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2018年4月27日 (金)

内部監査担当者の戯言(10)

 前回投稿した與那覇潤「知性は死なない 平成の鬱をこえて」についてのところで、言っていて物事をストックとして捉えるのではなく、フローとして捉えるということを考えているうちに、実際の場として、その前の投稿したある会社の説明会での話を思い出しました。
それは、次のような話です。
 海外のメーカーを買収して、数年で利益率10%から15%の高い利益率にしてしまうことについて、そういう会社の経営者というのは、ビジネススクールで経営学を修めて数字の計算には強いけれど、そこで枠をはめられていて、メーカーであれば業界標準といったようなデータを鵜呑みにしてしまって5%くらいの利益率という発想しかできなくなっている。また、工場をプロフィットセンターと見ないで、営業が取ってきた注文のアフターフォローとしか見ない。だからマーケティングで戦略を熱心に考えるだけでおわってしまう。工場に足を踏み入れることもない。そこに限界があると言います。そこに乗り込んで、工場こそが利益を生み出すとして、生産現場の改善に地道に取り組むと、あっという間に生産効率が上がって利益率が好転するし、それを踏まえた全体的な戦略を進めていくと会社全体が変わっていくと言います。それは、赤字を出している会社では短期的に顕著に効果が現われると言います。むしろ、5%くらいの中途半端な利益率の会社の場合は経営トップが現状に自信を持っているので、それ以上の利益率を求めても現実的と考えないので、時間がかかると。この経営者の持論として、会社にはどんなに優秀な社員がいても、トップがすべてということに収斂するといいます。だから、買収した海外のメーカーの場合も、トップに発想の転換をさせるか、それができない人は替えてしまうそうです。
 この買収した海外メーカーというのはヨーロッパや北米の会社で経営トップは、ここで言われているようにビジネススクール出身のプロで、最新の知識やスキルを身につけている人たちだったわけです。当然、今の日本企業に求められているようなガバナンスなどの意識も知識も高いし、日本のコーポレートガバナンス・コードで求められているようなことは身についていて例えば、ダイバーシティといったこともそうだと思います。それでいて、固定的な枠にはまった発想しかできていなかった。そういう結果です。
 何を言いたいかというと、ダイバーシティ、つまり人材の多様性ということは、そもそも、会社の経営や事業を推進させていくに際して、枠に嵌まってしまわずに、柔軟な発想で市場の変化を乗り切って、他にはない独創的な考えで競争に勝っていく。そのために多様な発想を求めて、発想の出自の異なる人が存在していて、同じような考えの人で固まることのないようにする、というものだったと思います。だから、女性が何パーセント以上いるとか、マイノリティーの人が一定程度以上いるということとは、同じではないはずです。おそらく、この買収された会社にも、そういう女性やマイノリティーの人がいたと思います。しかし、生産現場の声が届かなかった。一方で、生産現場という経営のプロとは異なる発想の人は多様性の中に入ってこなかった。それで収益性が上がらなかったということなるわけです。おそらく、女性とかマイノリティーの人とはいっても、同じようにビジネススクールで勉強した人たちなのでしょう。つまり、経営の基本的な姿勢は同じではないかということなのです。そこに発想の多様さがあったのか。あったのは出自の多様さで、考えていることや、話していることは同じ枠の中で話していた。だから、生産現場を誰も見ようとしなかった。つまり、多様性といっても、その人の性別、民族、階級といったことは属人的なもので、いわばストックです。しかし、どのように考えるかというのは、その人の出自の影響はありますが、その後、その人がどのような人と関係したのか、とかどのような経歴を経たのかといった流動的なもので、フローの面が強いのではないか。
これは、企業の現場で、別の面で重要なものとして、能力というのも、ストックではなくて、フローではないかと思えてくるのです。

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