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2016年4月15日 (金)

リバプール美術館蔵 英国の夢 ラファエル前派展(7)~Ⅱ.古代世界を描いた画家たち(3)

River_prerapointa1 エドワード・ジョン・ポインターの「テラスにて」という作品を見ていきましょう。少女がモザイク模様の床に置かれたクッションに座り、その向こうにはスイカズラ文様の浮き彫りが施された大理石の低い壁が連なっています。この少女はゆったりとしたガーゼのようなドレスを身にまとい、手には団扇を持って、その上に乗っているカブトムシを、明るい色の羽根で弄んでいます。それが南国(地中海?)の明るい陽光のしたで、左手には階段が海に向かって続き、遠景には海の風景。この作品では、背景は雰囲気を醸し出しているものの、前の章でみたミレイやロセッティたちの作品のような、背景で描かれたひとつひとつに象徴的意味が記号化されたというものではありません。だから、ミレイのように輪郭をくっきり描いて存在を主張させたりすることなく、背景として画面の中心である少女の後ろに控えている。そこに、画面全体に中心である少女と背景という構成の奥行きが生まれてくるわけで、見る者としては、前章のラファエル前派の作品に比べて安心して、何となく眺めることができるようになります。ラファエル前派にあった、描く側の切実さとか、メッセージ性に代わって、見る者の視線に心地好い、滑らかに磨き上げられた美ということでしょうか。そして、少女の身につけている白いドレスは薄地の透け透けで脚や腹の肌がすけて見えていて、身体の線が見えています。今の言葉でいえば、着エロのようです。しかもロリータ趣味で、カブトムシと他愛もなく戯れる姿であるわけで、そこにある屈折はかなり、マニアックなロリータ・エロスと言うことのできる可能性があります。(そのように見てしまうのは、私の屈折した欲望に曇った視線ゆえかもしれませんが)。前に見たタデマやレイトンもそうですが、女性のヌードを生々しさを感じさせないことで、ヌードを描くことを実現させていたわけですが、そこに直接的なエロティシズムではない、間接的な想像力を掻き立てさせる淫靡さが隠し味としてあったように見えます。それが唯美主義の画家たちに共通して持っていた、時代の風潮なのではないかと思います。ここでは展示されていませんが、ポインターもアンドロメダを描いた大作があり、バーン=ジョーンズ風に描かれた女性のヌードが画面の中心となった作品です。同じ画家の「愛の神殿のプシュケ」という作品でも、物憂げな雰囲気の女性を中心に作品がまとめられている、という感じです。
River_prerapointa2

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