無料ブログはココログ

« 株主総会の実務をIRやコーポレートガバナンスの面から考える(34)~2の2 参考書類─役員選任の件(6)~IRやガバナンスの視点で考える(1) | トップページ | 高島野十郎展~光と闇、魂の軌跡(1) »

2016年8月28日 (日)

株主総会の実務をIRやコーポレートガバナンスの面から考える(35)~2の2 参考書類─役員選任の件(7)~IRやガバナンスの視点で考える(2)

●これまでの議論を反映させた取締役選任議案モデル

ここまで、大層なことを並べ立ててきましたが、ここは参考書類について議論している場です。このような議論が実際の参考書類として提示できなければ、何の意味もありません。そこで、ひとつのサンプルとして考えてみたいと思います。ただし、各企業によって経営内容や環境は千差万別であるので、それによって参考書類の記載方法も変わってくる、というのがこれまでの議論といえるので、ここで提示するのは、いくつも考えられるパターンのひとつと思って下さい。 

議題● 取締役●名選任の件

取締役●名(全員)は、本定時株主総会終結の時をもって任期満了となります。つきましては、取締役●名の選任について次の通り提案し、株主の皆様の承認をお願いするものであります。

①提案の理由(取締役選任に関する基本方針)

当社グループの中長期の経営方針については事業報告における説明の通りでありますが、昨年度よりスタートいたしました中期経営計画において長期的な将来に向けて成長基盤の強化を進めております。これは、新たな成長基盤の創成と既存の事業の再編を、M&Aも含めてグループの体制や事業の大規模な再編を伴うもので、このためにはグループの置かれた状況を鳥瞰的に捉える広い視野、とくに経営のファイナンスに精通した専門性、再編後の体制を固めるための地道なヒューマン・マネジメントの経験の蓄積などが特に必要とされるものであります。そのため、このたび任期満了となりました取締役●人については、前記の条件を備え、緒に突いた経営計画を進めていく上で、必要な取締役の人材として、ご承認をお願いする所存であります。なお、この経営計画期間は事業の基盤の強化のために、一時的に売上及び利益の成長に優先した経営課題として取り組んでおりますので、通常掲げております経営指標の数値が必ずしも十分な実績を残せない可能性もあることを、ご理解いただきたいと存じます。

②取締役候補者

取締役候補者は以下の通りであります。

1.●●●●(昭和●年●月●日生まれ ●歳)

・略歴、当社における地位及び担当(重要な兼職の状況)

平成●年●月●日 当社●●就任・・・

・取締役としての当社の経営への事績

平成●年代表取締役に就任し、従来からの経営体制を再考し長期的視野に立った中期経営計画を指示し、実行に着手、現在進行中。

・取締役候補とした理由

●●氏は、当社に平成●年入社する前に、●●社、●●社においてマネジメントの経験を積んだ実績もあり、当社の経営を客観的に見つめ直す視点を持ち、とくに●●社での経営メソッドを体得しているなど、経営者としての実績と能力を有しております。現在進行中の中期経営計画に対する社内の支持は高く、進行は順調であります。これらの理由で、●●氏に取締役として、現在進行中の経営の継続といっそうの推進を図ることを期待しております。

・所有する当社株式の数   ●●株

 

N.●●●●(昭和●年●月●日生まれ ●歳)

・略歴、当社における地位及び担当(重要な兼職の状況)

平成●年●月●日 ●社●●就任・・・

・取締役としての当社の経営への事績(社外取締役としての当社での就任年数)

平成●年社外取締役に就任以来、●年にわたり、毎月の取締役会には全て出席し、当社の経営に対して独立の立場から厳しい意見や従来の当社にはない発想での提言をたびたび、いただいております。

・(社外)取締役候補とした理由

●●氏は、株式会社●●の代表取締役に平成●年に就任以来、●年間で同社を売上規模で●%成長させた敏腕経営者であり、その経営手腕を高く評価されております。また同社は当社とは対象顧客はことなりますが同じ産業機械のメーカーであり、市場環境や技術的な知見や見識においても当社の経営を深く理解したうえで、これまでも意見や提言をいただいており、●●氏が当社の社外取締役に就任した平成●年以来、当社の取締役会での議論が、より厳しいものとなっており、今後にむけても、●●氏の存在は当社の経営に不可欠なものであります。

・所有する当社株式の数   ●●株

③社外取締役候補者について

・●●、●●の両氏は社外取締役候補者であります。

・●●、●●の両氏とも、任期中において当社での重大な法令・定款違反や不当な業務執行の事実はありません。

・●●、●●の両氏は会社法に規定された社外取締役の要件及び東京証券取引所の上場規則に規定された要件、その上で当社の定める独立性の要件を満たしており、すでに同取引所の独立役員の届出をしております。

・●●、●●の両氏とは、それぞれが当社の社外取締役に就任した時点で当社定款に基づく、会社法第423条第1項に関する責任を限定する契約を締結しております。透過性契約の内容は、社外取締役が任務を怠ったことにより当社に損害を与えた場合において、その職務を行なうにつき善意でかつ重大な過失がないときは、会社法第425条第1項に定める額を限度として損害賠償責任を負うというものです。

(ご参考)

取締役選任に関する基本方針

当社グループは産業機械という狭く深いという特色の市場で事業を行っております。そのため、経営判断には市場の細かなニーズの動きや技術の動向と密接に連動していることが必要なため取締役会は、業務執行を兼任したマネジメント・ボードとして構成されています。しかも、市場の変化のスピードが比較的速いことから、経営判断についても迅速さが求められるため、定款の規定にもあるように少人数の構成となっております。そこで、以下のような基準で取締役候補者としての資質を判断いたします。

・心身ともに健康であるだけでなく、高い倫理、人格を有していること

・法令上求められる取締役としての適格要件を満たしていること

・企業経営に必要な高い見識や強固な意志を有していること

・産業機械事業またはグローバル事業に精通していること

・技術、マーケティング、会計、法律その他の専門性の高い分野において高度や知識や豊富な経験を有していること

・多様な価値観を理解し、積極的に議論に参加できる柔軟な発想や幅広い経験を有していること

独立性基準

当社グループは、招聘する社外役員の独立性について、金融商品取引所の定める独立性の基準を満たすことを前提とした上で、次の要件を満たすことを重視して判断いたします。
 すなわち、当社グループでは、産業界向けの計測・制御機器を国内だけでなくグローバルに事業展開を図っていることから、多様なリスクの認識、事業活動の公正な決定、経営の健全性のために積極的に、重要な経営判断に対して、本質的な議論を促し、経営トップの思惑や社内の潮流などに影響されることない意見や提言を発することで、株主の期待に応え、結果的に企業価値向上に資するために資質として、以下の項目から判断いたします。

・企業経営の経験に基づく高い見識と確固たる自信を有する

・技術、マーケティング、会計、法律その他の専門性の高い分野において高度や知識を有している

・企業の社会性に対する強い倫理観と責任感、正義感を有している

 

 

« 株主総会の実務をIRやコーポレートガバナンスの面から考える(34)~2の2 参考書類─役員選任の件(6)~IRやガバナンスの視点で考える(1) | トップページ | 高島野十郎展~光と闇、魂の軌跡(1) »

あるIR担当者の雑感」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 株主総会の実務をIRやコーポレートガバナンスの面から考える(34)~2の2 参考書類─役員選任の件(6)~IRやガバナンスの視点で考える(1) | トップページ | 高島野十郎展~光と闇、魂の軌跡(1) »