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2017年12月 1日 (金)

ベルギー奇想の系譜(5)~Ⅲ.20世紀のシュルレアリスムから現代まで

Belgfantatymance  ベルギーのシュルレアリスムといえば有名なマグリットは日本でも人気のある画家でしょう。有名な「大家族」が展示されていました。
 ここで印象に残ったのは、パトリック・ファン・カーケンブルフの「2007-2014年、冬の日の古木」という鉛筆によるスケッチです。鉛筆と絵具で緻密に描かれた、写実的だけど小さな階段と扉がある架空の木。執拗なほど精確に描き込まれた、写真のように見えてしまう。まるで、そういう木が現実にあって、それを撮影した写真のように見えてきます。
 リュック・タイマンスの「磔刑図」という作品。白一色の世界、まるで白昼に目前でフラッシュを焚かれて、真っ白に映ってしまったような、淡い色の表層だけの薄っぺらな世界。イエスの磔刑という宗教的な大事件だし、普通でもイベントであるはずが、そういう喧騒とか悲しみとか、怒りとかいった感情的な要素、そして音や動きがなくなっている無機質と言っていいような画面です。淡々とした日常の生活そのもののように見えてくるのです。右手前の3人の人影は磔刑の光景があるのに、気付かず世間話をしているように見えます。それは日常生活のワン・シーンのようです。それが却って、キリストの磔刑という事実が剥き出しにされて、日常につながっているわけです。それは、見る人の日常にも同じなわけで、そこに迫っていることがイメージされる。結果として、清澄な透明感と、とらえどころのない茫漠とした画面になっている。こじ付けかもしれませんが、クノップフ、スピリアールト、そしてマグリットが当てはまるか、という系譜のようなものの上にあるように見えます。たしかに、奇想といえばいえるし、スタティックで内省的というのが、これらの絵画に通底していると思います。
Belgfantacarken_2

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