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2016年3月18日 (金)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(11)

製造、サービスと小売活動

バークシャーのこの我々の事業は水際までカバーしています。グループ全体の要約貸借対照表と損益計算書から見ていきましょう。(貸借対照表と損益計算書は省略)

一般会計原則(GAAP)に従った、我々の収入と費用のデータは38ページの上部にあります。対照的に上の営業費用GAAPに則っていません。特に、そこでは若干の購入会計アイテム(主に特定の無形固定資産の償却)を除外しています。調整された数値が集計され、企業の本当の費用と利益をより正確に反映していると、私もチャーリーも考えているので、このようにデータを提示しています。

私は、全ての調整をここで説明するわけではなく、いくつか些少で分かりにくいものもあります。しかし、真剣な投資家は無形固定資産の異種の性格を理解しておくべきです。他のものが価値を失わない一方で、いくつかは時間とともに価値を減少させていきます。例えば、ソフトウェアで償還費は実際の費用です。しかしながら顧客関係の償還のような他の無形固定資産に対する費用は購入会計規則によって発生するもので、明らかに本当の費用とは言えません。GAAP会計は費用の2つの違いを考慮しません。収益を計算する時には、両方とも費用として計算されます。たとえ投資家の視点においても、それにはもっと違っているとは思えません。

我々が38ページで提示しているGAAPに則った数値ではこのセクションに含まれた会社のための11億ドルの償還料金は費用として差し引かれます。我々は、このうちの20%は実際にあったものと考えています。そして、本当にそれらは上の表に含めた部分です。そして残りはありません。かつてのバークシャーでは存在しなかった「非-実際」の経費は、我々が為した多くの買収の結果、重要なものとなりました。我々が多くの会社を買収してきたので、「非-実際」の償却費は間違いなく将来には上昇することになるでしょう。

55ページのGAAPに準拠した表には、我々の無形資産の現在の状態が表されています。現在、我々には未償却の残りが68億ドルあり、今後5年間では41億ドル償却される予定です。もちろん、最終的に「非-実際」の償却費はすべて損失として差し引かれます。その時、本当の収入とは別に会計上の収入が増加することになります。(それは、後継する者へのプレゼントになります。)

皆さんにはGAAP基準の償却費の一部は無視するようにお願いします。しかし、マネージャーたちがすべて実際に発生した出費をオーナーに無視するように説明することが一般的になっていることを知っているので、私が、このようなことを申し上げるには、不安が伴っています。「株式報酬」はもっとも酷い例です。まさしく、その名称はすべてを表わしています。「報酬」。報酬が出費でないとしたら、何なのでしょうか?そして、実際の経常費用が収益の計算に入ってこないのであれば、いったいどこに入れればいいのでしょうか?

ウォール街のアナリストは、しばしば、このような茶番で経営者が言う報酬を無視した“収益”の数字をオウム返しにするという役割を演じています。おそらく、問題のあるアナリストは、これ以上のことは分からないでしょう。また、おそらく、彼らは経営に“アクセス”する機会を失ってしまうことを恐れているのでしょう。また、おそらく、彼らは、他のみんながやっているのだから、自分がそうしてはいけない理由はない、とシニカルに言っているのでしょう。このような推理は別にして、このようなアナリストは投資家を欺くことができる、紛らわしい数字を伝えてしまう罪深い存在です。

減価償却費は、もっと複雑なものですが実際にかかったコストです。それは、確かにバークシャーにあります。私は、減価償却費を節減させていくことで、我々のビジネスの競争力を維持することができると思っています。しかし、この51年間、私は、いまだに、それをうまくやるにはどうすればいいのかが分かっていません。実際に、我々が鉄道事業で計上する減価償却費は、鉄道の運行を維持させるのに必要な資本支出にはるかに及びません。経営の利益よりもGAAPの基準で計上する利益の方が高くなるという不適切なことになっています。(このような利益の誇張が鉄道会社すべてにあります)CEOや投資銀行員が評価基準としてEBITDAのような減価償却以前の数字を持ち出したとき鼻の下が伸びているのを見ることができます。

もちろん、我々の公的な報告は、GAAPに則ってきています。しかし、現実を受け入れるために、我々の報告した償却費の大部分が戻るのを追加することを忘れないでください。皆さんは、BNSFの不十分な減価償却費を反映している部分を差っ引いて見るべきです

 

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我々の多くの製造、サービスと小売の会社に戻りましょう。このグループの会社は、アイスキャンディーから飛行機までわたる製品を販売します。このビジネスの中には、レバレッジをかけない正味固定資産に対する収益によって測定された(つまりROE)、税引き後利益で25%から100%以上の素晴らしい経済的成果をあげているも会社が数社あります。他の会社は12~20%という範囲の好成績をあげています。

しかしながら、わずかな会社は、私が主な仕事である資本の分配で重大な間違いを犯した結果、非常に貧しいリターンしか上げられませんでした。私は、そんなことに惑わされません。私は、実際に動いている会社や産業の経済力に対する評価において誤りを犯していました。幸いなことに、私の間違いは、通常、比較的小規模な買収にありました。大規模な買収は、普通はうまくいき、ほんの少しだけ非常にうまくいきました。しかしも私は企業や株式を購入するさいの最終的なミスは犯していません。計画通りに全てうまくいくとは限らないのです。

単独の実体としてみると、グループのそれぞれの会社はすぐれたビジネスです。これらの会社は2015年には平均で256億ドルを有形固定資産に使い、僅かなレバレッジと大量の余剰資金と税引き後で18.4%の利益を得ています。

もちろん、支払いが度を越していれば、いくら素晴らしい経済学を備えた経営であっても、悪い投資となるのです。我々のビジネスの大部分は固定資産に相当なプレミアムを支払っています。それは、我々が“のれん”に対して示す大きな数値を反映したコストです。しかし、全体として、我々はこのセクターで展開させた資本上の相当なリターンを得ています。2016年にはデュラセルとキャストパーツ精密をグループに入れるので、グループとしての利益は大幅に増加するでしょう

 

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このグループには、ここで我々が個々にコメントするのに追いつかないほど、あまりにも多くの会社があります。その上、現在あるいは潜在的な競争者がこの報告書を読むことでしょう。もし、彼らが具体的数値を知ってしまったら、幾つかの分野で我々は不利な立場になってしまうかもしれません。それで、バークシャーの評価のサイズに満たない事業では、必要とされることを報告するだけにします。皆さんは88~91ページで我々の事業の多くについて詳細を見ることができます。

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