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2016年10月18日 (火)

ジャズを聴く(38)~ウィントン・ケリー「ケリー・ブルー」

 マイルス・デイビスやキャノンボール・アダレイに愛された素晴らしい伴奏ピアニスト、ウィントン・ケリーは10年後のベニー・グリーンに多大な影響を与えた特徴あるソリストでもあった。彼はブルックリンで育ち、早くからエディ・“クリーンヘッド”・ヴィンソン、ハル・シンガー、エディ・“ロックジョー”・デイビスらとリズム&ブルースのバンドでプレイしていた。1951年にブルー・ノートにトリオで14タイトルをレコーディングしたケリーは、1951~52年、ダイナ・ワシントン、ディジー・ガレスピー、レスター・ヤングらとプレイした。数年の兵役の後、1955~57年にはワシントンと、1956~57年にはチャーリー・ミンガスと1957年にはディジー・ガレスピーのビッグ・バンドと強い印象を残した。しかし、彼の業績の中で最も有名なのは「Kind of Blue」「At the Blackhawk」「Someday My Prince Will Come」のようなアルバムのレコーディングなどのマイルスとの仕事だ。彼はベースのポール・チェンバースとドラムスのジミー・コブのリズム・セクションの二人とともにマイルスのもとを離れ、トリオを結成した。このグループは、ウェス・モンゴメリーの最高のバックをつとめた。その早すぎる死までの短い間、ブルー・ノート、リバーサイド、ヴィー・ジェイ、ヴァーヴ、マイルストーン等にリーダー・アルバムを残している。 
Kelly Blue
Jazkelly_blue  Kelly Blue
 Softly,As In A Morning Sunrise
 Do Nothin' Till You Hear From Me
 On Green Dolphin Street
 Willow Weep For Me
 Keep It Mooving (take 4)
 Keep It Mooving (take 3)
 Old Clothes
 Wynton Kelly (p)
 Paul Chamers (b)
 Jimmy Cobb (ds)
 Nat Adderley (cor)
 Benny Golson (ts)
 Bobby Jaspar (fl)
 1959年2月19日録音(1,6,7)
 Wynton Kelly (p)
 Paul Chamers (b)
 Jimmy Cobb (ds)
 1959年3月10日録音(その他)
 ウィントン・ケリーがマイルス・ディビスのバンドをやめて、そこで一緒だったベースのポール・チェンバース、ドラムのジミー・コブとトリオを組んで録音したもの。ケリーのリーダー・アルバムとしては3作目にあたる。ただし、全曲がピアノ・トリオではなく、1曲目でアルバム・タイトルとなっている「ケニー・ブルー」と「キープ・イット・ムーヴィン」の2テイクはホーン3人が加わったセクステットで演奏されている。
 最初の「Kelly Blue」はベースに導かれたフルートが探るようにテーマを吹くと、他の楽器が追いかけるように重なってきて、すぐにケリーのピアノ・ソロに移る。この人のピアノは跳ねるようと形容されることが多いようだけれど、まるでピアノの鍵盤を真上の高いところから垂直に指を落として深く叩くように音を出している感じがする。それは、混じり気のない、強い音で、鍵盤のハンマーの反発力を最大限に使う撥ねるような感じなのだ。ここでは、ソロは措いて、そういうピアノの音と、籠もったような響きで下腹にモロに伝わっているような重いベースによって刻まれるリズムに身をゆだねたい。
 次の「Softly,As In A Morning Sunrise(朝日のようにさわやかに)」からはピアノ・トリオの編成に変わって、とくにこの演奏は従来より大傑作録音といわれ、こういう洒落たブルースでの“ケリー節”が炸裂した代表曲のひとつとされている。独特の鍵盤の上を転がるようなシングルトーンのソロが素敵で、とにかくリラックスして軽快で歌心に溢れている、と。輪郭のくっきりしたピアノの音はカラッと乾いた印象で、少しダークな曲の調子をスッキリさせるもので、詩情とかそういったものより、純粋に音の運動を愛でるタイプで、純音楽的。「Do Nothin' Till You Hear From Me」のような軽快なナンバーでこそ、跳ねるピアノが合っている。「On Green Dolphin Street」ではこのちょっと変則的なリズムと旋律を持つ曲に、ケリーのピアノは、うまくツボを押さえたノリのいい演奏にまとめている。「Willow Weep For Me」では、ミディアム・テンポのブルース・ナンバーを、音数の少ないシンプルな響きでもスカスカになることなく、スウィンギーなグルーヴを生んでいる。ケリーのピアノの真骨頂は、アドリブのフレーズとか作曲といったところよりも、このノリとかグルーヴを生み出すところにあると思う。 

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