ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2017(9)~賭け」は終わり、意外な投資の教訓を得た(2)
賭けは別の重要な投資の教訓に光をあてました。:市場は通常は合理的ですが、時には狂ったことをする。その機会をつかむには、偉大な知性、経済学の学位、アルファやベータなどのウォール街の専門用語に精通している必要はありません。その代わりに時投資家が必要とするのは群衆の恐怖や熱狂を無視し、いくつかの単純な基本に集中できる能力です。持続的な期間、愚かに見えようとも、平凡をいとわないことは、不可欠です。
もともと、プロジェテと私はそれぞれ、50万ドルのゼロクーポンの米国財務省債(「ストリップ」と呼ばれることもある)を購入することによって、最終的に100万ドルを手に入れるために必要な資金を調達しました。これらの債券に、我々はそれぞれに318,250ドル費やしました。1ドルで64セント未満となり、 10年間で50万ドル支払われることになるものです。
この名前が示すように、私たちが取得した債券は利息を支払わなかったが、(購入した際に割引をうけているために)満期まで保有していれば、年率4.56%のリターンを得ることができます。プロジェテと私は当初、毎年のリターン以上のことは集計しないで、2017年後半に満期を迎えたときに、慈善団体に100万ドル寄付するつもりでした。
しかし、購入した後、債券市場ではいくつかの非常に奇妙なことが起こりました。2012年11月までには、満期まで約5年となっていた我々の債券が額面金額の95.7%で売られていました。 満期までの総利回りは1%未満で、正確には、0.88%でした。
それは哀れなリターンとなりましたが、我々の債券はアメリカの株式投資に比べて、本当に開いた口がふさがらないような投資になってしまいました。時間が経つにつれて、S&P 500は市場価格によって適切に重み付けされたアメリカのビジネスの巨大な断面を映し出し、 株主持分(純資産)に対して年率10%をはるかに越える収益率となりました。
2012年11月には、我々はこのすべてを考慮したとき、S&P500の配当金からのキャッシュ・リターンは、米国財務省債の利回りの約3倍の2.5%となっていました。これらの配当金の支払が増加することは、ほとんど確実でした。それ以上に、 これらのS&P 500企業は、莫大な金額を保留していました。利益剰余金を使用して事業を拡大し、しばしば自社株を買い戻すことになります。いずれの場合も、時間の経過とともに、1株当たり利益が大幅に増加します。1776年以来、何か問題があっても、アメリカ経済は前進し続けてきました。
2012年後半に債券と株式の間の並外れた評価ミスマッチが現われたので、プロジェテと私は、5年前に購入した債券を売却し、その収益で11,200株のバークシャーB株を購入することに同意しました。 その結果、オマハのGirls Inc.は、当初希望していた100万ドルではなく、先月2,222,279ドルを受け取りました。
バークシャーは、その2012年の買い替え以来、素晴らしい業績を上げていないことを強調しておかなければなりません。しかし、輝く必要はなかったのです。結局、バークシャーの利益は年率0.88%の債権を打ち負かしていたに過ぎないものでした。ヘラクレスのような成果ではありませんでした。
債権からバークシャー株式に換えたことの唯一のリスクは、年末の2017年末の非常に弱い株式市場と重なってしまうことでした。プロテジェと私はこの可能性(常に存在する)は非常に低いと感じていた。この結論には二つの要因がありました。バークシャー株の2012年末のリーズナブルな価格であることと、賭け金が決済されるまでの5年間にバークシャーで発生することが実質的に確実な大規模な資産増強があることです。たとえそうであっても、買い替えからの慈善団体への全てのリスクを排除するため、2017年11月のバークシャー株式11,200株の売却が少なくとも100万ドルを生み出さなかった場合、私は不足額を補填することに同意しました。
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投資とは、後日、より多くの消費を可能にするために、今日の消費をひかえる活動です。「リスク」は、その目的が達成されない可能性です。
この基準によれば、2012年の「リスクのない」の長期債は、普通株への長期投資よりもはるかにリスクの高い投資でした。 当時、2012年から2017年の間に年間1%のインフレ率であっても、プロテジェと私が売却した国債の購買力は低下していたでしょう。
これからは日、週、または年の期間でも、短期間の米国債よりも株式投資の方がはるかに危険性が高いとすぐに認めたいと思います。しかし、投資家の投資期間が長くなるにつれて、株式が当時の金利と比較して賢明な利益の倍数で購入されると仮定すれば、アメリカ株式の多様化したポートフォリオが、債券よりも徐々にリスクが低いものとなります。
年金基金、大学基金、貯蓄を志向する個人といった長期的な視点を持った投資家にとっては、ポートフォリオの株式に対する債券の比率によって、投資の「リスク」を測定することは、大きな間違いです。 多くの場合、投資ポートフォリオの中の格付けの高い債権はリスクを増大させます。
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我々の賭けからの最終的な教訓です。:大きな始点の「簡単な」判断をもち続け、活動を慎むということです。10年の賭けの間、関わった200人以上のヘッジファンドマネージャーは、最終的に何万者の売買の判断をしました。ほとんどのマネージャーたちは、疑う余地なく判断の際に熟考していました。彼らは、それぞれ有利な判断であったと信じています。投資の過程で、彼らは10-K(有価証券報告書)を調査し、経営陣にインタビューし、業界紙を読んで、ウォールストリートのアナリストと相談しました。
一方、プロジェテと私は、10年の間に1度だけ、研究と洞察や才能に頼らず、投資判断をしました。我々は債券投資を100倍以上の利益(95.7販売価格/ 0.88利回り)となる価格で売却することにしました。この価格は、今後5年間は増やせない「収益」です。
我々は、バークシャーの単一の証券に資金を移すために売却を行いました。これは、多様な堅実な事業のグループを所有することになります。利益剰余金に支えられて、バークシャーの価値の伸びは、我々がまあまあの経済を経験することになっていたとしても、年間8%を下回る可能性は低かったのです。
この幼稚園程度の分析の後、プロジェテと私は債権から株式への買い替えを実行して、ほっとしました。その時、時間の経過とともに、8%は0.88%を上回ると確信していました。
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