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2018年3月16日 (金)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2017(4)~保険業(1)

 2017年の我々の保険事業の結果について報告する前に、我々が、この分野になぜ参入したと、いかに参入したかを思い出せて下さい。我々は1967年の初頭にナショナル・インデミニティとその姉妹会社ナシャナル・ファイエ・アンド・マリーンを860万ドルで買収することからはじめました。我々は、この取得により670万ドルの純資産を手にしました。保険という事業の性質によって我々は市場で有価証券投資を始めることができました。我々はバークシャー自身が保有するとは別の方法で証券投資のポートフォリオを容易に再編成することができるようなりました。実際には、純資産部分の費用を「トレーディング・ドル」にしました。
 バークシャーが支払った費用と純資産との差額190万ドルのプレミアムは、我々に通常の保険引受の収益をあげる保険事業をもたらしました。さらに重要なことは、保険事業は1940万ドルのフロート、つまり、二つの保険会社が保有している他人のお金です。
それ以来、フローとはバークシャーにとって非常に重要なものとなりました。我々が、この資金を投資にまわすと、その展開によって得られる配当、利息、利益はすべてバーシャーのものとなります。(我々が投資損失を経験した場合には、もちろん、これらは同じような勘定となります)
 フロートは損害保険会社では次のような方法で実体化します。(1)プレミアは、通常、6ヶ月か1年という全保険期間にわたって損失が発生するのに対して前払いで保険会社は受け取ります。(2)自動車修理のような、いくつか損失に対しては、すぐに(その受け取ったプレミアが保険者に)支払われますが、その他の、アスベストの露出によって発生した危害のような損失は、問題が表面化するのに多年を要し、それが評価され鎮静化するにはさらに長い期間がかかります。(3)損失の支払は、時に、場合によっては数十年に引き伸ばされます。例えば、我々のひとつの労災補償保険契約者の従業員が永久的な負傷をおって、その後の生涯の介護のために高額な費用を必要としている場合です。
 プレミアの総量は増加するので、一般にフロートは成長します。その上、特定の損害保険業者は医療過誤または製造物責任のような事業ラインに特化しています。これらは業界用語で“ロングテール”と言われていて、保険会社が必要な修理のために請求者にほぼ即座に支払いを請求される自動車保険や住宅保険にくらべて、はるかに多くのフロートを生み出します。
 バークシャーは長年にわたって“ロングテール”ビジネスのリーディング・カンパニーでした。特に、特に、他の保険会社がすでに抱えていたロングテールの損失を前提とした特大の再保険政策を特化しています。我々がその種類のビジネスにとくに力を入れた結果、バークシャーのフロートは驚異的に増大しました。我々は、現在、フロートにおけるプレミアム・ボリュームで測定される規模では国の2番目に大きい損害保険会社です。
(記録は省略します)
 我々の2017年のプレミアム・ボリュームはAIGが起こした200億ドルのロングテール損失を再保険した大きな取引により増大しました。この契約での我々のプレミアは102億ドルという世界記録で、我々も今後二度と経験することはおろか近づくこともできないでしょう。したがって、2018年のプレミアム・ボリュームはいくらか落ち込むことになるでしょう。
我々が将来のフロートの低下を経験するとしても、それは非常に段階的で、数年で3パーセントを以上にはならないでしょう。我々の保険契約の性質は、我々の持っている現金資源に比べて、それを上回るような金額を即時に支払わなければならないような要求を受けることはあり得ない、というものです。この構造は設計によるものであり、保険会社の傑出した財務力の中の重要な要素です。 それは決して損なわれません。そして、我々が投資判断の際に考慮に入れているバークシャーの最も重要な特徴です。
 チャーリーも私も他人や自身が資金不足に直面している友人の好意に依存するような姿勢でバークシャーを運営するようなことはしません。2008年~2009年の危機の間、私たちは、財務省証券(Treasury Bills)の保有を好んでいました。銀行の与信やコマーシャル・ペーパーなどの資金調達源に頼らなくていいように我々を守ってくれるものでした。我々は、バークシャーを市場閉鎖の延長などの経済的不連続に快適に耐えるように意図的に建設しました。
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