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2018年7月 2日 (月)

ルドン─秘密の花園(8)~7.再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな

Redonflower  「花:ひなげしとマーガレット」という作品です。今まで見てきたルドンの作風は異なって、ちゃんとした静物画として見る事ができる作品です。絵の具もきっちり塗られていて余白が埋められています。暗闇で左手から光が照られ浮かび上がるという画面はボデコンの雰囲気すら漂わせています。とくに、マーガレットの花の白とひなげしの赤が対比的に暗い中で浮かび上がって、それぞれの印象を強くしています。ルドンにも、このような色彩の緊張関係をつくる作品があるとは、この最後近くにきて、初めて出会い、とても驚きました。その反面、こんなことは、他の画家でもやっているのだから、何もルドンがやることもないだろうに、と軽い失望を覚えたことも確かです。ブリューゲルのような圧倒的な精緻さはルドンに望むべくもありません。ルドンにしては月並みにうつるのです。
Redonflower2  「日本風の花瓶」という作品は、ますますブリューゲル風になってきました。花瓶の磁器の冷たいはだざわりと花の柔らかさを描き分けているなど、およそ、これまでのルドンにはなかった印象です。ルドンもやればできるころを示したがったのでしょうか。ブリューゲルとはちがって、ここではルドンは花の色を同じ系統の赤やオレンジ色を集めていて、反対色による対比からうまれる緊張はありません。むしろ、似た色が隣り合って、ところどころ輪郭が曖昧になるところがあって、背景も同系統の色を基調にしているので、一部で混ざり合っているような、つまり、ブリューゲルの花の絵は、暗闇から花が浮かびあがるように、背景と緊張関係を作っていて、はれだけに花がくっきりと前面に出て強調されるような効果をあげています。これに対するにルドンの場合は、背景との緊張関係はなくて、花と背景との区分が曖昧になっています。これは、花が背景のなかに取り込まれるような印象を与えています。ブリューゲルは地と図の対立があるのに対して、「花:ひなげしとマーガレット」は地と図が全部にわたって対立することはなく、融合というか混ざり合うような印象を見る者に与えるものとなっていると思います。「青い花瓶の花」という作品も同じ印象です。
Redonflower3  「野の花のいけられた花瓶」という作品は、隅々まで丁寧に描き込まれています。それはそれでいいかもしれません。これらの花の絵は、ひとつだけ取り出して眺めるにはいい作品かもしれませんが、ここでのように展示場に並べられていると、ルドンの作品しては版画のような突出した特徴がないので、飽きてくるものであることは否定できません。ルドンが好きな人は、このような作品を何枚も見ていたいのでしょうね。
 このあと、装飾プロジェクトとしてタピスリーの下絵が並んでいましたが、私にはオマケのようでつまらなかったので、これで終わりにします。

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