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2017年6月19日 (月)

年功序列を、きちんと正確に経営で考えてみたい?

 上場企業の大半は3月決算で、一部の例外を除いてその決算発表が行われ、株主総会が行われ始めています。その決算は、会計基準という一定のルールのもとに行われていますが、そのルールは毎年のように見直しが行われています。その見直しの傾向は、そのひとつが時価会計といわれるもので、その時点での企業の状況を精確に表わそうというものです。決算とは、もともとそういうもので、何をいまさらと思う方も多いと思います。例えば、商売をやっていれば、売上があって、そこから仕入れや経費をさし引いた残りが利益で、それで何かおかしいところがあるのか、と疑問に思われるかもしれません。原則的にはそうなのですが、細かいところを見ると、それだけでは十分でなくなる。例えば、固定資産とその減価償却です。例えば、商売の必要で配達用の自動車を買ったとしたら、その代金を支払います。それは、経費ではなくて、固定資産の購入ということになります。それはなぜかといえば、買った自動車は数年間使用することになるからです。仮に5年間使ったとしたら、5年間の売上に寄与したことになります。それを購入した1年目の経費としてしまうと、自動車を使用した5年間のうち1年目だけに経費がかかってしまうことになります。そこに偏りがあるということになります。そこで、自動車を購入した場合には代金の支払いは経費ではなく、固定資産として計上し、減価償却として5年間に分割して経費として、それぞれの売上に対する経費として計上するというわけです。また、売れ残った製品は在庫として倉庫に残っていますが、もはや売れ残りを定価で販売することはできなくなります。そこで、定価で販売できなくなるということは、定価相当の製品の価値が減少することになります。それを減損といいます。その減損した価値を経費として計上することになります。例えば、貸倒引当金であるとか、資産の評価替え、税効果、その他で様々なことがあります。
1年間という限られた期間だけに関係するものだけに限って売上や経費を計算して、差し引きの収支を計算し、その結果としての財産の状態を厳密に割り出そうとする。それを時価会計と呼んでいます。
 前置きが長くなりました。そこで、そういう傾向のなかで、人件費、とくに給与ということについて、試しに考えてみたいと思います。企業に勤める人の給与は月給として払われますが、その分は給与として経費に計上されます。月給は1か月働いて、その対価ということで経費として計上するということでしょう。でも、その月給というのは、果たして実質をみると1か月の労働の対価なのでしょうか。それは、日本の賃金人事制度である年功序列ということと関係していることです。だんだん薄れてはきていますが、日本企業の場合、新卒で入社すると一律の初任給をもらいます。仕事は入社してから配属されて、当初は新人研修とか、入社してから配属、仕事が決まり、そこで一から仕事を教わって、見習いのような期間が続きます。大企業などでは入社してから数年の間は、そういう扱いで、色々な部署を経験させられるといいます。それは、そういう場合は、その人がやっているのは全部、その1年間の事業に直接貢献しているということではないことになります。つまり、その人のやっているのは、将来のための準備ということで、これから何年か先の事業のためのことをやっているわけです。言ってみれば、研究開発のようなもので、いま開発しているのは何年か後の製品に結実するための費用で、将来の製品の売上のための経費の前払いのようです。とくに大きな企業では入社1年目の新人などは、直接、その年度の事業に関わる労働をしていないでしょう。だから、その人の給与は、将来の事業の売上の経費の前払いということが、その実質ということになるでしょう。その後、若い戦力になったら、低い給与で最前線で戦力となって貢献する。そこでは、給料以上の貢献をして、歳をとったら、その反対。それが年功序列の賃金制度ということになるのでしょうが、それは、事業とそれに関係する経費の動きとずれているところがあります。だから、時価会計の考え方でいえば、事業の状況を正しく反映していないと言えます。これが、アメリカ企業の職務給のようなシステムであれば、事業のためのミッションを人に求めて、その能力を持った人がミッションを行い、その対価として給与をもらう。そういう給与の計上の中身と日本企業の年功給とをおなじように並べるのは、誤解を招くかもしれません。もし、そういう、年度の事業に直接かかわるか否かで人の働きの中身を吟味して、その分だけを年度の経費として、また、以前の前払いの分や後払いの予定の分を計上してみると、その企業の人の内実が、会計上で正確に把握することができることになるのではないでしょうか。それで、同じ社員数でも、その年度費用によって労働生産性の内実の違いが、明らかにあらわれるのではないかと思います。その時、よくいわれる日本企業の労働生産性のことなどが、米国企業と比較できることになるのではないか。
 経営者のなかには、従業員は財産で、賃金は投資のように考えて人財という言い方をする人がいます。そういう人は、本気でそう考えているなら、財産として、人にかかわる費用の面でも本気で考えていないのではないか、そうであれば、上で書いたように考える経営者がいてもいいのではないか。投資家とか、アナリストなんかも、経営者の人に対する考え方を確認することがあってもいいのではないかと思うことがあります。

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