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2020年5月 9日 (土)

白髪一雄 KAZUO SHIRAGA a retrospective(3)~第2章 「具体」前夜:抽象からフット・ペインティングへ

Shiragaflow  ここで展示されているのは、白髪が1955年に具体美術協会に参加するまでの作品で、この2年間で、作品を遂げていきます。
 「流脈1」という1953年の作品です。これ以前の作品では、色の塗り分けは明確な線引きで区分されていたのですが、この作品では、絵の具を置くのではなくて流すような色がにじむように流動的に変化していく、画面の上で絵の具が混ざって色が変化していく、混沌としたようなところが出てきます。それが画面に水平に筆が引かれて波のように見えるところです。それが層のように折り重なっていて、そこに縦に断層のような切れ目が入って、その層がずれています。先読みですが、後年の作品のようにその波がどこまでも流動していくことはなく、断層で、その勢いが止められているように見えます。この時点では、流れに身を委ねる決心がつかなかったのか、と勝手に解釈したくなります。ただ、この断層が画面にリズムをあえていて、混沌の部分で形のある部分とがあって、まるで鏡が混沌を反射しているようなところが感じられる印象的な作品になっていると思います。
Shiragaworks  1954年の「作品」というそのものずばりのタイトルで、画面全体が赤の絵の具で埋め尽くされた作品です。赤い画面をとして、赤い絵の具が渦巻き状に太い赤の線のように盛り上げられたようになっています。以前、ここで見た韓国の抽象の展覧会の展示作品を思い出しました。それらはキャンバスに淡色の絵の具を塗った上に規則的に表面に傷つけて凹凸をつけたりして、画面のリズミカルな動きをつくりだし、凹凸によって微妙な陰影がうまれ、それが見る者には色のグラデーションのように見えてくる。そういう作品です。この作品でも、赤い絵の具の盛り上がりが渦巻き状の波のように並んで、それが微妙な陰影を作り出していて、絵の具は赤なんですが、陰影と相まって絵の具の色ムラによる赤から黒へのグラデーションが生まれている。その変化が、見る者の立ち位置によって、視点によって変化していくのです。作品自体は、静かで動きがないのに、見ていると動きか感じられる。そういう作品です。

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