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2019年7月29日 (月)

決算説明会見学記─名物経営者の現場復帰

 先週、懇意にしていただいているアナリストの厚意で、またまたN社の第一四半期決算説明会に行ってきました。1~3月の売上が中国の景気状況の影響で急落し、この4~6月も同じ状況が続き、売上高は前年同期を下回り、減収減益となった。増収増益が常態となって、この会社では珍しいことです。それもあって、状況の厳しさが目立ち、説明会の雰囲気も空席がちらほら見られ、質疑応答は時間が足りないほどなのに、今日は終了予定時間前に質問が途切れた。どことなく寂しい雰囲気でした。決算説明会はプロのアナリストやファンド・マネジャーが出席する場なのに、結構状況に左右されるものなのかと思いました。企業の実力を見極めるのに、こういう厳しい状況でこそ、よく見極められるのに、と思うんですけれど。プロも、意外と野次馬というか、軽薄なんだなと思ったしだいです。
 この会社の名物経営者である会長は、そういう状況で後継者の社長に道を譲ろうとしていたことから現場復帰し、今回の説明会は社長は出席せず、会長独りで仕切ると、いつもより生き生きとした印象。話し方は、いつもより落ち着いて、むしろ静かな様子だけれど、話す内容は、ここ数回のような脱線や質問するアナリストをいじったりするような遊びがなくなり、かえって実質的な話で、中身の濃いものでした。むしろ、不慣れな質問にも丁寧に聞いて答えていて、真面目というか真摯な姿勢が目立ちました。例えば、自動車向けの製品のことについて、アナリストたちには彼らの専門外だからと不勉強を皮肉るようにことが多かったのですが、今回は、中国の自動車市場のトレンドから新製品のニーズの可能性、それに対する同社の戦略方針まで丁寧に説明していました。例えば、電気自動車を奨励している状況に対して2大メーカーが標準規格品の大量生産体制を敷こうとしているが、それに先んじてモーターの生産工場をすでに建設し、標準規格品をモディファイさせたトラックや大型車輌の生産ニーズも予想して、新規の工場建設を予定している。これに対して、ヨーロッパの電気自動車は遅れ気味だったが、中国の進歩に尻に火がつき始めた状態だが、中国と違って標準規格品の大量生産には進まず、差別化を図るようなので、対応するモーターは特注品の開発体制をつくっているなど。それに、応じるために国内の子会社を含めてグループの技術者や生産体制の大規模なシフトをしている。その経費が、第1四半期は利益を下振れされたと。
 現時点では、その関係も含め、引き合い、受注がとれているので、生産体制の整備が課題という。それゆえに、生産体制が整った下半期からは、利益を取り返し、通期では当初計画を達成すると。
 ただ、景気状況の展望については、大方の見方よりも、むしろ悲観的で、しばらく好転は見込めないだろうということでした。ただし、決算結果の減収減益については、景気を理由とせず、自社努力を原因と表明。つまり、景気がどうあろうと、稼ぐことのできる体制をつくれなかった経営の責任であると率直に認めていました。これを経営者自ら、語るというのは、やはりすごいと思いました。この人だから、こう話しても、人々の信用を失わないところだと思うのですが。その裏には、通期では成績を残す確固とした自信があるからだし、その根拠である後半の経営戦略は説得的です。既存の売上増加は望めないので、新しい分野を含めて利益を取っていくことでした。何か、会長の雰囲気が、話す声こそ小さくなりましたが、声に力があり、現役に復帰したことで、これだけ生き生きしてくるものだと思いました。それと、私の妄想かもしれませんが、初心に帰るとでもいうような真面目というか真摯な態度が目立ち、そこに、意気込みと言うのか危機意識というのか、そういう感じが強くしました。

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