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2018年4月17日 (火)

没後20年麻田浩展…静謐なる楽園の廃墟(1)

2017年10月15日(日)練馬区立美術館
Asadapos  休日に外出することは、めったにないが、卒業した大学のOBの集いのようなイベントがあって、学生時代のサークルのOBで会うことになった。約束は夕方だったので、そのついでに、と家を早めにでて、途中でまわり道をして、普段はなかなか行くことができない西武池袋線の中村橋に。練馬区美術館はおもしろい作家をとりあげた企画展をするのだけれど、場所が私の交通ルートからは離れていて、しかも開館時間が昼間なので、なかなか行くことが難しい。ちょうど良い機会だからと、行くことにした。あいにくの雨模様の天気だったけれど、そのおかげで、日曜の午後という時間にもかかわらず、館内の人影はまばらで、先日の池田学のときとは打って変わって静かな空間で、ゆっくりと作品を見ることができた。
 麻田浩という画家は、いつものとおり知識に乏しい私には初めて名を聞くので、紹介をかねて、展覧会パンフレットの主催者あいさつを引用します。“麻田浩(1931~97)は、日本画家、麻田辨自を父に、同じく日本画家、鷹司(1928~87、2000年に当館で回顧展を開催)を兄に持つ、美術家の一家に生まれました。同志社大学経済学部に入学するものの、画家への道は捨てきれず、新制作協会に出品、在学中に初入選を果たします。初期にはアンフォルメルに傾倒しましたが、1963年、初めてのヨーロッパ旅行にて古典絵画を再確認したことで、徐々に変化が表れます。1971年、39歳のとき再度渡欧。パリを拠点に、より幻想的な風景画を生み出し、新制作展や安井賞展などに出品し続けました。また、ヨーロッパ滞在期には版画制作にも力を入れ、カンヌ国際版画ビエンナーレではグランプリを獲得。フランス・ドイツ・ベルギーなどでも個展を開催しています。1982年、50歳で帰国。京都に戻り、京都市立芸術大学西洋画科の教授を務めながら、水滴や羽根などの自然物を配した「原風景」とともに、「原都市」と名づけられた美しき廃墟空間を描き続けました。1995年には京都市文化功労者となり、同年に第13回宮本三郎記念賞を受賞するなど活躍を続けていましたが、1997年、65歳で自ら命を絶つこととなります。本年は麻田が没して20年という記念の年にあたります。初期から晩年まで、約140点の油彩画、版画等を通し、麻田の画業を振り返る展覧会です。”
Asadacity  会場で受付を通って最初に目の前に現れるのが「原都市」という作品です。主催者のあいさつと並べるように展示されていた作品で、美術館としては、出会い頭という大げさですが、ある程度は、これが麻田という画家だというものを最初に提示したという展示なのではないかと思います。「原都市」という題名にもかかわらず都市の風景が描かれているわけでもなく、石造りの建物の壁面を描いています。その壁で画面がいっぱいになっているので、ここで描かれている空間が平面的で、しかも壁という単一の平面で覆われてしまっているので、壁の色が画面全体を支配している。私には、それが麻田の作品に共通している性格ではないかと思われました。それは、この後で展示されている作品を見てきて、そのあとで、展覧会を思い出して、この作品を改めて見た時に、私なりに合点した印象です。最初に、この作品を見た時には、それほど印象の強い作品とは思えず、素通りするように、この後に始まる制作年代順に追いかける展示の初期作品の展示に移ったのでした。そうだからというわけではありHammerfel ませんが、この人の作品はひとつで見る者に強烈なインパクトを与えてグッと惹きつけるというタイプではなくて、じっくりと見ているうちにジワジワと見る者を徐々に惹き込んでいくタイプではないかと思います。この「原都市」という作品では、見る者の焦点となるような要素が見当たらなくて、壁面という平面で一色の物質に画面が占められています。そこでは、この作品では、その平面を空間として見る者に提示する。そういうひとつの空間とか世界を全体として、まるごと画面で提示する。麻田の作品はそういう性格のものであるように思います。その際に、麻田の武器、というとへんな言い方になりますが、画面を壁という平面的な物質で占めてしまう際の色調、同系統の色で画面を占めてしまうと単調になってしまうとろを、ひとつの雰囲気を作り出していて、色のセンスが卓越している。この「原都市」では壁の茶の混じったグレーが、石の物質感や重量感はあっても、のしかかってくるような重苦しさにはならず、ちょっとモダンな印象もあって、廃墟のような光景なのに汚らしさは感じさせないし、透明感と明るさがあって、そこに不自然さがないのです。こけだけではないかもしれませんが、展示されている作品を通じて、テーマとか題材とかは別にして、オシャレさと品の良さを例外なく感じました。
 引用した主催者あいさつとは、ニュアンスがずれてしまうようですが、このような私なりの視点で、以下で作品を展示順に見ていきたいと思います。

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