される)を吸収しました。

1937年の最初の1年間で、彼らの駆け出しは238,000ドルの自動車保険事業でした。昨年、GEICOはUSAAの契約額の2倍を越える226億ドルに伸ばしました。(早起きは三文の徳、人の振り見て我が振り直せ)2015年のGEICOの引受業務費用は割り増しの14.7%でした。(GEICOはUSAAと同じくらい効率的ですが、成長を促すことを目指した広告にかなりの費用をかけています)

GEICOが低コストであるからこそ可能となる価格優位性によって、数年前に、オール・ステイトから自動車保険の分野で第2位の地位を奪ったことは驚くべきことではありません。まだ契約額においては、はるか先を行っていますが、GEICOはステート・ファームに追い迫っています。2030年8月30日か私の100歳の誕生日ですが、そのとき、私はGEICOが首位になりかわったと発表する予定でいます。みなさんのカレンダーにマークしておいて頂きたいと思います。

GEICOは1,400万人の保険契約者へのサービスのためにおよそ34,000人を雇用しています。私は代理店方式の下で同程度の数の保険契約者へのサービスに必要な労働力を推測することだけはできます。しかし、私は少なくとも60,000人は必要になると思います。それは、保険会社が直接雇う人と保険代理店をサポートするために必要な人員を合わせた数です。

2016年3月22日 (火)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(13)

投資

バークシャーには表には含まれない一つの大きな投資資産があります。我々は2021年9月までの間のいつでも50億ドルでバンク・オブ・アメリカの7億株を購入することができます。年末時点で、これらの株式は118億ドルの価値がありました。我々は、このオプションの失効の直前に株式を購入することになりそうです。そして、望むならば、我々は50億ドルでバンク・オブ・アメリカの6%を所有することができます。結果として、バンク・オブ・アメリカが我々の4番目に大きな投資で我々にとって価値の高いものであることを理解することは、みなさんにとって重要なことです。 

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今日のは短いです。

2016年3月19日 (土)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(12)

金融と金融商品

我々のリース及びレンタル事業の3社は、コート(家具)とエクストラ(トレーラー)とそしてマーモン(主にタンク車、それ以外の貨物自動車、コンテナやクレーン)です。これらの会社は業界のリーダー的存在で、アメリカの経済が強さを取り戻してくるにつれて、収入を大幅に増やしました。両社とも競合会社よりも多額の投資を新たな器材に向けて行い、それが好結果に結び付きました。強みをもつ事業はバークシャーの持ち続けている優位さのひとつです。

ケビン・クライトンは、アメリカで2番目の個人住宅の建築会社クレイトン・ホームズ社に業界随一の業績をもたらしました。昨年、クレイトン社は34,397軒の住宅を販売し、これは実にアメリカで販売された建設住宅の約45%にあたります。我々が2013年にクレイトン社を購入した時には、そのシェアは14%で業界第3位でした。

移動住宅トレーナーは低所得の市民にとって家を持つというアメリカンドリームを成し遂げることを可能にします。15万ドル以下の価格で購入できる新しい家のほぼ70%は我々のこの事業によるものです。クレイトンの扱う住宅の約46%は我々が直接所有し運営する331の店舗で販売されています。それ以外のクレイトンの売上のほとんどは1,395の自営の小売業者によるものです。

クレイトン社の収入の鍵は、128億ドルのモーゲージ・ポートフォリオです。我々は移動住宅トレーナーの住宅ローンのおよそ35%に対して、これを設定しました。我々のモーゲージ・ポートフォリオの約37%は我々の住宅販売によるもので、その他に独立小売業者が我々の住宅を販売するものと合会社の小売販売にまで融資を続けました。

クレイトン以外の貸し手は右往左往します。しかし、2008年及び2009年の金融恐慌の際、事業の資金が枯渇したときに、クレイトンはバークシャーの支援によって、貸し出しを続けることができました。実際、その時期、クレイトンは我々の製品である家を販売しなかったディーラーのために貴重な資本を使ったのです。我々が、その時ゴールドマン・サックスやジェネラル・エレクトリックに提供した資金は、いい宣伝になりました。バークシャーが静かにクレイトンに供給した資金により、何千もの家族が持ち家を得ることを可能にし、多くのクレイトンを扱わないディーラーを破産から救いました。

我々の販売小売店は単純な言葉と規模の大きさを使って、住宅購入者に資金の貸し手の選択肢を伝えます。そのほとんどは地方銀行によるものですが、そして、いつも、この情報を聞いた顧客は安心して承認します。(我々が使用している書式は119ページに載せられています)

証券化は借り手と社会にとって非常に重要です。疑うまでもなく、住宅ローンの無謀な実行は2008年の金融パニックとその後に続いた金融恐慌において主要な役割を演じました。崩壊の前年に、破壊的で多くの場合不正なローン債権の作成は次のように粉飾を重ねていきました。(1)発信者は曰く、カリフォルニアがローンを作った、(2)曰く、すぐにニューヨークの投資家や商業銀行に販売した。それらはたくさんの住宅ローンをめまいがするほど複雑な不動産担保証券としてパッケージにまとめて(3)世界中の無知の機関に売りさばいた。

これらの罪はひどい混乱を引き起こすのに十分でなかった場合には、想像力豊かな投資銀行員が時々、一次製品のジャンク部分による2次的なファイナンスをでっち上げたことです。(ウォール街が「革新的」という場合には、気をつけなくてはなりません)そのようにことが進行している間、私はこの「二倍以上」というのは、組み込まれているひとつの証券を評価するために何万ページもの死ぬほど退屈な説明文を読むことを投資家に要求するようなものだと主張しました。

このようなファイナンスの作成者ととりまとめ者は自己資金で投資することはなく、規模と値増しによって運営していました。住宅ローンの発信者が顔を背けるような露骨なローン申請をすることについて、たくさんの住宅ローン者が同じように仲間に加わりました。当然、もっともいかがわしい債権がもっとも多くの利益を生みました。口先の上手いウォール街のセールスマンは顧客には理解できない商品を産み出すことにより年間数百万ドルを得ました。(主要な格付機関が、この複雑な構造を評価することができたかは疑問です。しかし、彼らはレートについては評価しました。)

おそらくパニックの際の最もファイナンスに詳しい議員であったバーニー・フランクは、最近、2010年のドッド-フランク法を評価し、そしてこのように言いました。「私がこの法律の実施の際に見た主要な弱点は住宅ローンのリスクの維持を求めないという規制当局の決定でした。」今日、一部の議員と解説者は最終的な貸し手と住宅ローンの保証人に利益を釣り合うものとかるために、発信者には1~5%の保有を提唱し続けています。

クレイトンでは、我々は100%リスク保持を続けています。住宅ローンを始める時に、我々は、政府保証を得ることのできる少数のものを除いて、この保持を保っています。信用を与えることにミスをおかしたとき、我々はそれゆえ代償をしはらうことになります。それは、我々が家を販売することで得た利益を矮小化させる金額です。昨年、我々は8,444軒の住宅ローンに担保権を行使し、157百万ドルの損失を受けました。

2015年に我々が実行した貸付の平均は、わずか59,942ドルでした。伝統的な住宅ローンの貸し手にとっては取るに足らないが、我々の低所得者である借り手にとっては貸してもらえない金額です。我々の買い手は、年次総会でここで展示して見て頂いているようなまともな家を、毎月平均で元利平均522ドルの返済で、購入します。

もちろん、借り手の中には失業したり、離婚や死亡する人もいます。他にも、クレジットカードで借りすぎたり、資金管理を間違えたりする人もいます。それで、我々は損失を出し、我々の買い手は頭金を失います(この人が家を占有していた間返済していた住宅ローンは、今住んでいるアパートの家賃の4分の1以下だったのに)。それでも、借り手の多くは低い収入と平凡なフィコ・スコア(クレジットの履歴に点数をつけたもの)な人々であるにもかかわらず、その返済は金融恐慌においても、彼らの倍の収入を複数得ていた人々によって流通していた住宅債権より、ずっとうまくいきました。

自分の家を持ちたいという我々の借り手の強い思いは、我々の住宅ローン・ポートフォリオがうまくいった理由のひとつです。同じように重要なことは、変動金利債務か短期固定債務でポートフォリオの多くの資金を融資したことです。従って、近年の信じられないほど低い短期金利は、我々の固定レートによる金利負担と住宅ローン・ポートフォリオから得る収益との間の利鞘を拡大し続けました。(ちなみに、我々は長期債権を買って、短期のポジションで投資することで、おなじくらいのマージンを得ようと考えています)

普通は、我々がクレイトンで行なっている固定金利で長期で貸し、短期で借りることはリスクの大きなビジネスです。長年みていると、一部の重要な金融機関は、このようなことをして破産しました。しかし、バークシャーで、我々は短期金利で運用している現預金を少なくとも200億ドルを常に引き当てています。多くの場合、我々の短期投資は400億ドルから600億ドルの範囲内にあります。我々が4分の1パーセント以下で600億ドル投資をすれば、より高い短期金利に急激に移ることは、我々にクレイトンの130億ドルのポートフォリオにかかるより高い金融コストをはるかに超える収益をもたらすでしょう。銀行用語では、バークシャーは、いつもそうなのですが、敏感なヘビーアセットであり、したがって金利の上昇から利益を得ています。

我々が規制を受けながら、とくに誇りをもってことについてお話ししましょう。金融恐慌は住宅ローンの発信者、債権回収代行者および取りまとめ者が厳しい詳細な捜査を受け、何百億ドルもの罰金を言い渡されました。

詳細な捜査はクレイトンにも及びました。住宅ローンの実行が企画、元利返済金徴収手数料、徴収、広告、コンプライアンスそして内部統制の項目に関して継続的にレビューされテストました。連邦レベルで、我々は連邦取引委員会、住宅都市開発省と消費者金融保護局の質問に答えました。同様に何十もの州当局が我々を規制しています。過去2年間に、本当に、いろいろな連邦及び州当局(25の州から)が65件の事例についてクレイトンとその住宅ローンを調査、検討しました。その結果。我々は、この期間中について総額38,200ドルの罰金と704,678ドルの顧客への払い戻しを課せられました。さらにまた、我々が、昨年の住宅ローンの2.64%について担保権を行使しなければならなかったけれど、我々の借り手の95.4%が年末時点、負債のない家を所有ことに変わったので流してしまいました。

 

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マーモンの鉄道部隊は年末までに133,220ユニットまで拡大しました。9月30日にゼネラル・エレクトリックからの25,085台の自動車を会社購入によるものです。我々の鉄道部隊が一両の車両を製作する場合、エンジンはオマハで乗務員車はメイン州ポートランドで製作し、それを接続することになります。

年末時点で、我々の鉄道車両の97%はリースで、うち15~17%は毎年更新されます。タンク車は原油を運ぶ車両のように聞こえますが、我々の鉄道部隊のわずか7%で、化学物質や石油精製品は我々の輸送事業を牽引しています。列車が通り過ぎる時に、我々のタンク車を見分けるUTLXやProcorのマークを探してみましょう。そのブランドを見つけたとき、皆さんはワクワクするはずです。その一部を、皆さんが所有しているのですから。

2016年3月18日 (金)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(11)

製造、サービスと小売活動

バークシャーのこの我々の事業は水際までカバーしています。グループ全体の要約貸借対照表と損益計算書から見ていきましょう。(貸借対照表と損益計算書は省略)

一般会計原則(GAAP)に従った、我々の収入と費用のデータは38ページの上部にあります。対照的に上の営業費用GAAPに則っていません。特に、そこでは若干の購入会計アイテム(主に特定の無形固定資産の償却)を除外しています。調整された数値が集計され、企業の本当の費用と利益をより正確に反映していると、私もチャーリーも考えているので、このようにデータを提示しています。

私は、全ての調整をここで説明するわけではなく、いくつか些少で分かりにくいものもあります。しかし、真剣な投資家は無形固定資産の異種の性格を理解しておくべきです。他のものが価値を失わない一方で、いくつかは時間とともに価値を減少させていきます。例えば、ソフトウェアで償還費は実際の費用です。しかしながら顧客関係の償還のような他の無形固定資産に対する費用は購入会計規則によって発生するもので、明らかに本当の費用とは言えません。GAAP会計は費用の2つの違いを考慮しません。収益を計算する時には、両方とも費用として計算されます。たとえ投資家の視点においても、それにはもっと違っているとは思えません。

我々が38ページで提示しているGAAPに則った数値ではこのセクションに含まれた会社のための11億ドルの償還料金は費用として差し引かれます。我々は、このうちの20%は実際にあったものと考えています。そして、本当にそれらは上の表に含めた部分です。そして残りはありません。かつてのバークシャーでは存在しなかった「非-実際」の経費は、我々が為した多くの買収の結果、重要なものとなりました。我々が多くの会社を買収してきたので、「非-実際」の償却費は間違いなく将来には上昇することになるでしょう。

55ページのGAAPに準拠した表には、我々の無形資産の現在の状態が表されています。現在、我々には未償却の残りが68億ドルあり、今後5年間では41億ドル償却される予定です。もちろん、最終的に「非-実際」の償却費はすべて損失として差し引かれます。その時、本当の収入とは別に会計上の収入が増加することになります。(それは、後継する者へのプレゼントになります。)

皆さんにはGAAP基準の償却費の一部は無視するようにお願いします。しかし、マネージャーたちがすべて実際に発生した出費をオーナーに無視するように説明することが一般的になっていることを知っているので、私が、このようなことを申し上げるには、不安が伴っています。「株式報酬」はもっとも酷い例です。まさしく、その名称はすべてを表わしています。「報酬」。報酬が出費でないとしたら、何なのでしょうか?そして、実際の経常費用が収益の計算に入ってこないのであれば、いったいどこに入れればいいのでしょうか?

ウォール街のアナリストは、しばしば、このような茶番で経営者が言う報酬を無視した“収益”の数字をオウム返しにするという役割を演じています。おそらく、問題のあるアナリストは、これ以上のことは分からないでしょう。また、おそらく、彼らは経営に“アクセス”する機会を失ってしまうことを恐れているのでしょう。また、おそらく、彼らは、他のみんながやっているのだから、自分がそうしてはいけない理由はない、とシニカルに言っているのでしょう。このような推理は別にして、このようなアナリストは投資家を欺くことができる、紛らわしい数字を伝えてしまう罪深い存在です。

減価償却費は、もっと複雑なものですが実際にかかったコストです。それは、確かにバークシャーにあります。私は、減価償却費を節減させていくことで、我々のビジネスの競争力を維持することができると思っています。しかし、この51年間、私は、いまだに、それをうまくやるにはどうすればいいのかが分かっていません。実際に、我々が鉄道事業で計上する減価償却費は、鉄道の運行を維持させるのに必要な資本支出にはるかに及びません。経営の利益よりもGAAPの基準で計上する利益の方が高くなるという不適切なことになっています。(このような利益の誇張が鉄道会社すべてにあります)CEOや投資銀行員が評価基準としてEBITDAのような減価償却以前の数字を持ち出したとき鼻の下が伸びているのを見ることができます。

もちろん、我々の公的な報告は、GAAPに則ってきています。しかし、現実を受け入れるために、我々の報告した償却費の大部分が戻るのを追加することを忘れないでください。皆さんは、BNSFの不十分な減価償却費を反映している部分を差っ引いて見るべきです

 

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我々の多くの製造、サービスと小売の会社に戻りましょう。このグループの会社は、アイスキャンディーから飛行機までわたる製品を販売します。このビジネスの中には、レバレッジをかけない正味固定資産に対する収益によって測定された(つまりROE)、税引き後利益で25%から100%以上の素晴らしい経済的成果をあげているも会社が数社あります。他の会社は12~20%という範囲の好成績をあげています。

しかしながら、わずかな会社は、私が主な仕事である資本の分配で重大な間違いを犯した結果、非常に貧しいリターンしか上げられませんでした。私は、そんなことに惑わされません。私は、実際に動いている会社や産業の経済力に対する評価において誤りを犯していました。幸いなことに、私の間違いは、通常、比較的小規模な買収にありました。大規模な買収は、普通はうまくいき、ほんの少しだけ非常にうまくいきました。しかしも私は企業や株式を購入するさいの最終的なミスは犯していません。計画通りに全てうまくいくとは限らないのです。

単独の実体としてみると、グループのそれぞれの会社はすぐれたビジネスです。これらの会社は2015年には平均で256億ドルを有形固定資産に使い、僅かなレバレッジと大量の余剰資金と税引き後で18.4%の利益を得ています。

もちろん、支払いが度を越していれば、いくら素晴らしい経済学を備えた経営であっても、悪い投資となるのです。我々のビジネスの大部分は固定資産に相当なプレミアムを支払っています。それは、我々が“のれん”に対して示す大きな数値を反映したコストです。しかし、全体として、我々はこのセクターで展開させた資本上の相当なリターンを得ています。2016年にはデュラセルとキャストパーツ精密をグループに入れるので、グループとしての利益は大幅に増加するでしょう

 

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このグループには、ここで我々が個々にコメントするのに追いつかないほど、あまりにも多くの会社があります。その上、現在あるいは潜在的な競争者がこの報告書を読むことでしょう。もし、彼らが具体的数値を知ってしまったら、幾つかの分野で我々は不利な立場になってしまうかもしれません。それで、バークシャーの評価のサイズに満たない事業では、必要とされることを報告するだけにします。皆さんは88~91ページで我々の事業の多くについて詳細を見ることができます。

2016年3月16日 (水)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(10)

規制された、資本集約的な事業

我々にはBNSFとBHEという我々の他のビジネスと区別される共通の特徴をもった2つの非常に大きなビジネスがあります。したがって、我々はこの手紙でこの2社を自身のセクターに割り当てて。我々のGAAP貸借対照表と損益計算書にこの2社の統合財政統計を振り分けます。この2社は昨年のバークシャーの税引き後利益の37%を占めました。

この2社の主要な特性は、バークシャーによって保証されない大量の長期国債によって部分的に資金を供給されるという規制された資産と非常に長期の投資を有していることです。この2社には我々の信用は必要ではありません。この2社には恐ろしい景気状況においても、十分に利益をえる収益力があります。昨年において、たとえば、BNSFのインタレスト・カバレッジは8.1以上でした。(我々のカバレッジの定義は、利子に対する税引き前利益であって、EBITDAではありません。それは深い損失に対する一般的な見方です)

一方、BHEでは2つのファクターはあらゆる状況でもサービスを確実に供給することを可能にしています。第1点はすべての公共事業に共通のもので、不況耐性所得です。これは不可欠なサービスを独占的に提供している会社にだけあるものです。第2点は他の公共事業にはないもので、単一の規制機関から受ける深刻な障害から我々を守るための利益獲得の経路の多様性です。BHEとその公共事業を営む子会社は、この特定の強みを生かして、強力な親会社に所有されることで、負債のコストを大幅に削減することができました。この利点は、我々や顧客に大きく貢献することになります。

BHFとBNSFは、昨年、全部で116億ドルの設備投資をしました。この2社が適正な利益を約束する限り、我々は設備投資を惜しみません。そして、将来に向けても大きな信頼を寄せています。

我々の過去の経験と知識によって社会が流通とエネルギーに多大な投資を永遠に必要としているという我々の確信は正当化されます。重要なプロジェクトに継続して資金を提供する流れを確保することで主要な提供者をどうするかということは政府の関心によっています。監査機関や人々の代表から承認を得ることで事業を行うことは、我々の関心によっているのです。他のアメリカの主要鉄道会社4社の輸送量は40%を上回り、4.2¢から5.3¢の範囲内でした。

低価格は、このような有権者たちを満足させておくための強力な方法です。アイオワではBHEの平均小売レートは1キロワット時で6.8¢です。同じ州の他の主要な電気の公益企業のアリアントは平均9.5¢です。隣接した週の同じような数字では、ネブラスカが9.0¢、ミズーリ9.3¢、イリノイ9.4¢、ミネソタ9.7¢です。アメリカ全体の平均は10.4¢です。我々の低価格は、給料に恵まれない顧客にとっては実質的に現金を受け取ったと同じようなものです。

BNSFでは、主要な鉄道との価格の比較は輸送する貨物と旅客の比率と平均距離の両方の理由で、かなり難しいのです。しかし、我々のトン-マイルあたりの収益を非常に大ざっぱなやり方で算出すれば、昨年はちょうど3¢を下回りました。

BHEとBNSFは地球に優しいテクノロジーを推進するリーダー的存在です。アイオワ近郊の州には風力発電施設がありませんでした。そこで、昨年、我々は小売顧客へ供給している電力47%相当するメガワット時の能力をもつ風力発電を建設しました。(我々の風力プロジェクトは、2017年には、さらに58%まで増加させようとしています。)

鉄道というのはそういうものですが、BNSFはとても燃料効率がとてもよく自然に優しく貨物を移動させます。ディーゼル燃料1ガロンで1トンの貨物を500マイル運ぶことができるのです。同じ仕事をトラックが引き受ければ、その4倍の燃料を浪費してします。さらにまた、鉄道はハイウェイの渋滞を緩和します。そして、主要幹線道において交通の激化に伴うメンテナンスのための税金支出を抑えることができるのです。

2016年3月15日 (火)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(9)

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我々には、コピー困難なビジネスモデルをもち、ビジネスを規律正しく実行する保険マネージャーがいるため、バークシャーの魅力的な保険ビジネスが成り立っているのです。皆さんには、主要なユニットを説明しましょう。

フロートのサイズでみると第一は、アジット・ジェインによって運営されているバークシャー再保険グループです。アジットは他の誰もがやろうとせず、資金をかけようとしないリスクに対して保険をかけます。彼の活動は、保険ビジネスの中ではユニークな方法で、能力、スピード、決断力と最も重要な頭脳を組み込んだものです。彼はバークシャーを我々の資源に関して、不適当な危険に決して晒しません。

本当に、バークシャーは大部分の保険業者に比べて、そのようにリスクを避けるという点ではるかに保守的です。例えば、保険業界がいくつかの大規模な大災害の被害で、これまでに直面したもののおよそ3倍の損害となるような2500億ドルの損害を経験したとしても、これまでの利益の連続により、その年には穏健な額の利益を計上するでしょう。我々は、また、潤沢な現金の保持を継続し、混乱している保険市場に大きなチャンスを探し続けるでしょう。これに比べて、他のすべての主要な保険業者と再保険業者は大幅な赤字となり、そのいくつかは債務超過に直面するでしょう。

アジットが1986年のある土曜日にバーシャーに入社した時には、保険ビジネスの経験は1日もありませんでした。それでも、当時の保険事業のマネージャーだったマイク・ゴールドバーグは、彼に我々の再保険事業を託しました。そのおかげで、マイクは聖人を生んだのです。それ以来、アジットはバークシャーの株主のために何百億ドルにもなる価値を創出しました。

 

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我々には、ゼネラル・リーというもう一つの強力な保険チームがあり、これをテッド・モントロスが率いています。

本質的には、健全な保健活動には四つの規律を固く守る必要があります。それは(1)ポリシーが損失を招くような異なる際に晒されているすべての危険を理解していなければならない、(2)それを実行する場合に損失や見込まれるコストを引き起こすと見込まれるあらゆる要素を保守的に評価しなければならない、(3)将来の損失コストと営業費をカバーして、平均して利益を上げることの出来るプレミアムを設定しなければならない、(4)適切なプレミアムを得ることができない場合には退場する用意をしておかなければならない。

多くの保険会社は最初の3つのテストには合格するものの、第4に失敗します。彼らは、単に競争相手が熱心に引き受けている保険ビジネスに背を向けることができないのです。付和雷同という古い諺は、保険にはよく当てはまりますが、それ以外のどんなビジネスでもトラブルを招くことになります。

テッドは四つの保険規律を全て守りました。それは彼の成果に現われています。ゼネラル・リーの巨大なフロートは彼のリーダーシップの下でコストフリー以上の状態にあり、平均して将来もそうあり続けるだろうと予想できます。我々は、ゼネラル・リーの国際再保険ビジネスに特に注目していますそして、我々が1998年に買収して以来、一貫して有益な成長を達成してきました。

我々がゼネラル・リーを買収して間もなく、私が大きな間違いを犯したと信じる評論家たちが引き起こした問題に悩まされたことを忘れることはできません。しかし、それも遠い昔の話です。現在のゼネラル・リーは宝物です。

 

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最後に、私が64年前に最初の経験を積んだ保険業者であるGEICOがあります。GEICOは、18歳で入社し2015年までに54年にわたって勤め続けているトニー・ナイスリーによって運営されています。トニーは1993年にCEOとなり、会社を飛躍させました。トニー以上のマネージャーはいません。私が彼と知り合った40年間、彼のあらゆる行動は、たいへんな意味を持つものとなりました。

1951年1月に初めてGEICOに引き合わされたとき、私はGEICOが業界の巨人が負担する経費に比べて、莫大なコスト面での有利さを謳歌していることに衝撃をうけました。それは成功するに値するものだったので、GEICOが成功するのは明らかでした。

自動車保険にお金を払いたいと思う人はいません。しかし、ほとんどの人は自動車を運転するのは好きです。必要とされる保険は、ほとんどが家族のために加入するというものです。家族の事故に対する備えは、低コストで、実現しようとするのです。本当のところ、この手紙を読んでいる方々の少なくとも40%はGEICOで保険をかけることによって、無駄なお金を節約することができます。だから、こんなものを読むのをやめて、GEICOのウェブページが電話にアクセスしましょう。

GEICOのコスト面での有利さは、同社が年々マーケット・シェアを貪り食うように高めるのを可能にした要因です(バークシャーがGEICOの経営権を買収した1995年の2.5%に比べて、我々は2015年には11.4%に引き上げました)。このようなコストの低さは競争者との間に越えられない堀をつくり、それは永続的なものになっています。

 

一方、我々のヤモリ(GEICOのキャラクター)が、アメリカ中の人々にGEICOが如何に重要なお金を節約するかを話し伝え続けています。私は、この小さな存在がメッセージを伝えようとしてのを聞くのが好きです。「15分は皆さんに自動車保険を15%させします」(もちろん、中には快く思わない人もいるでしょう。このような人は保険以外の議論ができないので、限られた動物だけが語ることの出来るのが嬉しいと友人は言います。)

 

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我々は3つの主要な保険会社の他により小さな会社のグループを所有しています。そして、それらのほとんどは保険世界の特殊な片隅で取引を営んでいます。全体として、それらは一貫して利益をもたらしてきました。これらの会社は、過去13年間でフロートを9億4300万ドルから99億ドルにのばして、引き受け業務から40億ドル稼いでくれました。

 

3年前、我々は、このグループの中に入るバークシャ・ハサウェイ専門保険(BHSI)を設立しました。我々の最初の決定は、ピーター・イーストウッドを担当にすることでした。これはホームランでした。ピーターの経営の下でBHSIは年間10億円の掛け金を創出し、世界の主要な損害保険会社のひとつに成長する運命にあります。

 

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バークシャーの偉大なマネージャーたち、最高の財務力、そして広い濠をもった多様なビジネスモデルは保険の世界においてユニークなものを作り出しています。これらのコンビネーションは時とともに価値を高めるので、バークシャーの株主にとって大きな資産となっています。

2016年3月14日 (月)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(8)

保険業 最初に、保険事業から見ていきましょう。1967年のこのレポートを公にして以来、一貫してバークシャーの拡大成長のエンジンとなり中核を担ってきた事業です。我々が1967年にナショナル・インデミニティとその姉妹会社ナシャナル・ファイエ・アンド・マリーンを860万ドルで買収して以来、この分野は我々の拡大成長を牽引したエンジンでした。今日、自己資本で量ると、国家賠償は世界最大の損害保険会社です。さらに、その固有の価値は我々の帳簿に計上される価値を、はるかに上回ります。 我々が資産事故保険ビジネスに引き付けられた理由のひとつは財政的な特徴からでした。資産事故損害保険業者は前払いのプレミアムを受け取り、後で請求に対する支払いを行います。極端な場合、特定の労災補償事故のような場合は、支払いが数十年間延びることがあります。このような、今現金を受け取り、支払いは後になるモデルでは、我々の手元に多額の「フロート」と呼ばれる現金が据え置かれることになります。最終的には、そのお金は我々の手元を離れることになるのですが。一方、我々がこのフロートを投資に振り向けることで、バークシャーは利益を得ることができます。ここの方針や主張は行ったり来たりしますが、我々が抱えるフロートの総額はプレミアムボリュームに関して安定しています。その結果、我々のビジネスは、フロートに応じて成長しました。我々がいかに成長したかは、下に表しています。(下の表は省略) 今後、フロートをさらに増加させていくのは難しいと考えられます。プラス面としては、ガイコや我々の新しい商業保険は急速に成長していくことでしょう。しかしながら、ナショナル・インデミニティの再保険部門では、たくさんのランオフ契約を保持しており、これらのフロートが不安定で落ち込む可能性があります。我々が将来のフロートの低下を経験するとしても、それは非常に段階的で、数年で3パーセントを以上にはならないでしょう。我々の保険契約の性質は、我々の持っている現金資源に比べて、それを上回るような金額を即時に支払わなければならないような要求を受けることはあり得ない、というものです。 プレミアムが我々の費用と最終的な損失の合計を上回っていれば、フロートが産み出す投資収益を加え、我々は引受業務利益を計上します。このような利益が産み出されるとき、我々は自由なお金の運用を喜びます。さらにこれを増やしながら、後の支払いを待ちます。 残念なことに、このような幸福な結果を成し遂げたといいう保険業者の願望は、激しい競争を引き起こします。ほとんどの年に競争は活発であるため、損害保険業界全体に大きな引受業務損失を起こすほどです。この損失は、事実上、業界がフロートを保持するために支払うようなものなのです。競争のダイナミズムは、保険会社に対し、すべての会社がフロート収入を持っているにもかかわらず、アメリカの企業と比べて水準を下回る収益しか得られないという惨憺たる記録を続けることを強いています。我が国の低金利の長期化は、フロートによる利益の減少を引き起こし、それによって業界の収益環境を悪化させています。今後10年間の業界の業績が、特に再保険を専門とする保険会社において、この10年間の業績を下回るだろうということは当たっていると思います。 この報告書の最初のセクションに見られるように、バークシャーは13年連続で引受業務利益を上げてきて、この期間の税引き前利益の合計は262億ドルにも達しました。我々は、これからも、ほとんどの年に収益の高い引受けを続けるだろうと信じています。そうすることは、貴重なフロートがひどい引受け結果によって台無しになってしまう危険をよく知っている保険マネージャーたちの毎日の注意点なのです。このメッセージは保険業者の間ではお世辞として受け取るものですが、バークシャーにおいては宗教的心情になっています。 それで、我々のフロートはどのような我々の本質価値の計算に影響するのか?我々のフロートはバークシャーの帳簿価格を計算する際には負債として完全に差し引かれます。ちょうどそれは、我々が明日払わなければならなくって、それを補充するものがない時のように。しかし、それはフロートを表示するには誤った方法で、回転資金として置き換えて見られるべきです。毎日のように、我々は古い請求への支払いを行い、2015年には600万人以上の請求者に対し合計で245億ドルになり、フロートを減らしました。同じようにたしかに、我々は毎日のように新たな保険契約を結び、それによってフロートを加えるあらたな請求を引き起こします。 もし、我々のフロートの回転にコストがかからなくて、それが永続するのであれば、私はそれはありえると思いますが、この責任の本当の価値は会計責任に比べ劇的に少ないものになるでしょう。新規事業は代替品を届けることは確かなため、建物の外に出ることのない1ドルを借りることは、明日ドアを開けて出て行って帰ってこない1ドルを借りることとは違います。しかしながら、このような負債の二つのタイプはGAAP(一般会計原則)では同じものと見なされます。 この誇張された負債を部分的に相殺するのは、資産として帳簿価格に含まれる保険会社に対する”のれん”に起因する155億ドルです。しかしながら、”のれん”のコストは本質的価値とは関係がありません。例えば、もし、保険ビジネスが大規模で持続的な引受業務損失を生み出してしまうのならば、それに起因する好意資産は、当初の導入コストがどれだけかかっていても、意味がないと考えざるを得ません。 幸いにも、バークシャーはそうではありません。チャーリーも私も、我々の保険業務の”のれん”の本当の経済的価値を信じています。だから、継続的な運用価値の超過額が大きくなるかぎりで、我々の持つフロートとよく似た性質のフロートを持つ保険業務を購入するのに喜んで支払います。実に、我々の保険事業においてうまく運用された155億ドルのほとんどすべてが、すでに2000年の我々の帳簿に存在していたのです。それでまた、我々はフロートを、その後3倍にしました。それは、我々がバークシャー固有の本質的なビジネス価値が帳簿価格を大幅に上回っていると考えている理由、しかも大きな理由です。

2016年3月13日 (日)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(7)

本質的なビジネスの価値

チャーリーと私が本質的なビジネスの価値についてお話しするのと同じほど、我々はみなさんに正確にその数値がバークシャー株式の数に対してどの程度かを話すことはできません。しかし、分別のある予想をすることはできます。我々は2010年の年次報告に、3つの要素を載せました。その1つは質的で、我々がバークシャーの本質的な価値を見ることができるキーポイントと信じているものです。その議論は113ページから114ページに再現されています。

ここに、2つの量的要素の最新版があります。2015年に、我々の1株当たりの投資額は8.3%増えて159,794ドルになりました(時価で計上したクラフトハインツ株)。また、保険と投資以外の企業からの我々の税引き前利益も、2.1%増えて12,307ドルとなりました。我々は第2の要因において、投資から得られる配当や利子を除外します。それは、それらが価値の二重計上を引き起こすことになるからです。収益の数値に達するには、我々はすべての企業の間接費、利子、減価償却、償還、少数株主利益等を差し引きます。しかし、所得税は差し引かれません。つまり、利益は税引き前のものです。

我々の保険引受利益を事業利益に初めて含めたので、上記の文章ではイタリック体にしています。保険の業績は大災害の填補によって大きな影響を受けるため、我々はバークシャーの2つの量的要素を最初に考えたときには、この保険引受利益を含めませんでした。風が吹かず地面が揺れなければ、我々は大きな利益を得ることができました。しかし、大災害は赤字を招いてしまうのです。我々の事業の説明をことにおいて確実であるために、我々は、一貫して引受業務がずっとイーブンになると仮定して、年間の第2の要因の計算において、この損益のいずれも無視しました。

今日、我々の保険の業績は、我々が大災害の填補を重視するのをやめて、この事業の小さな実際上の方向を伸ばしてきたので、10年から20年前に比べて安定してきました。昨年、我々の保険引受利益は1株当たり1,118ドルとなり、ここでお話している項目の第2パラグラフで参照された利益の1株当たり12,304ドルに、その分寄与しています。過去10年間にわたり、年間の保険引受利益は1株当たりで平均1,434ドルを保ちました。そして、我々は、この利益を期待しています。しかしながら、皆さんは、特定の年においては保険引受利益は得られないことがあることを覚悟しなければなりません。

1970年以降、我々の1株当たりの投資を毎年複利で18.9%のレートで増やしてきました。そして、我々の1株当たりの利益(保険引受業務利益を最初最後の年に含む)は20.6%の速さで増えました。我々の、この2つの価値の尺度と非常に近い割合で45年間という期間にわたるバークシャーの株価が増加したことは、偶然の一致ではありません。チャーリーも私も、この2つの尺度の両方が増加してほしいと思っていますが、我々は常に業務による収益の構築をより強く求めています。

 

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さて、我々の事業の4つの主要なセクターを見ていきましょう。そのセクターそれぞれには他のセクターとはかなり異なる貸借対照表と収入の特徴があります。したがって、それらを一緒くたにしてしまうと分析できなくなります。(これらのビジネスを一つの屋根の下で持つことは、重要で永続的な利点があるのですが)そこで、我々は、チャーリーと私が見ているのと同じように、これらを4つの別々のビジネスとして説明します。我々のゴールは、皆さんが報告するマネージャーで、我々がその場にいない株主であるという逆の立場あったときに、当然望むであろう情報を皆さんに提供することです。(怒らないでください。我々に、そういう意図はありませんから)

2016年3月12日 (土)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(6)

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今年は選挙があり、候補者たちは我が国の問題(もちろん、彼らだけが解決できることですが)について話すことを止められません。このドラムビートのような否定的な言葉の連呼の結果、多くのアメリカ人は、今、自分たちと同じように子供の世代も生きるのがたいへんになっていくだろうと考えるようになってしまっています。

その見解は誤りです。今日、アメリカで生まれている赤ちゃんは、史上、最も幸せです。

今のアメリカの1人あたりのGDPは約56,000ドルです。これは、昨年、私が言及したように、私が生まれた1930年代の6倍前後で、私の両親やその世代が夢にも考えなかった大きな飛躍です。アメリカ市民は、今日、本質的に知的でもなく、1930年代の人々ほど勤勉でもありません。かえって、我々はずっと効率的に働き、それによってはるかに多くの生産をすることができます。アメリカ経済の魔力は健在でうまくいっています。

一部の解説者は我々の実質国民総生産の成長率が年間2%であるのを嘆いて見せます。そして、我々はみんな、より高い成長率を見たがります。しかし、この非常に嘆かれている2%という数字を使って、ある単純な計算をしてみましょう。すると、その率は仰天するほどの成長をもたらすのを見ることができるのです。

アメリカの人口は年間で約0.8%増加しています(国内での出生と死亡の差0.5%と移民による0.3%)。このように全体的な成長の2%は1人当たり約1.2%の成長を生み出しています。それは印象的でないかもしれません。しかし、ひとつの世代、言わば25年で、この成長率は1人当たり実質国民総生産の34.4%を生み出すことになります。(様々な要因が重なることで、単に1.2%を25倍することによって算出される結果のパーセンテージを超えてしまうでしょう)次に、この34.4%の成長は次の世代のために1人当たり実質国民総生産を19,000ドルという驚異的な結果を生みます。今日の政治家たちは明日の子供たちのために涙を流す必要はありません。

本当に、今日の子供たちはよくなっています。私の近所の中の上の階層のすべての家族は私が生まれたときにジュン・D・ロックフェラー卿が過ごしていたよりも標準的に快適な生活をおくっています。彼の比類のない富をもってしても、いくつかを具体的に名指しすれば、流通、エンターテイメント、通信、医療サービスといった分野を問わず、我々が今日当然のことと思っているものを手に入れることはできません。たしかに、ロックフェラーには力と名声がありました。しかしながら、彼は、今の私の隣人と同じように快適な生活をすごすことはできませんでした。

次世代で共有されるパイは今よりずっと大きくなるのでしょうが、その分け前をどのようにするかという方法については激しい議論が続いています。ちょうど今起こっているのは、製品やサービスの生産が増加しているをめぐっての奪い合いになっています。現役の人々と退職者との間で、健常者と障害者との間で、相続人とホレイショ・アルジャーの小説に出てくるようなアメリカンドリームの成功者との間で、当しかと労働者との間で、とりわけ、市場で高い評価を受ける才能に恵まれた者と市場が重視する技量を欠きながらも平凡で礼儀正しく勤勉な人々との間で。このような種類の衝突は、我々の間で永遠に続くものです。議会は戦場で、お金と票が武器になります。ロビイングは成長産業であり続けるのです。

しかし、よい知らせは、これらの争いの敗者となった側でさえも、そう思えば、過去に受けたよりも、ずっと多くの商品とサービスを将来には間違いなく享受することができるということです。彼らが受ける助成金は量も質も劇的によくなりました。人々が求めるものを生産するということにおいて市場システム以上のものはなく、同様に、人々自身が欲しいと分からないものでさえ提供できるのは市場システム以外にありません。若い頃、私の両親はテレビというものを想像することはできなかったし、私も50代でパソコンを必要とするとは思いもよりませんでした。二つの製品は、一度それらが何ができるかを人々が分かると、人々の人生に革命を起こしました。私は、今、毎週10時間をオンライン・ブリッジに費やしています。そして、私がこの手紙を書いているとき、検索を重宝しています。(しかし、私はTinderを使う準備ができていません)

240年の間、アメリカに対抗するのは間違いで、そうしていれば今という時は始まらないでしょう。商業と革新のアメリカの金の鵞鳥は、たくさんの大きな卵を産み続けます。

2016年3月11日 (金)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(5)

 バークシャーは、アメリカン・エキスプレス、コカ・コーラ、IBMそしてウェルズ・ファーゴという“ビッグ・フォー”に対して、昨年、投資を増やしました。我々はIBM(2013年末の7.8%から8.4%に増やすことになります)とウェルズ・ファーゴ(2014年末の9.4%から9.8%に増やすことになります)の株式を追加購入しました。他の2社、コカ・コーラとアメリカン・エキスプレスは自社株買いを行ったので、我々の所有比率は相対的に上昇しました。コカ・コーラの我々の資産は9.2%から9.3%に上昇し、アメリカン・エキスプレスでは14.8%から15.6%になりました。そして、皆さんが小数点以下のパーセンテージは重要でないと思うなら、この数字を考えてみてください。全体の中で、この4社では我々の資産シェアが1%上昇すれば、バークシャーの年間利益の分け前が5億ドル増えることになります。

この4つの会社は、優れたビジネスを持ち、才能に恵まれた、株主指向の経営者によって経営されています。これらの会社への投資によるリターンは良好から驚異的の間で推移しています。バークシャーでは、我々は、まあまあのビジネスを100%所有することよりも素晴らしい会社の相当な部分を非コントロールで所有する方を好んでいます。水晶のすべてを所有するよりは、希望の持てるダイヤモンドの一部でも持っているほうがいいのです。

バークシャーの年末の保有高がマーカーとして使われるのなら、“ビッグ・フォー”2015年の経常利益の我々の持ち分は47億ドルに達しました。しかしながら、我々が皆さんに報告している収益には、昨年は約18億ドルだった受け取った配当しか含めていません(3年前の配当は8億6200万ドルでした)。しかし、それはあやまりではありません。我々が報告していない30億ドルの収益は、バークシャーが計上する分と同じように大切なものです。

これらの会社は保有している収益で、しばしば自己株式を取得します。自己株式の取得は、我々に10セントの現金も使わせることなく、これらの会社の将来の収益に対するバークシャーの持ち分を強化する動きです。彼らは利益剰余金を、普通、有利と判断されるビジネスに投資します。これらのことから、この4社の一株あたりの利益は、時とともに、かなり増加するだろうことを予想させます。期待している利益が実現すれば、バークシャーの受け取る配当は増えるでしょう。さらに重要なことは未実現のキャピタル・ゲインの同じように増えていることです。

我々の資本配分は柔軟性があり、我々が経営を見ない事業に多額の投資をして分け前を受け取ることもできます。それは、自分でできるビジネスしか取得しない会社よりも有利になることができます。ウッディ・アレンはバイセクシャルであれば、土曜の夜にデートの相手が見つかるチャンスは2倍に増えるかに有利だといったことがありました。必ずしも、この通りいくとは限りませんが、この両方の企業に我々が投資しようとすることはバークシャーの無尽蔵のキャッシュの源泉の懸命な使い道を見つけるチャンスを2倍にするものです。これ以上に、有価証券の大きなポートフォリオを組むことは、巨大な買収が提案された時に使うことのできる資金を備蓄するにもなるのです。

2016年3月10日 (木)

恩地孝四郎展(4)~Ⅲ.抽象への方途1945~1955年

Onchiviolin 時期としては、数年間の戦争による統制から開放されて、制作に精を出し、占領軍の評価を受けて、積極的に作品を生み出して行った時期ということでしょうか。しかし、それで作風が劇的に転換したとは見えません。そこで、恩地の、この時期の作品を見ていて興味深く思われるのは、技巧的な成熟への志向が見られないということです。「あるヴァイオリニストの印象(諏訪根自子像)」という作品に描かれているバイオリニストは具象的な肖像ですが、初期の自画像と比べても下手です。かといって、抽象化したデザインにしているわけでもありません。これは、恩地が意識的にそうしているのか、そのような志向がないのか、私には分かりません。話は変わりますが、日本のコメディアンは年齢が若いころはドタバタのギャグをかまして笑いをとろうとするのに、一定の年齢に達すると、芝居の分野で渋い傍役に転換してしまう人が多いようです。若い頃は無茶にことを散々やったというようなことを言って(最近は、若い頃にロックミュージックのバンドにいた人にも、そういう例が見られます)、それをいい経験として渋い風貌を作ってみせるという傾向で、それは成熟とか洗練という評価を受けることが多いです。これは、他の分野でもそうですが、恩地の作品の変遷を見ていると、そういう傾向とは無縁で、若い頃のドタバタをマイペースでコツコツと飽くことなく続けていると思われるふしがあります。それがゆえに、決して悪いことではありませんが、ひとつひとつの作品は軽味の作品と思われるのですが、展示を通して見ていくと、ボディーブローを細かく喰らって、次第に足が止まってしまうような、身体がジワジワ重くなってくるような疲れを覚えさせられるのです。端的に言えば、退屈してきたとも言えるのですが。

この「あるヴァイオリニストの印象(諏訪根自子像)」という作品をみても、今までの作品であげてきた特徴がそのまま当てはまり、それが整理されているわけでもなく、相変わらずといった中途半端さがあります。

Onchililic 「リリック No.6 孤独」という作品です。マルチブロックという葉や紐、木片などを用いる手法を駆使したということですが、正直に言って、だからどうしたです。恩地の作品を愛でるということは、あまり目立った効果が分からないような試みを面白く見ていくということではないか、と思いました。恩地の作品の愛好者には、見当はずれとの誹りを受けるかもしれませんが。

2016年3月 9日 (水)

恩地孝四郎展(3)~Ⅱ.版画・都市・メディア1924~1945年

展示は、3章に分けられていましたが、恩地の作品をひとわたり見わたすと、画家の生涯の時期的な区切りで作風が変化していくとか、成長していったとか、そういうことがあまり感じられません。むしろ、幾つかの方向性が同時併行で進んでいて、それが多少の紆余曲折はありながらも、ずっと続けていたというように見えます。そして、恩地という人は、ある種の軽快さ(軽薄さ)をもっていて、時々の流行に敏感に飛びついていたので、そういう作品が突拍子もなく現れるといった具合です。それで、400点という物量でした。ひとつひとつの作品は、どっしりとした重量感があるわけではないのですが、正直いって、これだけ並べられると疲れました。しかも、同じ傾向が延々と続くようで、さすがに、終わりの方では、疲れもあって、飽きを感じ、退屈にもなりました。

Onchiwhite_2 前のところで述べたかもしれませんが、展示されている恩地のひとつひとつの作品に対して、私は、とりたてて、この作品でしかありえないといったような作品の個性とか、この作品といった突出したものを感じることはなく、どの作品もそれなりなので、ここでも、これはという作品を取り上げて感想を話す、というのではなく、たまたま、恩地の作品群を語るためのサンプルとして、ここで語っていこうと思います。これは、恩地の作品全体に個性がないというのではありません。コンスタントにレベルの高い作品を生み出し続けるというのは、実はたいへんなことで、それを膨大な量でやっているというところに、実は恩地という作家の一番の凄いところではないかと思えるところもあります。

「裸婦白布」という作品です。このような裸婦のポーズは西洋美術では定番のポーズで、恩地と世代が近い藤田嗣治の似たようなポーズの裸婦(例えば「眠れる女」)と比べると、恩地の特徴がよく分かるのではないかと思います。藤田の場合は、彼のトレードマークである透明感のある白がシーツ、猫そして裸婦の白い肌で使い分けられ、それぞれの使い分けられた白がグラデーションを付されて、シーツの波打つ様子や裸婦の肉体の陰影を映えるものとなっています。そして、背景の漆黒とのコントラストによって、いっそう白が妖しく輝いて見え、裸婦の肉体の凹凸のつくりだす陰影に視線がひきつけられてしまいます。これに対して、恩地の作品はどうでしょう。藤田が白を基調に作品を作っているのは明らかですが、藤田の作品にはピンク色が多用されているようです。しかし、藤田に比べると、ノッペリとした感じを免れません。シーツや裸婦に陰影はつけられていますが、藤田のような精緻さはなく、例えばシーツの襞や皺は図案のようなパターン化されているようにみえます。裸婦にも動きがなく、硬直しているように見えます。二人の画家の巧拙は別にして、こうして見ると、藤田と比べてみると、恩地の作品は肉体の存在感とか皮膚の柔らかな感触といった方向には興味が薄く、裸婦の形態とかシーツの織り成す文様とか色彩の意識的な構成とかいった要素を追究しようとしているように見えます。それはまた、「ダイビング」という作品では、水面から見上げたような視点で、水面に飛び込もうとする女性の胴体の黒い水着部分を切り取ったような構図が作品のメインで、(多分)若い女性の飛び込む際の肉体の躍動とか、筋肉のつくりだす陰影などは、ノッペリと絵の具が塗られてしまって見えてきません。これは、こじつけかもしれませんが、木版画の発想が影響しているのではないかと考えてしまうのです。木版画では、微妙な色彩のグラデーションで陰影を表現することはできないと言っていいでしょう。版木の面に塗料を塗って紙に摺るので、単純化が求められるわけです。その分、明確な形で、デザインの点で表現を追求するということになると、どうしても図案化の方向に寄ってしまう。屁理屈かもしれませんが、恩地の作品を見ていると、そのようなことを漠然と考えてしまいます。

Onchifujita_2 これは、私が恩地の作品を見ていて勝手に妄想したことですが、初期の作品のタイトルが、裸形のくるしみ、抒情、死によりてあげらるる生、などと言った観念的なポーズをとっているのは、もともと恩地が内省的な傾向と、そんな恥ずかしいほど大仰なタイトルを臆面もなくつけてしまえる気障な性向があるように思えました。間違っても対象に心奪われて、それを衝動的に描きたくなるといった、いわゆる才能に突き動かされるタイプには見えません。恩地の作品には、純真に描くということとは別の動機があって、その手段として描くという傾向が感じられます。その一番分かりやすい具体例は売れっ子になって名誉と富を得たいというものですが、あるいは自己表現の手段として、とか様々な動機が考えられますが、それらに共通していることは、描くということと必然的に結びつかないということ、つまり、描くということは、目的のために、たまたま選択された手段にすぎないということです。いい意味でも、悪い意味でも、恩地の作品には、そういうことが感じられました。そのような恩地は、学校の友人に誘われてか分かりませんが、木版画の同人誌を共同で発刊します。その時に、木版の手法が、油絵の職人芸のような手法に比べて、工業的な効率性にあるように見えたのか、工業デザインの図面のような機能性のシンプルさのような図案のような傾向に流れていき、恩地自身、そこに現代のマーケティング用語でいう差別化の契機を見出したのではないかと妄想を逞しくしています。それが、恩地の裸婦像にはからずも表われていると、私の勝手なもうそうですが、そう思います。だから、このような具象画でも、これから見ていく抽象画でも、恩地にとっては、あまり、変わらないのではないかおもうのです。

Onchidobu_2 「音楽作品による抒情 ドビュッシー「金色の魚」」という作品です。パット見で、地味なパウル・クレーといった印象です。幾何学的な図形のようなパーツをレイアウトしたようなモダンさがあるのですが、それぞれのパーツは図形のようにスッキリしていない。輪郭などの線はバラついているし、塗りにはムラがある。何より、使われている色が地味で鈍クサい。全体としてユルいんです。私が抽象絵画というと真っ先に思い浮かべるのはカンディンスキーやモンドリアンといった画家ですが、彼らの作品は、もっとキチッと描きこまれていて、何よりも画面のすべてを隅から隅まで支配しつくそうとする強い意志が行き渡っていると思います。例えば、この「音楽作品による抒情 ドビュッシー「金色の魚」」を彼らが描いたとすれば、画面の真ん中右の黒い半楕円のような形について、左側の輪郭は定規で引いたような明確さで垂直な直線をカチッと引くでしょうし、黒い図の部分と背景のグレーの境界を明確な線でキチッと分けるでしょう。そして、その上から描き足されている金色の水玉に紛れて黒の輪郭が曖昧になることを許さないでしょう。そのことによって黒い部分と背景の間に対立的な緊張関係が生まれ黒い部分が浮き上がって、一方、背景のグレーの地の部分にも、そこに描かれていないという意味が生まれてきます。しかし、実際の作品は、黒い部分はキッチリしていなくて、真ん中左の薄いグレーの半円は、形も歪んで、塗りも中途半端で、あるかないか分からないようです。カンディンスキーやモンドリアンの基準では、作品として完成していない、というよりも、下書きとかスケッチ程度でそもそも作品としての形を成していない、という代物ではないかと思えてきます。それは、前回のところで触れましたが、恩地の作品に早くからあって、ずっとあり続けた基本的姿勢として、『伊豆の踊り子』という小説の主人公に典型的に表われているような、悩める自己、といういささか自意識過剰な意識です。この場合の自分は、未だ何者にも成っていない中途半端で、一種の過渡期、つまり、どっちつかず、の曖昧な状態にあると捉えられています。そのような視点で、この作品を見てみると、描かれている形は、手描きの不安定な描線のザラザラした触覚をそのまま表わすような曖昧さで、形の中身も中途半端な塗りになっていて、形が成り立っていない経過状況の宙ぶらりんのような在り方に見えてきます。むしろ、恩地は、意識的にそのように描いているように見えます。そのように描くことによって、どのような効果が生まれてくるのでしょうか。カンディンスキーやモンドリアンのような完結した世界を構築できていない、中途半端な、未だ完成していない印象すら与える恩地の作品を見ると、どうしても見る者は想像力を働かせることを促される、そうして補完して作品を眺めようとするのではないでしょうか。そのことによって、作品が見る人によって揺らぎを生むことによって、不安定さ=移ろいやすさ=はかなさ、を生じされる。それが、この作品に独特の抒情性を与えることになっているのではないか。別の言葉で言えば、余韻でしょうか。

Onchililic これは、「音楽作品による抒情No_4山田耕筰「日本風な影絵」の内「おやすみ」」の淡い色遣いと、それぞれが透き通るように塗られた形態が、頼りないほど揺らめいた輪郭線などによって、全体としてはかなげな移ろいやすさと余韻を生んでいるように見えます。

展覧会ちらしに使われている「春の譜」という作品は、色彩においては原色に近い鮮やかな色遣いですが、明確に形を作ろうとしないところは、恩地の作品に共通していて、控えめな印象です。それは、通常であれば、アピールするところがないということになってしまうのですが、恩地は、それをあえて行なっている。そこに、この作品の特徴があると思います。

Onchispring_2 ここでは、とくに取り上げていませんが、展示されている絵画作品は少なくて、版画や本の挿絵やブックデザインがたくさんありました。このようなことから、とくに挿絵の場合には絵は傍役で過度な自己主張はできないと思いますし、ブックデザインにも同じことが言えるでしょうから、そのような姿勢が、恩地の絵画作品にも間接的に影響を与えているのかもしれません。というより、むしろ、もともとの恩地の作品に、そのような性格があったために、挿絵やブックデザインをすることも出来た、と言えるかもしれません。そのような商業デザインのようなところは、恩地の作品がスタイルとしては抽象画なのかもしれませんが、姿勢はポップアートの方に近しいのではないのか、と展示を見ていて思いました。もっとも、恩地には、ポップアートにある商業主義に対する批評性はないと思いますが。

2016年3月 5日 (土)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(4)

 ジョージ・パウロ・レマン、アレックス・ベーリングとバーナード・ヒースとの我々とのは、ハインツのパートナーシップは、昨年クラフトを買収したことによって倍以上になりました。この取引の前に、我々は42億5,000万ドルでハインツのおよそ53%を所有していました。今、我々は98億ドルでクラフトハインツの株式を3億2,540万株(およそ27%)所有しています。新しい会社は、年商270億ドルとなり、オスカーメイヤーのホットドックにハインツからはケチャップをクラフトからはマスタードを供給することができることになります。これにコークを加えると、私の大好きな食事を愉しむことができます(我々は株主総会でオスカー・メイヤー・ウィーンモービルを招待しますから、是非お子さんを連れてきてください)。


Hinz_2 我々はクラフトハインツ株を売却しませんでしたが、「GAAP」(一般会計原則)によれば、合併終了後の投資に68億ドルの評価を計上しなければなりません。つまり、我々がクラフトハインツを所有することによって、我々の貸借対照表に我々のコストを数十億ドル上回り、市場価格を数十億ドル下回る価値を計上しなければならないことで、会計士だけが好む結果です。

バークシャーも毎年720百万ドルの支払われるクラフトハインツの優先株を所有し、貸借対照表に77億ドル計上しています。その保有により、ほぼ間違いなく優先株の条件で示される最も早い予定である6月に83億2,000万ドルの償還を受けることになるでしょう。これはクラフトハインツにとってはよい知らせですが、バークシャーには悪い知らせです。

ジョージ・パウロと彼の同僚は、よいパートナーとは言えませんでした。我々は、基本的なニーズと欲求を充たす大企業を買収し、構築し、所有する情熱を共有しています。しかし、我々は、このゴールを追求する際に、異なる経路をたどります。

かれらのやり方は、それはとても成功したものですが、多額の不要な経費を省く機会を提供する会社を買収し、その後迅速に動いて仕事を成し遂げるというものです。彼らの行動は生産性を高める効果があり、それは、240年にわたるアメリカの経済成長の非常に重要な要素だったものです。限られた労働の範囲内で欲しい商品とサービスに費やす分を抑えるということ、それは、生産性向上の基準ですが、経済は必然的に停滞してしまいます。アメリカの企業の多くで、本当の意味での生産性の大きな向上は可能で、事実、ジョージ・パウロと彼の同僚にチャンスを提供しているのです。

バークシャーでは、我々も効率を求め、官僚主義を嫌悪しています。しかし、ゴールを達成するために、我々は単に肥大化することは避けて、PCCのようなコスト意識と有能なマネージャーにより長期的に運営されている企業を買うという方法を続けています。買収した後の我々の役割は、その会社のCEOが同じ志をもった後継者が自身との仕事から生まれる経営の成果と喜びを最大にできる環境をつくることです。(この不介入のスタイルによって、私はチャーリー・マンガーの考え方に従っています。「惨めな一生を保証されたいのなら、自身の態度を変えるつもりの人と結婚することだ」)

我々は、本当に聞いたことがないような、バークシャーを分割してしまうような極端な仕事をやり続けます。しかし、我々は、また、彼のグループによるティムホートンズの買収のように我々の提携は、時には、資金面でのものに限られます。しかしながら、我々の協定は永続的な資産パートナーとして、場合によっては取引の際の資金調達に貢献するような、連携していくことになっています。ジョージ・パウロとのパートナーシップは、そのどちらかなるとして、機会を探しています。我々は、また、時には、バークシャーでうまく行ったときのような、他のパートナーと組むかもしれません。

しかし、バークシャーは友好的な買収をするパートナーとだけ組みます。たしかに、特定の敵対的買収は正当化されるでしょう。一部のマネージャーは自分達が株主のために働いていることを忘れています。他方では、どうしようもないマネージャーもいます。これらは、取締役が問題を分かっていないか、あるいは、単に必要とされる変化を嫌っているか、どちらかです。これは、新しい経営者が必要な時です。しかし、我々は他の人のために、このような機会を残しています。バークシャーで我々は歓迎してくれるところにしか行きません。

 

2016年3月 4日 (金)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(3)

 我々のこれより規模の小さい非保険事業の会社の多くは、2014年の51億ドルから増加させて、昨年は57億ドルの利益をあげました。この中では昨年、1社が7億ドル以上の利益をあげ、2社が4億ドルから7億ドルの間の利益で、7社が2億5000万ドルから4億ドルの間の利益、6社が1億ドルから2億5000万ドルの間の利益で、11社が5000万ドルから1億ドルの間の利益をあげました。我々は、このすべてを愛しています。このグループは、年々、会社の数も1社あたりの利益も増加します。

 皆さんがアメリカのインフラが崩壊しているという話をどこかで聞いたとしても、それはバークシャーには当てはまりませんので安心して下さい。我々は昨年、160億ドルを資産、設備と器材に投資し、そのうち86%はアメリカ国内向けでした。

私は、2015年には、最初にBNSFの設備投資した資産について説明しました。毎年末には我々の鉄道の現場の設備は12ヶ月前の年初よりも改良されています。

バークシャ・ハサウェイ・エネルギー(「BHE」)にも似たような話があります。この会社は再生可能エネルギーに160億ドル投資し、現在の我が国の風力発電の7%、太陽光発電の6%を所有しています。本当に、我々の正規の風力発電施設で4,423メガワットを発電し、管理していますが、それは、我々の競争者の6倍に相当します。

昨年、BHEはパリ気候変動会議を支持し、再生可能エネルギーの将来の発展のために大きな約束をしました。環境のために、そしてバークシャーの経済のために、これらの約束を果たすことには大きな意味があります。

 バークシャーの広範な保険事業は、13年にわたり引受業務利益を営み、2015年にはまたフロート(顧客から保険料として預る現金(一応、負債))を増やしました。このフロートとは、我々が所有しているのではないけれど、我々がバークシャーの利益のために投資に回すことができる資金のことで、13年間で410億ドルから880億ドルに増加しました。我々のフロートの増加や総量は直接バークシャーの利益となるわけではないけれど、我々がそのフロートの保有を許されることで莫大な投資収入をもたらすのです。

 一方、我々の引受業務利益は、2015年に実現した18億ドルを含めて、13年間で260億ドルとなりました。疑いなく、バークシャーの帳簿外の資産はこの保険事業にあります。我々はねこの多面的な活動を構築するために48年間を費やしました。これを改めて再びつくることはできないでしょう。

 チャーリーと私は新たな買収先を探しているあいだ、我々の多くの子会社は定期的にボルトオン買収を行っています。昨年は、我々はこのような契約を29件締結し、全体で634百万ドルかかる予定でした。これらの回収のコストは30万ドルから143百万ドルにわたるものとなりました。

チャーリーも私も、それらが適切な価格で提供される限り(しかし、我々に提供される大部分はそうではありません)、これらの取引を奨励しています。それらは、我々の既存のビジネスに適合し、我々の経営の専門部隊によってマネジメントされる活動において資本を展開します。これは、我々の仕事を増やすのではなく、より多くの収益や魅力的な事業のコラボレーションに結び付くのです。このようなボルトオン買収は今後はもっと多くなっていくでしょう。

2016年3月 3日 (木)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(2)

今期のバークシャー

バークシャーの副社長であり、私の長年のパートナーであるチャーリー・マンガーも私も、バークシャーの正規の収益力は年々増加していると思っています。(もちろん、実際の年々の利益は米国経済の弱体化や、おそらく大規模な災害のために下落することがあります)ここ数年は、正規の利益の増加は縮小しています。昨年はよかったのですが。では、今期のハイライトに入りましょう。

 2015年におけるバークシャーの最も重要な発展は、よりよい収益率へと導いたもので、金融関係ではありませんでした。我々のBNSF鉄道は、2014年の業績低迷の後、昨年、顧客サービスを劇的に改善しました。そのような結果に到達させるため、我々は、その年に58億ドルの設備投資をしました。これは、アメリカの鉄道会社の通常の場合をはるかに超え、3年分の減価償却費に相当します。そして、それは有効に使われました。

鉄道、トラック、航空機、船あるいはパイプラインのいずれの輸送手段を含めて、BNSFはトン-マイルあたりの収益で量ると、アメリカの都市間の貨物輸送の17%をシェアを占めています。その点で、我々はアメリカの7大鉄道会社(うち2社はカナダに本拠を置く会社ですが)の中でダントツのナンバー・ワンで、我々にもっとも近いライバル会社に対して貨物輸送のトン-マイルあたりで45%以上取扱量で勝っています。従って、我々が第一級のサービスを維持することは、我々の荷主にとって不可欠であるだけにとどまらず、米国経済の円滑な流通にとっても非常に重要なことなのです。

ほとんどのアメリカの鉄道会社にとって2015年は失望の年でありました。総トン-マイル数は落ち込み、従って収益も減少しました。しかしながら、BNSFは総取扱量を維持することができ、税引き前利益で68億ドル(2014年に対して606百万ドルの増益)という記録的な結果となりました。BNSFのマネージャーであるマット・ローズとカール・アイスにおかげです。

 BNSFは我々の「五つの原動力」というバークシャ・ハサウェイ・エネルギー、マルモン、ルーブソールそしてIMCで攻勢されるグループの中で最も規模の大きな事業です。我々の五つの最も有力な非保険事業であるこれらの会社は、2015年には総計で131億ドルの収益をあげ、これは2014年に比べて650百万ドルの増加となりました。

 五つのうち、バークシャ・ハサウェイ・エネルギーだけでも、2003年に取得してから393百万ドル稼いでいます。その後、我々はすべて現金ベースで4社のうちのもう3社を取得しました。しかし、5番目の会社であるBNSFを買収する際には、現金でコストの約70%を支払い、残りを発行済み株式増加分の未決済分の6.1%をあてました。言い換えると、12年のスパンを通して5社によって127億ドルの年間利益の増加が届けられたのは希釈分だけを伴っているということです。我々を満たすゴールというものは、単純な(収益)成長のみでなく、むしろ一株当たり収益成果の増加だということです。

 来年について、我々は「六つの原動力」の検討をしています。新たに参加するのはプレシジョン・キャストパーツ社(PCC)という320億ドルの現金で1ヶ月前に取得した事業です。PCCは全くバークシャー・モデルに適合しており、我々の正規の1株当たりの収益力を大幅に向上させてくれます。

CEOノマーク・ドネガンの下で、PCCは航空宇宙部品についての世界の主要なサプライヤーになっています。その部品は、会社にとって同じくらい予備品が重要であるけれど、そのほとんどオリジナルの部品として扱われるようになりました。マークの業績は、私にはIMC、それは我々の切削工具を扱う注目すべきイスラエルのメーカーでありますが、そこでヤコブ・ハルパがいつも行使している魔法を思い起こさせます。この二人の男性は、どこにでもある原材料を世界中の主要なメーカーで使われる驚異的な製品に変えてしまうのです。彼らの技術はダヴィンチの天才に比肩します。

PCCの製品は、しばしば複数年の供給契約を取り結ばれて、ほとんどの大型航空機の主要部品となっています。他の部門では30,466人の従業員が、13カ国、162のプラントに従事しています。このようなビジネスの構築において、マークは多くの買収を実行しており、今後も一層実行していくことでしょう。我々は、彼が、バークシャーの資本を展開させていくのを期待しています。

 PCCの取得によって、バークシャーは独立した経営を行なっていれば、フォーチュン500に当然入るような企業を10と4分の1所有することになります。(クラフト・ハインツの27%を我々が所有しているのが、この4分の1に当たります)我々に連絡するに至っていないアメリカの大手企業は98%残されています。我々は待ち構えています。

2016年3月 2日 (水)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(1)

先日、バークシャ・ハサウェイのホームページに、ウェーレン・バフェットの「株主への手紙」の2015年版が掲載されました。

これから、その全文を日本語にして、ここで掲載していきたいと思います。ただし、下手な訳、というよりも直訳に近いだろうから、読みにくいと思われた人は、原文を当たってみてください。

下のURLにあります。

http://www.berkshirehathaway.com/letters/2015ltr.pdf

 

それでは、少しずつ訳していきたいと思います。このような拙い翻訳を始めて7年目となりますが、以前は全部終わったところでまとめてアップしていましたが、去年から、ある程度進んだところで、その都度アップするようにしました。そのため、仕事の都合や翻訳のペースによってアップの時期が一定しませんが、我慢してお付き合いください。それでは、始めて行きたいと思います。

 

 

 

バークシャ・ハサウェイの株主の皆様

 

2016年のバークシャーは株主価値をトータルで154億ドル増やすことができました。我が社のクラスAとクラスBの株式の1株あたり帳簿価格は両方とも6.4%増加しました。現在の経営陣が経営を引き継いでから51年の間に、帳簿価格は19ドルから155,501ドルに成長させました。これは年間複利で19.2%に当たります。

 

この期間の前半では、バークシャーの自己資本は、事業の本質的な価値を実際に計算した数字とほとんど等しいものでした。バークシャーの資産は主として、その現在の市場価格に連動して継続的に再計算される有価証券だったからです。帳簿価格の計算に関係する大部分の資産は、ウォール街の言葉でいう「マーケット・トゥ・マーケット*」であったのです。

*各種金融商品の取引において、現在保有している資産(ポジション)を実際の市場価格(市場レート)で計算し、時価で評価し直す(現在価値に引き直す)ことをいう。

 

しかし、1990年代はじめまでに、我々の置く重点は、貸借対照表上の関連数値を減少させ、主として企業を所有し運営することにシフトしました。これらの多くは、それぞれのコスト・ベースの帳簿価格よりも、はるかに多くの価値があります。しかし、これらの会社の価値がどれほど増加しても、その合計額が上方に再評価されることはありません。

 

我々にはその両方についての経験があります。私はいくつかの愚かな買収をし、これらの会社の経営権を得るために支払った総額を失い、バークシャーの帳簿価格を減少させてしまいました。また、我々は、幾つかでは、少ないけれど非常に大きな勝者となりました。

 

時間が経つにつれて、この非対称の会計処理はバークシャーの本質的な価値と帳簿価格とのギャップを実質的に拡大しました。それについては、我々も承知しています。今日、巨大で成長している“勝利”による帳簿外の収益はバークシャーの本質的な価値が帳簿価格を大きく超えることを明らかにします。そういうわけで、我々は、帳簿価格の120%ていどの安値で自己株式を買い戻すことができるのです。その水準での自己株買いは、バークシャーの株式を継続的に所有している株主のために1株当たりの本源的価値を、速やかに有意味に高めることができます。

 

我々の所有しているビジネスの帳簿外の価値が増加しているということは、バークシャーの時価総額がなぜ、帳簿価格を上回るほど増大しているかの理由を明らかにしてくれます。このことを念頭において、我々は見開きページのパフォーマンス・テーブルに、バークシャーの株価の歴史的な記録を、新しいデータとして追加しました。このことを私は強調したいのですが、市場価格は短期的には限界に縛られます。年毎や月ごとの株価の動きは、しばしば不安定で本質的な価値の変化を表わしていません。しかし、時間が経つにつれて、株価と本質的な価値は、ほとんど常に収斂するのです。

2016年3月 1日 (火)

恩地孝四郎展(2)~Ⅰ.『月映』に始まる1909~1924年

Onchiself 展示室に入るとすぐに目に入ってくるのは、18歳のときの「自画像」です。画像で見ると、稚拙ながら、青年ゆえの荒々しさというのか、勢いのようなものがあるように見えます。これを、実際に見た印象は、それとは少しずれていて、荒々しく絵の具が塗りたくられているようで、その割にはマチエールが感じられないのです。つまり、絵の具を塗りたくっているのではなく、このように絵の具を丁寧に置いているのです。荒々しい筆触のように見えるのは、顔という立体を筆で引いた長方形の平面の集まりでできた形態のように捉えて描いているように見えました。色遣いは、画像の荒々しい印象とは裏腹に、淡色系が主体で、唇の赤を除いて、どぎつさというほどの強いインパクトを持っていません。そこに、実体としての人物のどっしりとした存在感が稀薄なのです。この自画像を見ていると、普通の(?)油絵を描く見方ではなくて、デザイン画の見方に拠っているように思えるのです。分かりやすい類似例は、マンガの雑誌で連載の表紙の色塗りしたコマで、普通の白黒のコマと異なって色付けし、陰影をつけられているものです。これが、私の恩地の第一印象で、以降の展示作品を見ていくと、そのような印象が強まっていきました。

引用した解説にあるように“恩地孝四郎は10代で竹久夢二に私淑し、1914年に東京美術学校に通う田中恭吉・藤森静雄とともに木版画と詩の同人誌『月映』を創刊、表現者の道を歩み始めました。”という『月映』を通じて発表された作品がたくさん並んでいました。

Onchimegumi 例えば、「めぐみのつゆ」という作品を見てみたいと思います。木版画の作品ですが、私が一般的に木版画というものに対して抱いているものとは、いささかイメージが異なります。私が抱いている木版画のイメージは棟方志昴の作品のような版木となる木という素材による制約を受けて、また木の特性を活用した表現を追求していこうとする作品です。具体的にいうと、木という材の硬さと柔らかさのゆえに、彫刻刀によって切り刻んだ跡が明確に形に残すことができて、それによって表わされるものは、ペンや筆で描かれたものとは異なった独特の感触を見る者に与えることができるわけです。この棟方の作品を見ると、彫刻刀によって刻まれた直線が、線そのものは鋭い切り込みがあるものの、真ん中あたりが曲線的な丸みを帯びたふくらみをもっていて、鋭いだけでない温かさも併せ持っているのです。この棟方の作品では、仏像の身体の輪郭や、その姿勢から生じる襞が、彫刻刀によって刻まれる線で表現されて、肉体の肉付きを連想させるような太さを持った線と、彫刻刀の勢いよってうまれる動きを感じさせる線となっていて、独特の官能的な味わいを醸し出しています。また、仏像の形態は、版木を彫刻刀で削るという技術的な制約による形態を活用して、その制約ゆえに独特のデフォルメを施したような単純化が、結果として写実では見えてこない素朴で宗教的な雰囲気を作り出しています。木版画という手法が作品の表現と一体化しているといってもいいのではないでしょうか。これに対して恩地の木版画では、棟方とはまったく異なる表現が行なわれています。この月と女性の姿は、棟方の作品の仏像のような木版画ならではのものとは違います。恩地の作品は一種の図案のようで、木版画にしなければならないということが、棟方の作品のように感じられません。例えば、彫刻刀によって刻まれる特徴的な線は、左下の草葉で用いられていますが、葉をこうしなければならないというものではありません。趣向の域を脱していないと言えます。ではなぜ、恩地は木版画などという絵筆で描くことよりも手間のかかる(彫刻刀で版木を削る手間もありますし、一度削ったら描きなおしはできないというリスクもあります)ことを、わざわざ手法として選んだのでしょうか。それは、ひとつには半楕円の背景の黒い部分が均一な平面にしたかったのではないかと考えられることです。版楕円のまわりは紙の白い地の部分で、黒い楕円の先端部分には大きな弓形の月が白く平面に広がるようにあります。それらが白-黒-白の色の対比と平面という共通性の基にある、という効果が、たしかに、この作品ではあるのです。そのように面としての均一性を確保するために、簡単な方法として木版画を選んだのではないか。そして、描かれているのは図案化された月と女性の形態です。私が思うに、恩地は版木の扁平な面を使って均一に彩色された面が欲しかったのではないか。

Onchinamida 「泪」という作品では、図案化が進んでいます(私には、よりマンガらしく見えてしようがありません)。この作品では黒い三角形と四角形が交わる鋭角的な隙間に白く人の顔の一部を図案化したものが垣間見えています。その直線で区分された白と黒の対象に、目の丸い曲線が対比的に表われています。しかし、このような対照を表わしている作品であるにもかかわらず、対立の緊張感とか先鋭さは感じ取ることができません。それは、木版という素材によるものが原因していると思います。例えば、鋭い直線や曲線を均一に刻むのは難しいということでしょうか。この作品での線が素朴であるように鑑賞者の目に映るようになっていて、それが鋭さとか対照の緊張感を和らげているようです。それは、先ほど述べたこととは矛盾するようですが、木の表面が一様ではないので、版木を摺った黒い部分にムラがあって、それが却って人間臭さを見る者に感じさせています。この鋭くならないことによって、モダンでスタイリッシュな図案でありながら、それを徹底していないことで、温みのようなものとして受け容れ易くなる。イメージ的な言い方ですが、スタイリッシュという言い方からイメージされる先鋭性ではなくて、オシャレという言い方にある先進性と通俗性が綯い交ぜになったような、そのような雰囲気をつくり出していると、私には見えました。それが、恩地という作家のセンスであり、作品の肝ではないでしょうか。そのことは、恩地の作品のタイトルを追いかけていくと納得できるのではないかと思います。これまでに見た「めぐみのつゆ」「泪」それから「裸形のかなしみ」「抒情」といったような、およそ感傷的、自意識過剰、大げさなタイトルが並んでいます。そしてまた、流行の最先端のようなモダンで先鋭的なデザインと木版の温もり、そしてまた、タイトルの自意識過剰なセンチメンタリズム。それぞれが相容れない要素が混在して、というと格好良く聞こえますが、節操もなく、まるで流行を追い求めているような軽佻浮薄さが、そこには感じられます。今まで見てきている恩地の作品には、どこか浮ついた感じがしてなりません。


Onchinude_2 このことを、彼の生まれた時代背景とか状況で考えることを試みたいと思います。ここで、話を脱線させますが、恩地と少し世代がずれますが、ほぼ同じ空気を吸っていると思われる川端康成の『伊豆の踊り子』という小説をネタに考えていきたいと思います。この短編小説は登場人物である踊り子を時代の少女アイドルが演じて映画化されたことが何度もあり、一般によく知られている作品だと思います。しかし、この小説の主人公は踊り子ではなく、映画では踊り子の相手程度の位置づけにされている旧制一高の学生で、彼の一人語りの体裁となっています。かいつまんで粗筋を言えば、過剰な〈自意識〉に堪え切れずに伊豆の旅に出た一高生の「私」が、偶然に出会った旅芸人一行と共に旅する中で、社会的階級意識に起因する彼らへの偏見が無化され、肉親らしい愛情でつながり合った家族的共同体秩序の中に溶け込んでいき、純粋な幼さを失っていない踊子から「いい人」と思われることによって精神の健全さを自覚し、それまでの苦悩から解放されて素直に人々と関わり合えるようになる。そういう、言うなれば教養小説、悩める青年がさまようといった話です。

これは明治維新から始まった近代化政策が成熟期に達し、それに伴った社会の変化のなかで、人々の意識構造も当然変化していくことになります。その新しいあり方を体現していたのが明治の終わりに、生まれたときから近代化した環境に囲まれて育った、この主人公のような人々(川端も恩地も同じでしょう)です。彼らは、江戸時代以来の共同体的な人間関係の中で安定的に育まれはずの自己というものが、近代的な<都市>という従来の共同体文化を解体してしまった上に立った環境で育ちました。しかし、その一方で、人の意識はその変化に追いつくことができず、都市のような近代的になりえないため、時代環境に齟齬を抱き、そこに生じた葛藤を負うことになったのです。従来の家族や地域社会といった共同体は、彼らにとって安住できるものではなくなり、むしろ、そこから脱出すべきものと位置づけられていきます。それゆえ、彼ら自身としての個人は、共同体にいることができず、かといって近代的な自我を確立させ個人として独立することもできない。いうなれば、根無し草のような状況に置かれ、自己の拠り所を求めてさまよう。それが『伊豆の踊り子』の主人公の伊豆山中の彷徨であったといえるのではないかと思います。

ただし、このような悩みを抱えるというは贅沢でもあったわけです。『伊豆の踊り子』という作品では、このような悩みを抱えているのは主人公だけです。この小説は、主人公が踊り子と出会うことにより、癒され、自分の殻に閉じこもっていたのを、自己を開くように導かれていくというストーリーになっています。この主人公のような自己の殻に閉じこもるというのは、苦しいと感じる反面、甘美なものでもあるはずです。それがセンチメンタリズムというものの本質ではないかと思います。生活、もっというと生存の実体が伴わない机上で、小難しい概念とか知識をこねくりまわして堂々巡りに陥る、身も蓋もない言い方ですが、『伊豆の踊り子』の主人公の悩みを、この小説の彼以外の登場人物からは、そのようなしか映らないでしょう。

さて、ここで恩地の作品に戻ります。そこで、かなり短絡的な議論の進め方ではありますが(呆れられてしまいそうです)、恩地の作品の軽佻浮薄さは、上で紹介した『伊豆の踊り子』の主人公と同じような境遇から生まれてきたものではないか、と思われるのです。そして、恩地の作品を後世である現代の我々が受け容れて鑑賞しているのは、我々が、ここで紹介した大正期の根無し草の青年たちを引き継いで、現代でも同じようなあり方を続けているからに他ならないのではないか、と思われるからです。そして、恩地の作品のタイトルの大仰で自意識過剰なところは、ここにあるような心象のなかで、恩地や彼の周囲に漂う雰囲気に敏感に反応したものではないか、と私には思えてきます。ぶっちゃけて言えば、ウケ狙いです。それは悪いことではありませんが、後世の人が、そのタイトルのものものしさに、過剰な意味づけをしてしまう危険はあると思います。

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