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2018年5月 5日 (土)

オットー・ネーベル展(5)~4.イタリアの色彩 The Colours of Italy

Nebelatolus2  ネーベルは、1931年に3ヶ月間イタリアに滞在した折に、「イタリアのカラーアトラス」を制作したそうです。“この図鑑は以後の絵画制作に必要不可欠な基礎となるものだった。個々の図の対向頁に書き込まれた解説で、ネーベルはそれぞれの光景を眺めた際に湧き上がった主な感情を書き留めている。風景の中でその色彩が多く見られ、「響き」が際立っていればいるほど、色彩の幾何学的な形や四角は大きく描かれる。ネーベルは家々の壁の色、漁船。オリーブや松の森、山脈や海岸といった様々な事物も、その響きによって「肖像」として描いている。最終的には、ネーベルは個人的な視覚体験と一定の色彩とを対応させることによって「心理史学的な」カタログ化を目指し、これを尺度として以後の創作に必要な基礎を築いたのNebelatolus である。”と解説されています。まあ、そんなものかもしれません。展覧会のパンフレットの表紙にその部分が使われていることもあり、この展覧会の目玉のひとつということなのでしょうか、会場でも割合スペースをとって展示されていました。私には、色彩のこのノートへの塗りはベタ塗りで丁寧さがなく、これは単なるメモ程度にしかおもえませんでした。参考出展されていた「色彩の原型帳」の方が原色に近い鮮やかな色で、こちらの方が印象に残っています。いずれにしても、これらには、ネーベルの作品の病的に細かいものがなくて、作品の舞台裏程度にしか感じられません。それよりも、作品をもっと見たい。
Nebelsiena_2  それで「シエナⅢ」という作品を見てみましょう。「イタリアのカラーアトラス」を制作した経験を生かして、煉瓦の建築物の煉瓦色が全体を支配し、濃淡、赤錆色とオリーブ色のアクセントがリズムを与えられている、といいます。とはいっても「煉瓦の大聖堂」と色調は似ていて、建築のフォルムが幾何学図形のように線と面に解体させることが、いっそう進んで模様のようになっている、といった方がいいと思います。しかも、煉瓦の表面のザラザラした感じに似たようにハッチングを施している。そのことによって、ハッチングの方向がストライプのように見えて、その組合せが、色彩の変化以上に、画面に変化や動きを与えているように私には見えます。
Nebeltoskana  「トスカーナの町」は大聖堂の絵でいえば、「青い広間」に相当するように、「シエナⅢ」が赤系統であるのに対して、青系統です。一見しての印象ですが、ブラックの分析的キュビスムの作品に似ているようにも見えます。
 むしろ「地中海から(南国)」という作品で、点描であることをあからさまにして提示したことの方が、私には、ネーベルが二重性格の隠された姿を垣間見せた、しかも分かり易い形で、という点で魅力的に映りました。全体の印象は淡い色調で、必ずしも南国風ではない。この作品では、点描という名目で、細かい作業の細かさを少し細かくしないで、その効果が普通にわかる様にしていて、カンディンスキーもクレーもシャガールもやろうとしないことをやっていることを明らかにしています。しかし、それゆえにネーベルの作品の中では微温的と映る。それは、私がネーベルの病的なところに捉われているからなのですが。
Nebelsouth

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