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2016年8月25日 (木)

株主総会の実務をIRやコーポレートガバナンスの面から考える(32)~2の2 参考書類─役員選任の件(4)法定記載事項その3

Row531 ④就任の承諾を得ていないときは、その旨(74条1項2号)

候補者からはあらかじめ就任の承諾を、就任承諾書への署名捺印によって得ていることが一般的ですが、就任の承諾を得ていないときには、その旨を記載しなければなりません。なお、役員就任について登記をする際に、就任の承諾について就任承諾書かその旨が記された議事録の添付が必要になります。また、株主提案による候補者の場合には重要な情報となります。

⑤公開会社かつ他の会社の子会社であるときの記載事項(74条3項1号、2号)

ここでのサンプルにはありませんが、このような場合の記載事項が法定されているので、ここに挙げておきます。この記載については、候補者一覧表の中の略歴の一部として記載した上で、注記するケースもあります。

(ⅰ)候補者が親会社等(他の子会社も含む)の業務執行者である場合は、当該親会社等における地位及び担当

業務執行者とは業務執行取締役及び使用人等であり(2条3項6号)、親会社等での地位及び担当を記載することが必要です。

(ⅱ)候補者が過去5年間に親会社等(他の子会社を含む)の業務執行者であったことを当該親会社が知っている場合には、当該親会社等における地位及び担当

すでに親会社等の業務執行者ではない場合でも、過去5年間に親会社等の業務執行者であったことを当該親会社が知っていた場合には、親会社等における地位及び担当を記載します。

⑥候補者と株式会社との間に特別の利害関係があるときは、その事実の概要(74条2項3号)

上場会社では、候補者と会社との間に特別の利害関係があるときは、その事実の概要の記載が求められます。これは、候補者が取締役となった場合に職務執行に影響を及ぼすおそれのある重要な事実を記載するという意味です。
 「特別の利害関係」とは取締役候補者と会社との間に競業や自己取引の関係がある場合等を指し、候補者個人と会社との間の関係だけでなく、候補者が代表となっている会社と会社との関係も考慮され、この利害関係が取引関係である場合には、取引の相手方や相手方との取引内容等を記載します。具体的に会社と候補者との利害関係としては、会社の財産の譲受(譲渡)や金銭の貸借など純個人的なもののほか、重要な取引関係、競業取引、利益相反取引、債務保証、係争等が考えられます。また、会社と候補者が役員を兼職する会社との間に、同様の関係等がある場合も同じです。ただし、相手方が100%子会社の場合には、この利害関係は生じないと解されています。
 この記載は、候補者一覧表の欄外に注記として記載されるのが一般的です。なお、特別の利害関係がない場合は、該当がない旨を同じ注記欄に記載します。

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