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2017年5月 5日 (金)

ティツィアーノとヴェネツィア派展(2)~Ⅰヴェネツィア、もうひとつのルネサンス(1460~1515)

Tizianobellini  ヴェネツィア派の創成期のジョヴァンニ・ベッリーニとその工房を中心として、その周辺を主とした展示です。この展覧会のメインがティツィアーノなので、そのイントロといった位置づけになると思います。正直に言えば、これと取り出して特筆したくなるような作品はありません。ティツィアーノと比べると引き立て役になっていると思います。
 ジョヴァンニ・ベッリーニの「聖母子(フリッツォーニの聖母)」という作品です。人物が人形みたいで、類型化そのものとか突っ込みどころ満載で、もっともらしい理屈はいくらでもいえるのでしょうが、この作品の魅力は背景の空の色彩に尽きると思います。テンペラという技法でしか出せない鮮やかさなのか、その後の画家たちの油彩では、これほどまでに抜けるような透き通る青空を、見た記憶がありませんでした。見たかもしれませんが、それが記憶に残っていない、ということは、それが印象的に描かれていないということでもあって、絵画というものに対して色々なことを考えたり、様々な要素を画面に織り込んだりすることによって、単純に色の綺麗さとか鮮やかさを愛でるということがやりにくくなっていったのが、絵画の進歩でもあるという考え方もできるわけです。言ってみれば、プリミティブな単純な見た目の気持ちよさを素直に味わえるということだろうと思います。
Tizianovivalini  バルトロメオ・ヴィヴァリーニの「聖母子」もそうです。聖母子の着ている衣装の深い緑と、聖母が下に着ているピンク色、そして二人が座っている椅子に掛けられた赤い布。これらの色の鮮やかさ。それと背後の光輪になるのか金色に輝くのとの対比が目に映えるところ。人物の描き方とか、陰影がつけられて立体感とかいったことは、美術史の学者や美術館の学芸員が理屈をつけてくれればいいので、私の場合のような消費者のような野次馬は、見た目の快楽ということで、ある意味テーマとか何が描かれているとかいったことは、どうでもよくて抽象画のように意味とか形を考えずに色とその組合せを堪能しているといった具合です。もっとも、これらの作品を、単独でこれだけを、わざわざ鑑賞したいと思うことはなくて、この展覧会のようにずらっと並んでいて、作者もタイトルも考えずに、たまたま視野に入った、これらの作品を見て時間を浪費するといったような鑑賞(消費)の仕方に適しているといったものだと思います。
Tizianobasaiti  マルコ・バザイーティの「聖母子と寄進者」という作品で、この聖母の顔はまるで能面のようで、裸の赤ん坊はセルロイド製のキューピー人形です。描かれた当時は、そういうものだったのかなどと考えることもないのですが、そんなことは関係なく、今、東京でこの作品を見て楽しむことと、それは関係ないので、そのときに、この作品は、それでも十分楽しむことはできるもので、それは、どういうところかという、単純に聖母子の肌の色の心地好さです。画像では、それが伝わらないのでもどかしさが残りますが、実物を見ていて触角に近いような知性を伴わない純粋に感覚的な快感に近い心地好さではないかと思います。
 また、こんな見方は冗談のようで教科書的ではないのですが、マルコ・パルメッツァーノという画家の作品が何点か展示されていて、上にあげられた作品に比べるとキチッとしたリアルなスタイルのデッサンができていて、形がはっきりしている作品を制作しているのですが、フィレンツェのルネサンスの画家たちに比べると、どこか人工的なつくものめいた感じがするところがあるのが、ちょっと変な感じで、むしろ近現代の作品に似通った印象を持たされる面白さがありました。例えば、「死せるキリストへの香油の塗布」という作品は、人物の顔の描き方が柔らかな皮膚に蔽われた滑らかな感じがなくて、ロボットのようです。それだけに顔の輪郭や凹凸が明確に描きこまれていて、描かれている人のキャラクターが図式的に明確化されているのを見ると、20世紀のシュルレアリスムの画家ルネ・マグリットの作品と似ていると思えてしまうのです。また、同じ画家の「射手たち」という作品は、ラファエル前派のバーン=ジョーンズが描いたといっても、そう思ってしまうようなテイストがあります。それが、どうしてなどという穿ったことは、ここでは考えるのをやめておきます。
Tizianopalume  なお、このコーナーで展示されていたティツィアーノの「復活のキリスト」は画家の若い頃の作品なのか、これがティツィアーノなの?と思うようなものでした。

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