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2019年3月 6日 (水)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2018(10)~アメリカの追い風

 3月11日で、私がアメリカの事業に最初に投資してから77年になります。 1942年のことだした。私は11歳、そして私はすべてをつぎ込みました。6歳の時から蓄え始めた114.75ドルを投資したのです。 私が買ったのは3株シティ・サービスの優先株式でした。 私は資本家になりました、そしてそれは気分がいいことでした。
 それでは、私が株を購入する以前、77年間の2まわりさかのぼってみましょう。 ジョージワシントンが最初の大統領に就任する1年前の1788年です。その時、新しい国がたった77年のサイクルの3回転目でこれだけの達成をするであろうことを誰が想像することができたでしょうか?
 1942年以前の77年間の2サイクルで、アメリカは400万人の人口という当時の世界の人口0.5%という小国から、地球上で最も強力な国へと成長しました。 しかし、1942年の春、危機に直面しました。アメリカとその連合国は、たった3か月前に入った戦争で大きな損失を被っていました。 悪い知らせが毎日のように届きました。
 不安を告げる報道にもかかわらず、ほとんどすべてのアメリカ人は3月11日に戦争に勝利するであろうと信じていました。 彼らの楽観主義はその戦争に勝利することだけに限られるものではありませんでした。 先天的な悲観論者を除けば、アメリカ人は彼らの子供たちやそれ以降の世代は、彼ら自身よりはるかに良い人生を送ることになるだろうと信じていました。
 アメリカの市民は、もちろん、その先は平坦な道ではないだろうことは理解しました。実際に、決して平坦ではありませんでした。 その歴史の早い時期に我々の国は全アメリカ人男性の4%が犠牲となった南北戦争という試練を受け、リンカーン大統領は「かほどの自由を創り出し、平等たらんと勤しむ人々の国家が、長きにわたって存続し得るだろうか」と公然と考えさせられました。1930年代には、アメリカは大恐慌、大規模な失業に苦しみました。
 それにもかかわらず、1942年に私が株を購入をしたとき、国民は戦後の成長を期待していました。それは、しっかりとして根拠を理解した信念だったのです。 実際には、その国民の達成したものは息をのむようなものと言うことができます。
 その主張を数字から明らかにしてみましょう。私の投資した114.75ドルがスタンダード・アンド・プアーズ500のインデックスファンドに投資され、すべての配当が再投資された場合、この手紙の印刷前に入手可能な最新のデータによると、2019年1月31日の私の持分は606,811ドルの価値になるでしょう。それは5,288倍の利益を得たことになります。その間、例えば年金基金または大学寄付金のような当時の非課税機関 で100万ドル投資していれば、およそ53億ドルに成長したでしょう。
 皆さんに、さらにもう1つの計算をつけ加えさせてください、どうか驚かないで下さい。そういう架空の機関が投資運用会社やコンサルタントなどのさまざまな「補助者」に毎年資産の1%しか支払っていなかったとすると、その利益は半分に削減され、26億5000万ドルになるでしょう。スタンダード・アンド・プアーズ500によって実際に達成された11.8%の年間収益が10.8%の割合で再計算されるとき、それが77年にわたって続くと、こんなことが起こります。
 政府の財政赤字により定期的に破滅的な運命を説く人たちは(私が長年にわたって自分自身に対してやってきたように)、私たちの国の国債は最近の77年間の期間で約400倍に増えたことに気づくでしょう。 それは実に40,000%にのぼります!この増加を予測し、底なしの赤字と通貨の暴落への恐怖で見込みにパニックに陥ったとします。皆さんは自分自身を「守る」ためには、株式を避けて、その代わりにあなたの114.75ドルで3.25オンスの金を購入することを選択したかもしれません。
 そして、その想定される「守る」ことは何をもたらしたでしょうか。これによって、アメリカの企業への単純な管理されていない投資から実現されるであろうものの1%にも満たない、たった4、200ドルの資産しかえられません。魔法の金属はアメリカの気概に匹敵するものではありませんでした。
 我が国のほとんど信じられないほどの繁栄は党派を超えるという態度で獲得されたものです。 1942年以来、我々には7人の共和党の大統領と7人の民主党の大統領員がいました。彼らがその職を勤めた年月には、我が国は様々な時期に、幾多の問題に取り組んできました。例えば長い期間のウィルスのようなインフレ、21%のプライムレート、いくつかの論争を牧王した高くついた戦争、大統領の辞任、家の価格の崩壊、麻痺した金融パニックと 他にもたくさんの問題があります。これらすべての扇情的に報じられました。 すべては今、歴史になりました。
 セントポール大聖堂の建築家であるクリストファー・ウォーレンは、ロンドン教会内に埋葬されています。彼の墓の近くには、つぎのような説明が書かれています(ラテン語から翻訳):「あなたが私の記念碑を探す場合は、あなたの周りを見てください。」アメリカの経済的なシナリオに懐疑的な人は彼のメッセージに耳を傾けるべきです。
 私たちの出発点に戻って、1788年には、野心的な人々の小集団と彼らの夢を現実に変えることを目的とした初期の統治の枠組以外、ここに実際には何もありませんでした。今日、連邦準備制度理事会は、私たちの家計資産を108兆ドルと推定していますが、これは理解するのはほとんど不可能な金額です。
 この書簡の前半で、バークシャーの繁栄の秘訣は剰余金であると説明したことを覚えていますか。それはアメリカと共にとありました。国の会計では、比較可能な項目は「貯蓄」と分類されています。そして、我々も貯蓄をしています。私たちの先祖が代わりに彼らが生産したすべてを消費したならば、投資、生産性の向上、そして生活水準の飛躍はなかったでしょう。
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 チャーリーと私は、バークシャーの成功の大部分が単にアメリカンの追い風と呼ばれるべきものの産物であることを喜んで認めます。アメリカの企業や個人が「一人でやった」と自慢するのは傲慢を超えています。ノルマンディーの質素な白い十字架が整然と立てられているのは、そのような主張をする人たちを恥ずかしいものにするはずです。
 明るい未来がある国は他にもたくさんあります。それについては、我々は喜ばなければなりません。つまり、すべての国が繁栄すればアメリカ人はより繁栄し、より安全になるでしょう。バークシャーで、我々は国境を越えてかなりの金額を投資したいと考えています。
しかし、これからの77年間で、私たちの利益の主な源はほぼ間違いなくアメリカの追い風によって提供されるでしょう。 私たちはその力を私たちの背中に持っていて幸せに思います。

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