オットー・ネーベル展(10)~9.近東シリーズ The Near East Series

「イスタンブールⅣ」という作品です。前のコーナーのルーン文字の作品に比べると単純に文字数が増えた。その分シンプルさが減退して、細部の細かさより全体のデザインに目が行くようになってしまったという印象です。解説のように評価できるかは分かりませんが、私には、それまでのネーベルの作品にあった病的な面、つまり部屋に閉じこもった画家が猫背になって、画面に目を接触させるほど近よって、手の震えを我慢しながら、細かな作業を執拗に続ける画家のイメージが、ここからは感じられないものでした。

なお、この後の「10.演劇と仮面 Acting and Masks」と「11.リノカットとコラージュ─ネーベルの技法の多様性 Linocuts and Collages-Otto Nebel’s Technical Diversity」の展示は、はっきりいって会場の穴埋め、おまけ程度にしか思えないので、そんなものだったということをひと言申し添えておきます。
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