ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(1)
先日、バークシャ・ハサウェイのホームページに、ウェーレン・バフェットの「株主への手紙」の2015年版が掲載されました。
これから、その全文を日本語にして、ここで掲載していきたいと思います。ただし、下手な訳、というよりも直訳に近いだろうから、読みにくいと思われた人は、原文を当たってみてください。
下のURLにあります。
http://www.berkshirehathaway.com/letters/2015ltr.pdf
それでは、少しずつ訳していきたいと思います。このような拙い翻訳を始めて7年目となりますが、以前は全部終わったところでまとめてアップしていましたが、去年から、ある程度進んだところで、その都度アップするようにしました。そのため、仕事の都合や翻訳のペースによってアップの時期が一定しませんが、我慢してお付き合いください。それでは、始めて行きたいと思います。
バークシャ・ハサウェイの株主の皆様
2016年のバークシャーは株主価値をトータルで154億ドル増やすことができました。我が社のクラスAとクラスBの株式の1株あたり帳簿価格は両方とも6.4%増加しました。現在の経営陣が経営を引き継いでから51年の間に、帳簿価格は19ドルから155,501ドルに成長させました。これは年間複利で19.2%に当たります。
この期間の前半では、バークシャーの自己資本は、事業の本質的な価値を実際に計算した数字とほとんど等しいものでした。バークシャーの資産は主として、その現在の市場価格に連動して継続的に再計算される有価証券だったからです。帳簿価格の計算に関係する大部分の資産は、ウォール街の言葉でいう「マーケット・トゥ・マーケット*」であったのです。
*各種金融商品の取引において、現在保有している資産(ポジション)を実際の市場価格(市場レート)で計算し、時価で評価し直す(現在価値に引き直す)ことをいう。
しかし、1990年代はじめまでに、我々の置く重点は、貸借対照表上の関連数値を減少させ、主として企業を所有し運営することにシフトしました。これらの多くは、それぞれのコスト・ベースの帳簿価格よりも、はるかに多くの価値があります。しかし、これらの会社の価値がどれほど増加しても、その合計額が上方に再評価されることはありません。
我々にはその両方についての経験があります。私はいくつかの愚かな買収をし、これらの会社の経営権を得るために支払った総額を失い、バークシャーの帳簿価格を減少させてしまいました。また、我々は、幾つかでは、少ないけれど非常に大きな勝者となりました。
時間が経つにつれて、この非対称の会計処理はバークシャーの本質的な価値と帳簿価格とのギャップを実質的に拡大しました。それについては、我々も承知しています。今日、巨大で成長している“勝利”による帳簿外の収益はバークシャーの本質的な価値が帳簿価格を大きく超えることを明らかにします。そういうわけで、我々は、帳簿価格の120%ていどの安値で自己株式を買い戻すことができるのです。その水準での自己株買いは、バークシャーの株式を継続的に所有している株主のために1株当たりの本源的価値を、速やかに有意味に高めることができます。
我々の所有しているビジネスの帳簿外の価値が増加しているということは、バークシャーの時価総額がなぜ、帳簿価格を上回るほど増大しているかの理由を明らかにしてくれます。このことを念頭において、我々は見開きページのパフォーマンス・テーブルに、バークシャーの株価の歴史的な記録を、新しいデータとして追加しました。このことを私は強調したいのですが、市場価格は短期的には限界に縛られます。年毎や月ごとの株価の動きは、しばしば不安定で本質的な価値の変化を表わしていません。しかし、時間が経つにつれて、株価と本質的な価値は、ほとんど常に収斂するのです。
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