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2018年2月11日 (日)

『メッセージ』の感想

Arrival2016  ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画『メッセージ』を見た。「突如地上に降り立った巨大な宇宙船。謎の知的生命体と意思の疎通をはかるため雇われた言語学者のルイーズは、物理学者イアンとともに“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていく。そしてその言語の謎が解けたとき、彼らが地球にやってきた驚くべき真相と、人類に向けたラストメッセージが明らかになる…。」という惹句のSF映画。テッド・チャンの『あなたの人生の物語』というSF小説を原作としている。この小説の題名は、「あなたの人生」の物語で、ふつう言い方であれば、私の人生だったり、彼女の人生ということになろう。主人公の言語学者は、その謎の知的生命体の言語とかコミュニケーションの手段を解明しようとする。“ヘプタポッド”と名づけられた知的生命体や、その言語のあり方の小説では想像するしかなかったのを映像化が見事で、いわゆる特撮映画とかスペースオペラとは一線を画した、SFのテイストを強く感じさせる映像を見ているだけでもうっとりするほど。“ヘプタポッド”が最後まで謎のままなのは、アーサー・C・クラークの『地球幼年期の終わり』のような宗教的SFを彷彿させる。しかも、映像として美しい。
 ただ、原作の小説の特徴的な要素、たとえば、時間をぶつ切りにした場面を並べ替えることで、物語が現在と過去と未来を縦横に行き交い、その境界が失せて、それらがおなじ画面にいっしょくたになってしまう。それが実は、この物語そのものである。それはまた、私とあなたの境界が消失し、それがひとつの場面にいっしょくたになる。「あなたの人生」は私の人生と重なり、“ヘプタポッド”の人生でもあるとなる。それをパフォーミングアートでもある映画にしようとするので、難解な印象になる。そのあらわれは、最初の主人公と娘との場面で、その娘の成長と死がフラッシュバックで描かれ、その後に巨大な宇宙船の場面となる。で、このふたつの場面が平行のまま映画は進む。“ヘプタポッド”との場面に、フラッシュバックがとこどころで挿入されるが、そのふたつの関係が分からず、映画のストーリーが細切れになってしまうようで、分かりにくいことこの上ない。しかし、このフラッシュバックは回想と思っていたら、それは未来の記憶ということで、それは最後ちかくなって主人公が中国の軍人の暴走を食い止めるところで明らかになる。主人公は“ヘプタポッド”の言語を分析しているうちに、その時間や空間の認識構造を身につけていた。つまり、主人公はフラッシュバックで明らかになっている娘を成長させて死なせてしまうことを記憶することになる。最後に、結婚して娘を生むことを決心する。その結末は、私は、映画を見終わってから分かった。それが、この映画のドラマをつくっていた骨格であって、それが感動を呼ぶものであったことを。だからというわけではないが、この映画は繰り返して見ると、面白くなってくる。

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