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2020年6月

2020年6月18日 (木)

アンソニー・マン監督の映画『グレン・ミラー物語』の感想

1111  周防正行の「Shall we ダンス?」でダンスホールを俯瞰で撮ったシーンは、「王様と私」ではなく、この映画へのオマージュであると一人信じている。それ監督のアンソニー・マンの個性とも言えるは縦の構図と、ホールでダンスをしている人々の動きに躍動感がなくてマスゲームのように機械的に統制されていたところが、そっくりだったから。この映画は、音楽家の伝記と夫婦愛の物語なんだが、変なところが、やたら目につく映画だった。グレン・ミラーが軍隊に志願して閲兵式の軍楽隊の指揮をするシーンで、行進する軍隊の制服の色が常識では考えられないほど色とりどりだったり。あっ、さっきのダンスホールのシーンでもダンスしている人々の服の色が不自然なほど揃っていたり。それが、スイングといいながら、全然グルーヴしないグレン・ミラーの音楽を映像の雰囲気で表わしてしまった、そういう作品だったと思う。
 極めつけは、映画の最後、グレン・ミラーの乗った飛行機が行方不明になって、彼の残した録音がラジオから流れて、それを聞く妻役のジューン・アリスンが夫を失った悲しみを乗り越える姿を映していることで、最後はグレン・ミラーではなくて、グレン・ミラーの妻の映画にしてしまった。そういう、細部にたくさんの見所があり、それらがサイドストーリとしてスピンアウトして、物語がひろがっていく映画だった。

 

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