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2016年5月11日 (水)

トランプさんの主張への私見

アメリカの大統領選挙の予備選も、共和党はトランプ氏が候補者のサバイバルレースで浮き残って、大きな波乱の状況となっているということです。とくに、彼の歯に衣を着せぬ言説もさることながら、プロフェッショナルな政治家ではありえないような、暴言と称されるような規制の政策とは、異質な考え方を公言しています。例えば、移民の規制だったり、とくに、対日認識については、ニュース等で盛んに取り上げられています。日本や韓国がアメリカ軍の駐留経費の負担を大幅に増額させなければ撤退させる。さらには日米安全保障条約についても、アメリカが攻撃されても日本は何もしないが、日本が攻撃されたらアメリカは駆けつけなければならず、不公平だと主張しました。そして、日本の核兵器も否定しないとまで、エスカレートしていきました。このような発言に対して、米国の高級紙の新聞やテレビのネットワークは強い批判的姿勢を示し、日本のマスコミや政府は、その主張に戸惑うばかりといったところだったと思います。全体的に批判的な調子で、対策(まるで災害対策の対策をもってきたかのようです)を考えようとか、そういう感じであると思います。
 このようなトランプ氏の主張するところは、第二次世界大戦後の日本の戦後体制、つまるところ、アメリカの占領政策という、日本に再軍備をさせないということを180度転換させることになると思います。それは、ひとつの視点で言えば、日本の軍隊を解体し、戦力不所持を条文化した憲法を持たせ、アメリカ軍が駐留して日本の再軍備を抑え込み、他方で中国やソ連といった東アジアの共産圏の進出に対する防御拠点として日本を守るということだったと言えます。たしかに、当時のアメリカ人やヨーロッパ人にとっては、異質な文化的伝統を持ち、いつもはニヤニヤ笑っていて従順な様子だけれども何を考えているか分からない。それが、突然、思いもかけず暴発するように、第二次世界大戦のような無謀と言える戦争を国全体が熱狂して仕掛けてくる。欧米の人々にとっては、目を離すと何をするか分からない危険な野獣のようだったのではないかと思います。また、マスコミは、そこにぶら下がっていれば、情報を得ることが分けですし、官僚の方にシフトすることもできました。
 その占領政策が長期化し、ルーチン化してくると、そこに既得権益を持つ人々が増えてきます。例えば軍産複合体と言われる、軍需産業と軍隊、そしてまた、知日派といわれる学者、官僚、政治家と、これに対する日本の政治家や外務省、防衛省の官僚たちというところでしょうか。それらの人々が互いに手を組んでそれぞれの地位を保障し合うという、日米安保体制があった方が、彼らの重要度がアピールできることになっている。それは、歴代の政権で日米関係を担当していたので、政府の方針となっていたということだと思います。
 トランプ氏の主張は、暴言かもしれませんが、その既得権益に対する攻撃になる可能性があったのではないかと思います。
 これは、客観的事実といったことではなくて、そのようなことも可能性としてありうるのではないかという、個人的な妄想ですので、ご笑覧いただくような程度のものと思っていただきたいのですが。
 もし、上記のようなことが考えられるとすれば、トランプ氏の発言が、マスコミから無視されてなかったことにされずに、大騒ぎになるということは、そのような発言が通る土壌が、アメリカにできてきているからではないかと思うわけです。そうであるとすれば、トランプ氏の主張は暴言であるように、現時点では評されるとしても、将来的にはひとつの選択肢として正面から議論の対象となる可能性があるということです。
そう考えると、この主張を批判したり、危機感をもって対策を考えるのもいいのですが、日米関係が変化するかもしれない可能性を考慮して、自国に有利に方向にもっていくためにしたたかに利用するという発想のあるのではないか。例えば、政権野党の立場からは、外交防衛政策や基地問題の解決のあらたな選択肢を現実的な戦略として提案できるのではないかと考えてもいいのではないでしょうか。
 例えば、米軍の駐留の費用を全額負担するとか、日本は軍備してもいいとかいうことになるのであれば、在日米軍はすべて引き払って本国に帰ってもらい、沖縄などの基地は返還してしまうことができるわけです。そのためには、アメリカ軍がいなくなっても大丈夫なような、外交や防衛戦略に現実的で、世界の国々や日本の国民の大多数が納得できるように計画し実行できることが最低条件として必要になってくると思います。
 また、憲法論議の場合でも、第9条の平和条項と日米安保条約は内容が矛盾していたわけで、その安保条約が変わってしまうのであれば、その矛盾を一気に解決できるわけです。そこで、憲法学者とか識者とか、いわゆる護憲のひとたちが現実的な戦略をつくって、人々を納得させることができるチャンスを得ることができることになるわけです。そこで、改めて憲法をどうするかという議論が、現実問題として必要になってくるかもしれない。
 ということで、トランプ氏の暴言のような主張ですが、受け取り方を戦略的に考えてみてもいいのではないかと思ったりします。

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