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2020年7月 2日 (木)

村井正誠 あそびのアトリエ(1)

 2020年3月に世田谷美術館で見てきた「村井正誠 あそびのアトリエ」の感想です。
Muraipos  以前から予約していた人間ドックの受診が早めにおわったので、1日の休みを取っていた時間があいてしまった。だからと言って、すぐに帰宅する気にもなれないので、普段は足を運びにくい世田谷美術館に行ってみることにした。新型コロナウイルスが世界的に猖獗を極めているという状況で、日本でも不要な外出は自粛するように、政府からお願いが出されていて、東京の主要な美術館も感染の場所となるおそれがあるということから休館しているところが多い。その中で、世田谷美術館は開館しているということだった。それで、出かけてみた。美術館は世田谷区の砧公園のなかにある。用賀の駅を降りて歩いていると、外出の自粛という緊張感はなく、歩いている人は多い(私も、不要の外出をしているので、そんなこと言える資格はないのだが)。砧公園は、園内の桜が咲き始めている時期で、天気の良かったので、子供連れで混雑するほど人出が多かった。ニュースで映し出される欧米の大都市のゴーストタウンのような光景とは別世界のようだった。美術館に入るときに、まずアルコールで消毒、係員はマスクをしている。もともと美術館ではおしゃべりを憚るような空間なのだが、いっそう静かな感じがした。平日で、抽象画の展覧会で、しかも外出自粛の状況にもかかわらず、けっこう人の姿はあった。閑散としているかと思ったら、そこそこの数の鑑賞者の姿。他の美術館が軒並みに休館状態なので、美術鑑賞の趣味の人が、開館している美術館に吸い寄せられるように来ている、という感じでしょうか(当然、私も、その中の一人ということになるのでしょうが)。
 まずは、いつものように展覧会の主催者あいさつを引用します。“洋画家村井正誠(1905~1999)は、戦前は新時代洋画展や自由美術協会、戦後はモダンアート協会の創立メンバーとして、画壇に新風を送り続けた抽象絵画のパイオニアです。岐阜県大垣市に生まれ、和歌山県新宮市で少年期に過ごした村井は、文化学院の大学部美術科第一期生として学んだ後。1929年に渡仏し当時最先端の美術潮流に刺激を受けます。1939年にからは世田谷区中町に自宅兼アトリエを構え、終生この地で創作を続けました。村井の絵画は一貫して「人」をテーマとし、おおらかであたたかな独特の雰囲気を纏っています。また、様々な素材によるオブジェ制作にも取り組み、絵画に劣らない豊かな造形はかわいらしさやユーモアに溢れています。そして、自作品が民芸品など愛着の品々とともに並んだアトリエは、それ自体が造形世界を凝縮したかのようです。そのアトリエは現在、建築家隈研吾の設計により、画室をそのまま内部に保存した美術館となっています。本展では村井の画業をたどるとともに、版画やオブジェ、素描など多彩な創作活動と、作品が生み出されたアトリエをご紹介し、村井の造形にひそむ「あそび」の精神を探ります。”まあ、画家が世田谷区の住人だったということと、展示されている作品のほとんどが美術館の所蔵作品であるようなので、在庫棚卸という感じで展示しているのでしょうか。そういうこともあって、このご時世で、何かの事態が発生すれば、すぐに展示をやめることができるような臨機の対応ができるだろうから、企画展を開き続けることができている、と思いました。
 なお、いつも展示を見ながら、感想や思ったことを展示品リストに簡単にメモしているのですが、貸してくれる鉛筆は書きにくく、しかも展示品リストはペラペラの紙なので、字を書くのに苦労していたのですが、それを見ていた係員の人が書く台になるような板状の段ボールを貸してくれました。これには重宝しました。ちょっとした思いつきなんでしょうが、係員の人の親切さは、とてもありがたかったです。
 まず、長い廊下を通って広間になっているところに、「Holly Mather and Infant Christ」という比較的大きなサイズの絵画作品。太い線でヘタウマのほのぼの系のマンガのような省略が多くて記号のようになった人の輪郭のような抽象と原色にちかい鮮やかな色の板のような平面が画面配置されている、というような絵画と、木材でつくられたオブジェが展示されていました。オブジェは気の積み木を組んで人の顔や身体を連想させるような、一見素朴で単純な形のものです。まずは、村井の作品はこういうものだと、見る者に提示してくれているのでしょう。これって、例えば、絵画は、幼稚園で12色程度の基本色のクレヨンで、幼児がお絵かきをしたものを、洗練させたというイメージだし、オブジェは積み木遊びを固定させた、というようなイメージというと、作品の画像がなくても、こんな作品というイメージが伝わるのではないかと思います。そのほかにも、「顔」を題材にして、太線のマルをキャンバスにひいた作品もありました。
 展示は、「人」とか「顔」とか「幾何学的抽象と都市」といいような、テーマ別にまとめられていました。一方、後で買い求めた図録では、年代順の作品記載となっていて、展示と異なる順番になっていました。それでもなのか、展示作品リストは、基本的に展示順になっていて、備考欄を設けて、図録の掲載番号を附記して参照できるようになっていました。展示作品を見るのに展示とは異なる視点を提示している。試みと受け取っておきましょう。
 では、展示に沿って作品を見ていきましょう。

 

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