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2020年4月17日 (金)

ブダペスト─ヨーロッパとハンガリーの美術400年(3)

 前半の展示を見終わり、トイレ休憩して、すっきりしたところで後半にはいります。ここからの展示はハンガリー画家が中心となっていくので、展示コーナーごとに分けて書いていきます。
Ⅱ.19世紀・20世紀初頭
1.ビーダーマイヤー
Budapestkaro  ビーダーマイヤーって小市民という意味合いですよね。そう思いながら、遭遇した作品が、マルコ・カーロイの「漁師たち」という作品。逆光の眩しい光景が大画面で迫ってきました。この眩しさの描写だけでも、この作品は印象に残ります。それほどインパクトの強い作品でした。展示に付されていたキャプションではニコラ・プッサンの影響を受けているという。たしかに、風景の描写はプサンの描き方に似ていなくもない。理想化された風景と説明されれば、そうですと首肯せざるを得ない。プッサンは風景の輪郭をはっきりとさせないで、空気感といいますか、少し湿り気味の空気でぼんやりと柔らかい雰囲気になって、どこか幻想的な趣きがあります。それが理想化された風景の雰囲気を高めているので、そこには、カーロイのような強い光が射してくるということはありません。カーロイの作品は、プッサンに習いながらも、輪郭が明確で、書道の楷書体のように几帳面に描かれていて、そこに逆光が、正面、つまり作品を鑑賞する人に向けて射してきます。それを正直に几帳面に描いている。例えば、ムンクに日輪を正面から描いた作品がありますが、それは鑑賞者に向けているようで、光を鑑賞者が直接感じて眩しく思うことはありません。シンボリックな比喩表現で逃げています。それを、何の衒いもなくストレートに描いている。
Budapestboy Caravaggiomuririo  フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラーの「ウィーンのマクダーネングリュントの物乞いの少年」という作品です。これも小市民なんだろうか。むしろ、このような光景から目を背けて快適な自宅の居間で満ち足りているのがビーダーマイヤーだと思っていましたが、展示の意図は違うようです。写真のような写実的な描き方で、スペインのムリーリョの「蚤を取る少年」を思い出しました。ただし、この作品の少年は身体のバランスが変な感じで、上半身が短すぎるのと、顔の大きさと傾げ方がずれているような印象で、落ち着きが悪い印象です。それだけに少年への視線が緊張することになる効果を生んでいると思います。こんなところで総括してしまうのは早合点かもしれませんが、これまで展示されているハンガリーの画家の作品は、オリジナリティーはそれほどなくて、既存の画家の作品に習ったような、「どこかで見た」ような印象を持たせるものが多いです。それゆえに親しみやすさがあると思います。その一方で、一部の突出して画面全体のバランスを欠いてしまっている。そこに作品を見る者が引っ掛かってしまう。そういう見方をする作品が多いように思えてきました。また、ほとんどの画家は作品を正直に几帳面に仕上げていて、手を抜いている様子は全く見られません。そこには、職人の誠実さのようなものが感じられるので、一部の突出については、意図的にやっているとは思えず、おそらく、その部分を描くのに自然に力が入ってしまった結果ではないかと思います。
Budapestmaid Chardhane  フェリーチェ・スキアヴォーニの「お茶をいれる召使い」という作品です。スキアヴォーニという名前からしてイタリア人の画家でしょうか。ビーダーマイヤーというイメージにドンピシャの作品。幸せな市民生活なんだと思うのだけれど。描かれている少女が何とも可愛らしい。お人形のようなところは、シャルダンの描く少女に似ている気がする。エプロンの裾を鍋つかみ代わりにしてポットを掴み、茶を注いでいるポーズが愛らしい。白いエプロンの下に覗く袖のピンクが萌え要素ではないでしょうか。左から外光がさして、少女を照らして、陰影をつくっているところはフェルメールの画面構成を連想させるところもあり、また、少女のバックに黒板をおいて、白系統の身なりの少女の姿が対照されて浮かび上がる効果を作り出しています。けっこう芸が細かいところもある作品です。

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