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2020年5月 8日 (金)

白髪一雄 KAZUO SHIRAGA a retrospective(2)~第1章 知られざる初期作品

 会場では、この第1章を示す掲示はありませんでした。これは展示品リストに書かれていただけです。受付で展示品リストを受け取らなければ、この区分にも気づかず(展示は、ほぼリスト順でしたが)、作品を見ることになるわけです。もっとも、区分が分からないからといって、どうということもないのです。私の場合は、ここに感想をまとめるときに、区切りとして便宜的に使っているだけですから。展示品リストをみると、展示されているのは1952年までの作品で、白髪がフット・ペインティングを始め、具体美術協会に参加する前ということになります。
Shiraganight  「夜の風物」という1950年の作品です。画像では実感できないかもしれませんが、画面の真ん中のあたりで、バックに塗られている明るいグリーンが鮮やかに映えて眩しいくらいの印象です。この時点で、私は、白髪という人は色彩、中でも、絵の具でぬられる色の人であると思いました。この作品で白髪の作品を見るためのとっかかりを得ることができたと思います。三角形と円という図形を組み合わせた画面は、図形という明確な形が描かれていて、展覧会ポスターのようなグチャグチャしたような画面とは異なります。この印象的なグリーンと明るいブルーを隣り合わせてみたり、画面の上部では、図形のような幾何学的な枠組みを並べて、ブルーのグラデーションを段階的に、図式的にみせていたり、と色遣いを重視していて、図形は、その色の使い分けをするための手段となっているように見えました。この作品では、明確な色の区分をしていて、そのために図形という枠組みが必要だった、そういう印象の作品です。でも、明るく鮮やかな色を使っているのに、どういうわけか、不気味な夜のイメージを抱いてしまいます。寒色系の色が基調になっているからでしょうか。
Shiragagrass  「妖草Ⅱ」という1952年の作品です。この時期の作品ではサイズがひときわ大きな作品で(後年の具体に参加以降は、もっと大きなサイズの作品ばかりになりますが)、白髪は大きさという作品の表現要素を、ここで意識したのかもしないと想わせる作品です。大きなサイズというのは、それ自体で見る者に迫ってくる効果があると思います。マーク・ロスコの抽象画などは画面の大きさと切り離すことはできないだろうと思います。ネットで検索してみたら、この頃の白髪はシュルレアリスムに習って夢を盛んにスケッチしていたということで、それをもとに自身の意識下の世界を描こうとしたということです。闇を想わせる暗い色調の上で、まるで夜の月光をあびたように白が妖しく映えて、三角形の尖った形が重なり合って、蠢いているような印象を受けます。ここでの色遣いはバランスが取れていて、雰囲気を持った作品だと思います。
 この時期の作品は、それなりにまとまっていて、このままの路線を追求するという道もあったのではないかという想像もできます。それもあり得たのではないかと思います。しかし、白髪は変わっていくことになります。

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