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2016年3月25日 (金)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2015(15)

 電力事業において、我々のバークシャ・ハサウェイ・エナジー(BHE)は変化した経済モデルの中で事業をしています。歴史的に、ローカルな電力会社は効率性によって存続が左右されることはありませんでした。実際、ずさんな経営でも財政的には問題を起こさないできました。

それは公益企業が、普通、必要とされる製品の唯一の供給者であり、投資のリターンを確保できる価格設定を許されていたからです。公益企業はボスの事務所を改装するために価格を吊り上げることのできる唯一のビジネスであるというジョークが業界にありました。そして、一部のCEOは、実際、そのようにやっていました。

そんな状況は様変わりしました。今日、社会はわが国の長期的な視野で風力や太陽光発電への連邦の助成を決定します。連邦税の税額控除はこの特定地域での再生可能エネルギーの育成を助成するという方針の実施の一環として使われています。とくに高コストの事業であれば、このような税額控除やその他の再生可能エネルギーに対する政府の政府援助は、現在の公益企業の経済を侵食することになるかもしれません。会社が利益を上げるために必要とされていなかった時でさえ、BHEが長期にわたってつくり上げた効率性は、今日の市場においては強い競争力を残してくれました。これは、今日よりも明日にとって、より重要なものです。

BHEは1999年にアイオワ州の認可を受けました。その前年にこの公益事業は3,700人を雇用し、毎時1,900万メガワットの電力を発電しました。いま、我々は3,500人を雇用し2,900万メガワットを発電しています。この大きな効率性の向上により、16年間の業界が44%レートを増やしたのにたいして、我々はレートを上げることなく事業を続けることができました。

我々のアイオワ州の公益事業の安全性もまた際立っています。前の所有者が経営していたときの7.0に比べると、2015年従業員100人当たりの怪我は0.79でした。

2006年にBHEは、オレゴン州とユタ州で主に事業展開しているパシフィコープを買収しました。我々の買収の前年のパシフィコープは6,750人を雇用し、毎時5,260万メガワットの発電をしていました。昨年その数は5,700人の雇用で、毎時5,630万メガワットでした。ここでも、安全性は劇的に向上し、従業員100人当たりの事故率は、2005年の3.4から2015年には0.85に減少しました。安全面では、BHEは、今、業界トップです。

これらの優れた成績によってBHEが管区の認可を得ようとするときに規制当局に迎えられることになるのです。規制当局は、この会社が効率的で、安全で、信頼性の高い事業展開し、そして無制限の資金で事業を有意義なものにすることができることを知っています。(BHEは、我々の所有となって以来、バークシャーに配当を支払ってきませんでした。アメリカにおいて投資家が所有する公益事業でBHEほど再投資に熱心なところはありません。)

 

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私が、ここで説明した生産性向上や、その他にアメリカ各地で成し遂げられた無数の生産性向上は、素晴らしい利益を社会に供給してきました。それは、わが国の市民全体が製品とサービスの成長を享受した、そしてまたこれからも享受していく理由です。

このような考えには相殺するものがあります。第一に、近年に達成された生産性向上は主に富裕層にとっての利益となりました。第二に、生産性向上は大きな変動を、しばしば引き起こします。革新と新しい効率が世界を引っくり返す時、資本家と労働者の両方ともが恐ろしい代償を支払わされることになります。

我々は資本家にために涙を流す必要はありません。(彼らが個人投資家でも軍の公的な株主であろうとも)自分のことを気遣うのは彼ら自身ですべきことです。適切な判断により大きな報酬が投資家の下に流れたときでも、これらの人々は間違った選択による損失を受けることを免れるべきではありません。さらに、多角的で、広範囲に、そして単純に持株を保有しじっとしている投資家が成功することは確かです。アメリカでは、投資の成功で得た利益は、常に愚か者の喪失を遥かに上回ります。(20世紀のダウ・ジョーンズ平均工業株価は、66から11,497にまで急上昇しました。それを構成する企業は絶えず配当の支払を増やし続けました。)

長期雇用の労働者は異なる方程式に向き合います。革新と市場システムが相互作用して効率を生むとき、多くの労働者は、才能が時代遅れとされ、不必要となってしまいます。そのうち何人かはどこか他のところで適切な職を見つけることができるでしょう。その他の人にはオプションはありません。

低コスト競争が靴の製造をアジアに押しやってしまった時、かつて反映していた我々のデクスターの事業は破産し、小さなメイン州の1,600人の従業員は町を去りました。多くの人は別の仕事を習得できる年齢を過ぎていました。我々は投資したすべてを失いましたが、余裕がありました。しかし、多くの労働者はかけがえのない生計の道を失いました。

同じシナリオは我々が最初に手がけたニューイングランドの織物事業においてはゆっくりと起こりました。そこで、我々は期限切れになるまでの20年間、奮闘しました。我々のニューベッドフォード工場の年寄りの労働者たちはポルトガル語を話し、ほとんど英語を知りませんでした。彼らには、別の選択肢がありませんでした。

そのような混乱に際しての答えは生産性を向上する行動を抑えることや禁止することではありません。1,100万人が永遠に農業に従事するように我々が求めたとすれば、アメリカ人は、今我々がおくっているように生きることはできなかったでしょう。

むしろ、解決策はたとえ小さな価値と判断されても市場の力となる才能を見つけて、働く意欲がある人々のために適切な人生を与えることを目的とする様々なセーフティネットにあります。(私は、個人的にはアメリカの労働者の労働意欲を高めるために勤労所得税控除の改革と拡張を支持します。)大多数のアメリカ人のために繁栄を拡大させていくための代価は、不運な人が窮乏することであってはなりません。

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