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2016年7月 5日 (火)

株主総会の実務をIRやコーポレートガバナンスの面から考える(5)~序の序 株式会社はどこから生まれてきたのか(5)

⑤産業革命~重商主義から産業資本主義へ
 18世紀後半から19世紀前半にかけての時期が、イギリスでは産業革命と呼ばれています。数々の発明によって、生産ラインの自動化が始まり、製造業の生産性が飛躍的に向上し、それまでは考えられなかった大量生産を可能にしました。また石炭を燃料とした蒸気機関の発明によりエネルギーの革命的な変化がおこり、交通インフラが飛躍的に整備され、大量輸送を実現させました。これにより、工場で大量に生産した商品を整備された交通機関による大量輸送で人々に届けることが可能になりました。
 アダム・スミスが株式会社が適しているという社会性の高い、巨額の資本を必要とする事業として鉄道という交通インフラが生まれてきました。また、大量生産時代にはいり、生産施設の大規模化、機械化がはじまり、設備投資という多額の投資が求められることになりました。これは、単に商品を仕入れて転売するという商業形態から、材料や部品を集めて自分で製品をつくり、そして売るという事業にシフトしていきます。その新しい事業を興したのが産業資本家という新しいタイプの資本家たちです。かれらは株式会社の形態を選択しました。たしかに、株式会社にはアダム・スミスの指摘するような非効率性があり、当時もその認識はありました。しかし、時代の環境が、そのデメリット以上に大量の資金調達が可能となるというメリットが大きくクローズアップされたのでした。
 当時のイギリスでは、株式会社の設立はバブル会社禁止法により特許主義の考え方に基づくものでした。つまり、会社の設立は国家による個別の特別な許可を必要とするもので、その具体的な方法としては、特別の立法による許可と国王による勅許によるものでした。それには多額の費用と時間がかかる難事でした。しかし、それでは産業革命より機械化された大規模な工場を建設するためには多額の資本を集める必要性が高まる中で、産業資本家たちは株式会社が自由に設立できることへの要求が切実なものとなっていきました。その結果1844年に株式会社法が制定され。株式会社の設立に際して、あらたに準則主義の考え方が採られるようになりました。準則主義というのは、それ以前の特許主義に対して、あらかじめ法律によって株式会社設立のための一定の要件が規定され、その用件を具備している場合には設立された会社は、当然に法人格を認められるというものです。ただし、通常は、不正な設立を防止する目的と、設立の内容を公示させる目的で登記が要件とされ、つまるところは、たんに登記だけによって法人を設立することができるというものです。そして、1862年に会社に関わる総合的な法規として会社法が制定されます。そこでは準則主義が徹底され、登記制度が近代化され、なおかつ出資者の有限責任が明記されたことにより、近代的な株式会社の要件を備えたものとなり、この法律を機に株式会社が一般化していったと言われています。いわば、現代の株式会社制度のプロトタイプと言えるものでした。 

参考文献 友岡賛「株式会社とは何か」「会計の時代だ」
 大塚久雄「株式会社の発生史論」

 

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