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2016年10月17日 (月)

ジャズを聴く(37)~ウィントン・ケリー「ケリー・アット・ミッドナイト」

Jazkelly  いわゆるバド・パウエルのプレイ・スタイルをベースにしたパウエル派と呼ばれるピアニストたちの一人。マイルス・デイビスのコンボにいたりと伴奏者として数多くの演奏に参加している。ケリーの特徴を簡単に言えば、健康優良児的な、脳天気といってもいいようなハッピーなコロコロと明るく転がるようにフレーズがスイングする。端正に転がるようにスイングするのではなく、独特の揺らぎをもって、この「揺らぎ」が翳りとなってスイングする。聴き手を圧倒するようなテクニックをひけらかした表現はなく、いかにもケリーらしい自然にスイングする演奏を楽しめる。どんな曲を取り上げても、ケリーは同じようにスイングさせている。こうした特徴のうち、最も注目したいのは、ビートからずれてひきずるような感じだ。これは、ファンの間では「3連系」のスウィング感と呼ばれているようだ。次のように説明する人がいる。“3連系というのは「3連符らしき」ということで、8分音符を2つ弾くときに、それが「たあ・た、たあ・た」のように、前が2に対して後ろが1、のように感じられるということだ。ジャズのスウィング感はこの「3連系」が基本で、フォービートでドラマーがシンバルを叩くときも、「ちーん・ちっき、ちーん・ちっき」となる、「ちっき」の部分が3連の2:1となっている。ちなみに、ケリーの乗りを厳密に計測すると、さすがに「2:1」ではなくて、前の方がほんの少しだけ長いぐらいだ、といだけれど、まあ気分としては「2:1」の乗りだ。ケリーのハッピーな3連乗りは、それだけで「ジャズの幸せな時代」に我々を連れて行ってくれる。”と。ケリーは、自分の音楽が偶然に生まれたものだと見せる力を持っていたのだと言える。このように陽気にスイングする音楽は、まるで普通に息をするかのように自然な感じで表現されていた。ほとんどのリスナーは、ケリーの存在をとくに意識することがなかったのは、そのためである。それが、伴奏者として共演者をひきたてるのに上手く作用したのだろう。
 ケリーのソロは、ブロック・コードとファンキーなオクターブによるトレモロを交互に使い分けながら進んでいく。しかし、彼のソロを聴いていても、いつどこでシングル・トーンからブロック・コードに変わるのか、聴いている方にはさっぱり予想がつかない。それに加えて、ケリーは間合いや強弱のアクセントをうまく使いこなすことで、自分の音楽を活気あふれるものにした。
KELLY AT MIDNTE  1960年4月27日録音
Jazkelly_midnite  Temperance
 Weird Lullaby
 On Stage
 Skatin'  
 Pot Luck 
 Wynton Kelly (p)
 Paul Chambers (b)
 Philly Joe Jones (ds)
 ウィントン・ケリーのピアノは、健康優良児的に、ポジティブにスイングするのが特徴で、コロコロと明るく転がるようにフレーズがスイングする。端正に転がるようにスイングするのではなく、独特の揺らぎをもって、この「揺らぎ」が翳りとなってスイングする。この好調にスイングし続けるケリーの「コロコロ」ピアノのバックで、バシンビシンとスネアをひっぱたく様な、野趣溢れる奔放なフィ リー・ジョー・ジョーンズのドラミングと、ブンブンブンと弦を鳴り響かせながら、堅実・冷静に魅力的なビートを供給するポール・チェンバースのベースが 「聴きもの・聴きどころ」である。とくに野趣溢れる奔放なフィリー・ジョーのドラミングは、ブラシよりもスティックを用いている演奏が多いためか、ちょっとした間に入れるスネアの「オカズ」さえも、タッカ・タカ・タカと大きく響きわたり、それが、聴きようによっては、耳障りに感じるかもしれない。このスネアやリム・ショットの一打一打が、演奏を鼓舞し、エネルギー増幅装置となっているので、聴いているこちらの方も、何やらパワーを貰ったような錯覚に陥ってしまう。これに煽られるように、ケリーのピアノもボルテージが上がって、タッチがとことん強くなり、三位一体のテンションの高い、レベルの高いピアノ・トリオの演奏を聴くことが出来る。このテンションの高さのお陰で、このアルバムはスタジオ録音ながら、ライブ盤の様なテンションの高さと奔放さ、そして、なによりトリオ演奏の全編の底に流れる「楽しさ」が魅力。
 このアルバムに限らず、ケリーのピアノは聴き手を圧倒するようなテクニックをひけらかした表現はなく、自然にスイングする。どんな曲を取り上げても、ケリーは同じようにスイングさせている。こうした特徴のうち、最も注目したいのは、ビートからずれてひきずるような感じだ。この傾向は、フレーズの最後に向かって滝のように下降していくところによく表われており、ケリーお得意のフレーズである。らせんを描くように下りていく様子は、リズムをずらし、その結果ピアノとドラムによって生まれた緊張感を保ちながら、途中で何度か上昇を繰り返しつつ進んでいく。ケリーのソロは、ブロック・コードとファンキーなオクターブによるトレモロを交互に使い分けながら進んでいくが、いつどこでシングル・トーンからブロック・コードに変わるのか、聴いている方にはさっぱり予想がつかない。この点で、レッド・ガーランドやエロール・ガーナーから影響を受けた多くのピアニストと一線を画している。その代りに、間合いや強弱のアクセントをうまく使いこなすことで、自分の音楽を活気あふれるものにした。それまでのピアニストにはあまり見られなかった八分音符による跳躍という手法を完成させたのも、ケリーだった。

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