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2018年11月13日 (火)

イギリス風景画の巨匠 ターナー 風景の詩(5)~第4章 山岳─あらたな景観美をさがして

Turner2018snowdon  山岳に魅せられたターナーは、スケッチのためにスコットランドの高地からアルプスに至るまで足を運び、崇高な山岳風景を描いた。交通手段があまりなく、気軽に遠方に旅行ができない当時の人々にとって、それは視覚的な驚きと新鮮な感動をともなうものだったと説明がありました。当時は、山岳風景が美しく観賞の対象になるということが定着していなくて、風景画の対象とするひとも少なかった。そういう新規の市場に着目したのはターナーという人のマーケティングセンスと言っていいと思います。この前のコーナーのローマの観光案内風の作品なども、そうで産業革命による経済成長で大衆市民社会が生まれてきて、絵画の新しい消費者への売り込みというのが、ターナーの画家としての顧客拡大、当然画家としての名声につながるわけでしょうから、そのためのマーケティングセンスのあらわれたのが、ここで展示されているような作品を制作して売りさばくことができたということではないかと思います。
 「スノードン山、残照」という作品は、画家の20代の頃の作品で、上手いです。横広の画面で、手前に丘が描かれていて、そこから谷が落ち込んで、その谷を隔てて遠景にして、そこに夕方の残照かあたることで山をクローズアップするような効果を生んでいる。そういう演出は巧みです。
Turner2018rolerai  「ローレライ」などはヨーロッパ大陸の観光名所を、物語で脚色されたような感じではなく、今では観光ポスターのような実際にそこに行って見える風景のような描き方をしています。岸壁の描き方などは丁寧ですが、屹立する岩の崇高さというより、川が水平に流れている横の広がりがパノラマ風景のようなものとなっています。それが臨場感を生んでいるのかもしれません。他にもたくさんのスケッチや版画。
このターナー展は上手い風景画家としてのターナーの作品をみていて、その中に数点の一線を超えた作品があって、私の場合は焦点は、どうしてもそっちにいってしまったのですが、それだけでも見られて良かったと思います。

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