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2016年8月 2日 (火)

株主総会の実務をIRやコーポレートガバナンスの面から考える(20)~2の2 参考書類


 株主が書面によって議決権を行使するには、決議について適確な判断をするために必要な事項を知らされなければなりません。そこで、株主総会の招集通知に、議決権行使についての参考となるべき事項を記載した書類、つまり参考書類を添付しなければならないものとされています。(会社法288条、301条)その懈怠については、罰則の制裁があるほか、招集通知の法令違反として決議取消自由になる可能性があります(会社法831条1項1号)。そして、その内容は、会社法施行規則に、参考書類に記載しなければならない事項として、それぞれの議案ごとにそれについての説明等があげられています。
 なお、上場会社であっても株主の数が1,000人以下の場合や金商法の規定に基づいて委任状により議決権行使を第三者に代理させることを勧誘している企業は、書面投票を実施していないため、参考書類を作成しません。その代わりに金商法施行令36条の2第1項に基づいて委任状勧誘内閣府例によって定める委任状勧誘に関する参考書類を作成し株主に交付します。内容は会社法に基づく参考書類とほとんど同じです。

●参考書類の一般的な記載事項

Row53_2 参考書類は会社法施行規則に従って作成します。それによると、参考書類に記載しなければならない必須事項は次の通りです。(施行規則73条1項)

 ①議案
②提案の理由
③総会に提出する議案等について監査役の監査の結果、法令・定款違反等があった場合の調査結果

上記以外に、株主の行使について参考となると認める事項について記載することが出来ます。(同条2項)つまり、必須事項以外でも株主が議案に関して判断する参考となるものであれば追加して記載してかまわないということです。
 株主総会参考書類は、株主総会に出席しない株主が議決権を行使するための参考とする資料となるものですから、株主が判断するために必要な情報が記載されていなければなりません。そこで、重要な議案については施行規則の中で記載事項が定められています。具体的には議案ごとに別に見て行きますが、全体として次の通りです。

・役員等の選任に関する議案(施行規則74~77条)
 ・役員等の解任等に関する議案(施行規則78~81条
 ・役員の報酬等に関する議案(施行規則82~84条)
 ・計算関係書類の承認に関する議案(施行規則85条)
 ・合併契約等の承認に関する議案(施行規則86~92条)
 ・株主提案(施行規則93条)

参考書類の冒頭部分を取り出してみましたが、その下の行の「剰余金の処分に~」の部分が②提案の理由になります。具体的に冒頭の標題部分について見て行きましょう。

(1)タイトル

冒頭の標題です。通常は「株主総会参考書類」と記載します。
 委任状勧誘の場合には、「議決権の代理行使の勧誘に関する参考書類」と、違うタイトルになります。なお、委任状勧誘の場合には、議決権の代理行使の勧誘者(通常は会社の代表者)の記載が加わります。

(2)議題

「第1号議案 剰余金処分の件」が議題で「剰余金の処分に~」というのが上記①議案にあたります。「議題」は株主総会の招集に際しての株主総会の目的となる事項です。これは取締役会で決議され(会社法298条1項2号)、株主に対して会議に前もって通知されなければなりません(会社法299条1条)。例えば、ここの例のような「剰余金処分の件」とか、「取締役○名選任の件」、「定款の一部変更の件」等と記載されます。これに対して、「議案」は「議題」の具体的な提案内容のことであり、決議されるべき事項です。
 そして、議題と議案の違いは次のような効果の違いとなって現れます。

ⅰ)取締役会設置会社では会社側が定めた議題以外の議題は、株主が、1%以上の議決権を持っていないと提出できない(303条1項)。逆に議案は、単独株主でも、株主総会で提案することができる(304条)。

ⅱ)議題に関係ないことについては、役員は説明義務を負わない(314条1項ただし書)。

つまり、「剰余金処分の件」というのは議題ですから、招集通知に記載されているからこと、株主総会で議決できるので、会議場で当日議題として提案されても、取り上げることはできません。これに対して、議案は剰余金を1株あたり○円とするという決議内容を含むので、議場で修正の提案をすることができます。
 参考書類では、「議案」が記載事項とされています。「議題」については記載を明文で規定されているわけではありませんが、「議案」がどの議題に関するものであるかを明確にするために、このように「議題」と併せて記載するのが一般的です。
 この場合、狭義の招集通知の目的事項(決議事項)の記載と食い違わないように中位なければなりません。

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