ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2018(1)
先日、バークシャ・ハサウェイのホームページに、ウェーレン・バフェットの「株主への手紙」の2018年版が掲載されました。
これから、その全文を日本語にして、ここで掲載していきたいと思います。ただし、下手な訳、というよりも直訳に近いだろうから、読みにくいと思われた人は、原文を当たってみてください。
下のURLにあります。
それでは、少しずつ訳していきたいと思います。このような拙い翻訳を始めて10年目となりますが、以前は全部終わったところでまとめてアップしていましたが、数年前から、ある程度進んだところで、その都度アップするようにしました。そのため、仕事の都合や翻訳のペースによってアップの時期が一定しませんが、我慢してお付き合いください。それでは、始めて行きたいと思います。
バークシャ・ハサウェイの株主の皆様
2018年のバークシャーは一般会計原則(一般に「GAAP」と呼ばれる)に基づく株主価値をトータルで40億ドル増やすことができました。この内訳は次の通りです。営業利益の248億ドル、無形資産(クラフト・ハインツでほとんど完全に我々の株主持分から生じる)の減損による30億ドルの現金以外の損失、投資証券の売却によって得たキャピタル・ゲインの28億ドルと我々の投資持分の中に含まれていた未実現のキャピタル・ゲインの減少による206億ドルの損失です。
新しい「GAAP」のルールでは、この最後の項目を収益に含めることが求められています。 私が2017年の年次報告書で強調したように、バークシャーの副会長であるチャーリー・マンガーも、私もその規則が賢明であるとは信じていません。 むしろ、バークシャーでの時価総額の変動が、私たちの「最終的な収支のワイルドで気まぐれな変動」と表現したものを生み出すと、私たちは一貫して考えてきました。
その予測の正確さは、2018年の各四半期の決算から示唆できます。第1四半期と第4四半期に、GAAPルールによって生じる損失はそれぞれ11億ドルと254億ドルと報告されています。 第2四半期と第3四半期には、それぞれ120億ドルと185億ドルの利益を計上しました。 これらの激動とは全く対照的に、バークシャーが所有する多くの事業は、全四半期を通じて満足のいく営業利益をもたらしました。 年間の収益は、2016年の最高値の176億ドルを41%上回りました。
各四半期のGAAPベースの収益の大幅な変動は避けられません。これは、2018年末現在、当社の巨大な株式ポートフォリオは1兆730億ドル近くの価値があり、1日の価格変動が20億ドル以上になることが多いためです。 確かに、株価のボラティリティが高くなる期間である第4四半期に、私たちは40億ドル以上の 「利益」または「損失」 がでた日が数日ありました。
我々からのアドバイスですか?他のあらゆる種類の損益に注意を払わずに、営業利益に集中することです。 私の言っていることは、バークシャーへの投資の重要性を決して減らすものではないということです。 時が経つにつれて、チャーリーと私は、非常に不規則なタイミングではありますが、かなりの利益をもたらすと期待しています。
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私たちの年次報告書を長年にわたる読者の皆さんは、これまでの私のこの手紙とは開示の方法が異なっていることに気がつかれたことと思います。すなわち、 30年近くの間、最初のパラグラフはバークシャーの一株当たり純資産の帳簿価格の変化率を掲げてきました。 今回からそのやり方を放棄することになりました。
事実は、バークシャーの帳簿価額の年次変動(2ページの記載からなくなってしまう項目)が、かつて持っていた測定基準への関連性を失ったということです。その理由は3つあります。第一に、バークシャーは株式市場への投資を中心としていた会社から、事業経営によって価値を生み出す会社へと徐々に変貌したことです。チャーリーと私は、そのように再構築が不規則な方法で続くことを期待しています。第二に、当社の持分は市場価格で評価されていますが、会計規則では、当社の事業会社の集計を現在価値を大幅に下回る金額で帳簿価額に含めることが要求されていることです。第三に、バークシャーは、時がたてば、自社株について簿価を上回るが本源的価値の見積もりを下回る価格で買戻す可能性が大きいということです。そのような購入の数学は簡単に出すことができます:各取引は一株当たり純資産価値が上がる間一株当たり純資産価値を上がります。この組み合わせにより、帳簿価格による企業評価はますます経済的実態から遊離したものとなってしまいます。
将来の我々の決算表は、バークシャーの市場価格に集中するようになることを予想しています。市場は非常に気まぐれなものになる可能性があります。2ページに記載されている54年の歴史を見てください。しかし、時間とともに、バークシャーの株価は、業績をはかる最適の尺度となるでしょう。
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先に進む前に、私は私達の財務諸表に反映されていないいくつかの良いニュース - 本当に良いニュースを皆さんに明らかにしたいと。それは、アジット・ジェインがすべての保険業務を担当し、グレッグ・アベルが他のすべての業務に対する権限を与えられた2018年初めに行った経営上の変更に関するものです。これらの動きの成果が現れてきました。バークシャーは私が一人で業務を監督していた時よりもはるかに良く管理されています。アジットとグレッグはまれな才能を持っています、そしてバークシャーの血は彼らの静脈を通して流れるようになっています。
それでは、皆さんが所有しているものを見てみましょう。
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