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2016年8月 6日 (土)

株主総会の実務をIRやコーポレートガバナンスの面から考える(24)~2の2 参考書類─剰余金処分の件(4)配当政策を考える

●配当政策の面から見た配当金の考え方

配当に関する企業の戦略を配当政策といいます。この配当政策は、各企業の置かれた環境や経営状態によって違います。その際に考慮される要素や配当のメリットを以下に簡単に上げていきます。

①企業のライフサイクルによって配当政策は異なる

一般に、高配当=低成長(キャッシュを投入すべき投資案件が少ない)、低配当=高成長(キャッシュを投入すべき投資案件が多く、配当にキャッシュを回せない)という傾向が見られます。グーグルに配当金を要求する株主は少ないでしょう。逆にP&Gのように数十年にわたって配当の増配を続けている企業もあります。

②安定配当による効果

経営者の中には、会社の業績に連動した配当よりも安定した配当を目指す傾向の人も多い。減配は資本市場に嫌われ、株価が下がるケースも多いので、いったん配当を引き上げたら簡単には引き下げられないと経営者は分っているので、保守的に安定配当を目指すというわけです。特に日本では配当金の変動と株価の変動の相関関係が強いと言われています。日本における配当の株価への影響度は、米国と比べ3倍とも言われています。投資家には配当選好の強い投資家がいるので、そうした顧客ニーズに合わせて配当することで株価に良い影響がでて、結果として配当が価値を創造することもあるわけです。

③アナウンスメント効果

例えば、増配は将来にわたっての持続的な収益向上に経営陣が強い自信を示した証と解釈されて、株価が上がることがあります。また、業績が落ち込んだ時に、配当を減配としないでいると、経営陣は業績悪化は一時的で回復への自信がある証拠と解釈されて株価の低下を抑えることがあります。これをアナウンスメント効果と呼びます。

④配当割引モデル

投資家の中には、投資家が享受する株式投資からの便益、あるいは価値は未来永劫の流列の中では、究極的には投資家の受領する配当金の流列に帰結するという企業価値評価の考え方を持つ人もいます。この評価モデルを配当割引モデルといいます。これは株式を売却しない限り、投資家が現実に投資の果実として受け取るのは現金配当だけという前提で、こうした手法を使う投資家は基本的に配当を好みます。

⑤残余利益配当方針

結局のところ、余剰利益のうちいくら配当として現金払いするかは、投資機会と最適資本構成によるという考え方です。投資家は自分で再投資する以上の投資案件があれば低配当を受け入れます。一方で、企業に本業への投資機会がなく、自己資本を高める最適資本構成上の必要性もなければ、投資家は高配当を要求するわけです。ただし、一般に、企業サイドに本業で良質な(資本コストを上回る)投資案件があれば、できるだけ投資案件を利益や内部留保でまかない、もしそれで当期利益が余れば残りを配当するというのが、この方針の基本になります。ファイナンス理論に長けた機関投資家はこの方針に賛同する傾向にあります。

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