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2018年4月14日 (土)

佐々木俊尚「広く弱くつながって生きる」

 “従来の人間関係は会社や学校、家族の中だけで形成される濃く、狭く、強いものだった。しかし、終身雇用制度が危うくなり、リストラが起き、人口が減り、家族形態が変わってきたことで、働き方や暮らし方が多様化した今、人間関係で消耗しているのは勿体無い! リーマンショックと東日本大震災を契機に、人とのつながり方を変えたことによって、組織特有の面倒臭さがなくなり、世代を超えて友達ができ、小さい仕事が沢山舞い込むようになった著者。そのコツは、浅く広くつながることだった。息苦しさから解放される、現代の人間関係の提言書。”という惹句は、上から目線の説教だったり、安易なハウツーの気休めに思われがちだが、著者は自身が実践している現場の報告として、こういうのもあり、という書き方をしているので、それなりに納得できる。
 長年の会社勤めで築いた人脈は、実は会社の取引によるもので、リタイアしてしまえば、一夜にして崩れてしまう。一方、地域のコミュニティは崩壊しつつある。そこで縁を頼って仕事をことなどは期待できない(往々にして、終身雇用制の会社勤めをしていた人は、このことに気づかず、定年後に、こういう縁に期待しがち。実際にそれができるのは、ほんの一握りの突出した専門能力や実績のある人に限られる)。そうなったところでは、趣味でも、ボランティア活動でも、ちょっとした関係、言ってみれば弱いつながりを、ひとつではなく、いくつもつくっていくという関係のあり方を提案する。その時にものをいうのは、会社員の実績でも能力でもなく、“いい人”であるということ。ただし、この“いい人”であるには、会社員にとっては、ほとんどの人は変わらなければならないだろう。書き方はやさしいが、これは実は厳しい、たいへんなことだと思う。
 少なくとも、終身雇用制のもとで長年にわたり会社を勤め上げたという人が、定年でリタイアしたら、もはや、生き方を変えていかなければ、その後に残された長い人生を台無しにしてしまうという厳しい現実を突きつけられていることが、その言外にある。優しい書き方をしているが、私にとっては厳しい、つらい本でもある。

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