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2020年3月 6日 (金)

坂田一男 捲土重来(7)~Ⅲ-2.坂田一男のパラダイム

Sakatacompas  作品リストや図録では分けられていますが、展示では一緒に並んでいたので、あまり、違いを意識しませんでした。
 「コンパス」という作品を見ましょう。“このコンパスは人体に見立てられ、アンドロイドのような姿でも登場します。なぜこの道具を描くことにこだわったのか。ここではコンパスが、紙などの上に円弧を引き、境界をつくって新たな空間を描き出す道具であることに注目しましょう。つまりコンパスは、複数の空間を一画面の上に重ねるという作品のテーマを、説明しているのです。”という説明がありました。しかし、例えば、前のコーナーで見た手榴弾を題材にした作品と画面構成はよく似ているものの、背景が全く違っていて、同じように題材を画面の中央に持ってきているのだけれど、手榴弾を題材にした作品では背景を太く黒い線で明確に区切って、複数の平面を作っているのに対して、この作品では、背景に明確な教会は作られていません。わたしには、解説で説明されているような取り上げた題材に意味付けするようなことは、あまり坂田の作品には見合っていなくて、むしろ題材の形態で画面にハマるかどうか程度ではないのかと思えます。もし、解説のような意味合いでコンパスをとり上げたのであれば、コンパスの描き方は違ったものになるのではないか。例えば、コンパスで円弧を引くときの形態、つまり、コンパスを広げて、それを回転させる形の方が適当ではないでしょうか。坂田という人は、リアルな写実をする人ではないので、それがコンパスであることが分かる必要はあったのか、私には疑問です。だから、解説も触れているように、「釣」という作品の人物に典型的ですが、それは人でもよかった。むしろ、画面を縦に位置を占める物として、画面にハマればよい。むしろ、明確に区分されていない平面の中央Sakatafishing に縦に一つの物体が鎮座しているというシンプルな画面を描いているということ。そういう方向で、重層的で複雑な空間構成まで捨てて、シンプルな抽象をしようとしている。そういう作品であるところに、特徴があると思います。というのも、同じ時期に、前のコーナーで見たような水平な平行線を何本も引いた、あるいは機械的な複雑さを画面にしたような作品を描いてもいるわけですから。両極端も言える。二つの方向で抽象的な作品を制作していることになります。それが、次の晩年近くの作品になった、それらの要素をすべて捨て去ったような幻想風の作品を描くようになっていくわけです。それは、静から動への転換のように劇的です。

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