ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2018(6)~保険業、「フロート」そしてバークシャーの資金(1)
我々の5番目の「小さな森」である資産事故保険事業は、我々が1967年にナショナル・インデミニティとその姉妹会社ナシャナル・ファイエ・アンド・マリーンを860万ドルで買収して以来、この分野は我々の拡大成長を牽引したエンジンです。今日、自己資本で量ると、ナショナル・インデミニティは世界最大の損害保険会社です。
我々が資産事故保険事業に引き付けられた理由のひとつは財政的な特徴からでした。資産事故損害保険業者は前払いのプレミアムを受け取り、後で請求に対する支払いを行います。極端な場合、極端な場合には、アスベスト曝露に起因する請求など、支払いは何十年にもわたって伸びる可能性があります。
このような、今現金を受け取り、支払いは後になるモデルでは、我々の手元に多額の「フロート」と呼ばれる現金が据え置かれることになります。最終的には、そのお金は我々の手元を離れることになるのですが。一方、我々がこのフロートを投資に振り向けることで、バークシャーは利益を得ることができます。ここの方針や主張は行ったり来たりしますが、保険会社が抱えるフロートの総額はプレミアムボリュームに関して安定しています。その結果、我々のビジネスは、フロートに応じて成長しました。我々がいかに成長したかは、下に表しています。(下の表は省略)
我々が将来のフロートの低下を経験するとしても、それは非常に段階的で、数年で3パーセントを以上にはならないでしょう。我々の保険契約の性質は、我々の持っている現金資源に比べて、それを上回るような金額を即時に支払わなければならないような要求を受けることはあり得ない、というものです。この構造は設計によるものであり、保険会社の傑出した財務力の中の重要な要素です。 それは決して損なわれません。
プレミアムが我々の費用と最終的な損失の合計を上回っていれば、フロートが産み出す投資収益を加え、我々は引受業務利益を計上します。このような利益が産み出されるとき、我々は自由なお金の運用を喜びます。さらにこれを増やしながら、後の支払いを待ちます。
残念なことに、このような幸福な結果を成し遂げたといいう保険業者の願望は、激しい競争を引き起こします。ほとんどの年に競争は活発であるため、損害保険業界全体に大きな引受業務損失を起こすほどです。この損失は、事実上、業界がフロートを保持するために支払うようなものなのです。競争のダイナミズムは、保険会社に対し、すべての会社がフロート収入を持っているにもかかわらず、アメリカの企業と比べて水準を下回る収益しか得られないという惨憺たる記録を続けることを強いています。
それにもかかわらず、私は我々の見通しをとても好ましいものと思っています。 バークシャーの圧倒的な財務力は、損害保険会社に一般的に利用可能な投資よりもはるかに柔軟な投資を可能にします。 私たちが利用できる多くの選択肢は常に有利です。 時折、彼らは私たちに大きなチャンスを与えてくれます。 他の投資家が柔軟に投資しにくくなる時、我々の選択肢が広がります。
さらに、我々の損害保険会社は優れた引受実績を持っています。バークシャーは、過去16年間のうち15年間、引受利益で営業実績を残しています。例外は、税引前損失は32億ドルだった2017年でした。我々の税引前利益は16年間にわたり、合計270億ドルで、そのうち2018年には20億ドルが計上されていました。
その実績は偶然ではありません。規律あるリスク評価は、貴重なフロートがひどい引受け結果によって台無しになってしまう危険をよく知っている保険マネージャーたちの毎日の注意点なのです。このメッセージは保険業者の間ではお世辞として受け取るものですが、バークシャーにおいては宗教的心情になっています。
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