ウォーレン・バフェット「株主への手紙」2016(1)
先日、バークシャ・ハサウェイのホームページに、ウェーレン・バフェットの「株主への手紙」の2016年版が掲載されました。
これから、その全文を日本語にして、ここで掲載していきたいと思います。ただし、下手な訳、というよりも直訳に近いだろうから、読みにくいと思われた人は、原文を当たってみてください。
下のURLにあります。
それでは、少しずつ訳していきたいと思います。このような拙い翻訳を始めて7年目となりますが、以前は全部終わったところでまとめてアップしていましたが、数年前から、ある程度進んだところで、その都度アップするようにしました。そのため、仕事の都合や翻訳のペースによってアップの時期が一定しませんが、我慢してお付き合いください。それでは、始めて行きたいと思います。
バークシャ・ハサウェイの株主の皆様
2016年のバークシャーは株主価値をトータルで275億ドル増やすことができました。我が社のクラスAとクラスBの株式の1株あたり帳簿価格は両方とも10.7%増加しました。現在の経営陣が経営を引き継いでから52年の間に、帳簿価格は19ドルから172,108ドルに成長させました。これは年間複利で19%に当たります。
この期間の前半では、バークシャーの自己資本は、事業の本質的な価値を実際に計算した数字とほとんど等しいものでした。バークシャーの資産は主として、その現在の市場価格(売却される場合に発生する税額を控除したもの)に連動して継続的に再計算される有価証券だったからです。帳簿価格の計算に関係する大部分の資産は、ウォール街の言葉でいう「マーケット・トゥ・マーケット*」であったのです。
*各種金融商品の取引において、現在保有している資産(ポジション)を実際の市場価格(市場レート)で計算し、時価で評価し直す(現在価値に引き直す)ことをいう。
しかし、1990年代はじめまでに、我々の置く重点は、貸借対照表上の関連数値を減少させ、主として企業を所有し運営することにシフトしました。これは、当社が支配する会社に適用される会計規則(通称「GAAP」)が、有価証券の評価に使用される会計規則と重要な点で異なるために発生しました。 具体的には、当社が所有する事業の会計処理は、「値下がり株」の帳簿価額が、その不履行が明らかになった時点で減額されることを要求している。 逆に、「値上がり株」は決して上方評価されません
我々にはその両方についての経験があります。結婚における場合がそうであるように、事業買収は、しばしば“I do’s”(結婚式での宣誓の言葉)と言った後に驚きをもたらします。私はいくつかの愚かな買収をし、これらの会社の経営権を得るために支払った総額を失い、バークシャーの帳簿価格を減少させてしまいました。また、我々は、幾つかでは、少ないけれど非常に大きな勝者となりました。しかし、それについてびた一文なりとも計上していません。
時間が経つにつれて、この非対称の会計処理はバークシャーの本質的な価値と帳簿価格とのギャップを実質的に拡大しました。それについては、我々も承知しています。今日、巨大で成長している“勝利”による帳簿外の収益はバークシャーの本質的な価値が帳簿価格を大きく超えることを明らかにします。この超過分は、当社の損害保険事業において本当に巨大であり、他の多くの事業においても重要です。
我々の所有しているビジネスの帳簿外の価値が増加しているということは、52年間にわたりバークシャーの時価総額がなぜ、帳簿価格を上回るほど増大しているかの理由を明らかにしてくれます。
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